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光量子コンピューター研究支援基金

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光量子コンピューター研究支援基金ご支援のお願い

 量子コンピューターの理論を米国の物理学者リチャード・ファインマン博士が1980年頃に提唱したときは、実現までに100年かかると言われていましたが、最近にわかに社会実装されようとしています。しかし、今、話題になっている「量子コンピューター」はまだまだ限られた計算(処理)しかできない、量子を安定させるために絶対零度(マイナス273度)近くまで冷やして使う必要がある、装置が巨大である、誤り訂正がされていない等々、様々な課題が残っています。

 古澤研究室では、光の粒子(光子)を使った光量子コンピューターの研究を続けています。ループした光回路を使うことにより小型化し、常温でも安定した量子もつれを大量に発生させることにより誤り訂正も行うことができる汎用量子コンピューターの社会実装を目指しています。10年先か20年先か・・・あるいはその過程で素晴らしい発見があり数年で実現するか、まだまだ未知数です。

古澤 明 教授3Dプリンターで作成した「量子もつ
れ」の模型を手にする古澤教授

 たとえば、インターネットが発明されて普及する前に、インターネットがここまでわたしたちの生活を変えると予測できたでしょうか?現在のスーパーコンピューターでさえ不可能なことを光量子コンピューターで一緒に実現しましょう。

 「量子」には「重ね合わせ」や「もつれ」など、私たちの日常生活からはなかなかイメージできない不思議な特性があり、この分野に関心がない方々には敬遠されがちです。しかし、私たちの日常生活はすべて「量子」から成り立っています。

 この機会にぜひご支援をお願い申し上げます。

東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻
教授 古澤 明

500以上の特殊な鏡やレンズで構成される古澤研究室の実験機
500以上の高性能な鏡やレンズで
構成される古澤研究室の実験機

【皆様のご寄付が研究を加速させます】

    • 研究に必要な光学機器
      レーザー(光源)、光検出器、光ファイバー、ビームスプリッター、非線形光学結晶、高性能ミラーおよびレンズ、等々

    • 若手研究者の育成
      海外の大学や研究所での研修(武者修行)
      国際学会への積極的参加および発表
      継続的な研究プログラムの設立

    • 研究者の招聘
      海外で活躍する研究者との情報交換

スパコンを越えた究極の次世代コンピューターが世界を救う

【現代社会が直面する課題】


 今や誰もが一日中インターネットにつながったパソコンやスマホで仕事をして、FacebookやTwitterなどのSNSを楽しみ、ネットショップで買い物をしています。そして、日々の報道では、「AI」「IoT」「ビッグデータ」という言葉を見ない日はなく、スーパーコンピューターの活用が謳われています。しかし、現在のインターネットやコンピューターは莫大な電力消費を伴い、スパコン1台を稼働させるのに原発1基が必要とさえ言われています。またコンピューターの性能や光通信の通信容量は限界に迫っています。デジタル化社会がこのままのペースで成長を続けることは明らかに不可能です。いずれインターネットの容量やコンピューターの計算能力や電力供給が限界に達し、AIやIoTによる革新も絵に描いた餅になってしまいます。


【量子コンピューターが世界を救う】


 次世代の情報処理技術として、量子情報処理、つまり「量子コンピューター」の実用化が唯一の解決策と考えられています。従来のコンピューターの1ビットは「0」か「1」であったのに対し、量子コンピューターの1量子ビットは「重ね合わせ」という量子の不思議な特性を利用して、同時に「0」と「1」の重ねあった状態を認識することができ、この量子ビット数を増やすことにより、爆発的に処理能力を高めることができます。(コラム1)(コラム2)

 量子コンピューターは1980年代から提唱され、様々な方式で開発されてきましたが、いまだに小規模な情報処理や限られた分野に特化した処理に留まっています。


【古澤研究室の光量子コンピューターの特徴】


 古澤研究室は量子テレポーテーションを用いた画期的な「光量子コンピューター」の実現方法を発明しました。それまでは10量子ビット程度が限界だったのに対して、事実上無限の量子ビットを使って計算をさせることが可能となり、大規模な汎用量子コンピューターが実現できるようになります。

3Dプリンターで作成した「量子もつれ」の模型3Dプリンターで作成した「量子もつれ」の模型
 

 光の粒子(光子)を使う光量子コンピューターは、ループした光回路を用いることで、量子テレポーテーションを使った演算(簡単にいうと「加減乗除」)を無限に続けることができます。量子テレポーテーションとは、「量子もつれ(エンタングルメント)」という量子の不思議な特性を利用して、もつれ状態にある光子どうしの、ひとつに情報をインプットすると瞬時に他の光子も全く同じ情報が伝わるという特性です。(コラム3)

 既存の通信ネットワークは「光」により行われています。光量子コンピューターは光ネットワークとの親和性が非常に高いという利点があります。情報処理をそのまま光で行えるようになれば、既存の光通信網を活用して、高速且つ省エネを実現した次世代大容量光通信技術が生まれ、増え続ける情報通信量に対応することも期待されています。(コラム4)


ループ型光量子コンピューター



量子もつれ生成のイメージ動画


【今後の課題】


 いかなるコンピューターでも、導き出す回答に間違いがあってはなりません。量子コンピューターの課題は、量子テレポーテーション時に発生する量子状態・量子情報に関する誤りをいかに訂正するかです。実は現在のコンピューターでも、誤り訂正が行われています。光量子コンピューターでも、誤り訂正が完全になると、いよいよ光量子コンピューターが実用化され、成長し続けるIT社会をあらゆる面から支えることになります。(コラム5)


【ご寄付のお願い】


 非常にユニークな古澤研究室の光量子コンピューターは様々な分野で社会を救い、駆動することが期待されています。
 社会に大きな変革をもたらす光量子コンピューターの研究は、政府や大企業から拠出される研究費だけではなく、広く一般の人々からも「All Japan」で支えていただく必要があります。また、研究の性格上、長期的且つ継続的なご支援が必要です。
 光量子コンピューターが実装される社会が一日も早く到来するように、研究を加速させる皆様の力強いご支援をお願い申し上げます。(コラム6)

「今回の支援」がありがたいのは言うまでもありませんが、ご無理のない範囲で「毎月支援する」(あるいは「年2回」「毎年」)をご選択ください。

※毎月、年2回、毎年のご支援(決済方法、お申し込みの変更・停止等)についてはこちらよりご確認いただけます。
※本ページよりお申し込み画面にお進みいただきますと、初期設定で「毎月支援する」が選択されています

継続寄付の特典

 古澤研究室の光量子コンピューター研究に継続的なご支援をいただきますと、以下の特典をご用意しています。

1. 古澤研究室の実験装置見学会へご招待します。(希望者多数の場合は抽選等の可能性あり)
2. 古澤研究室の講演会のご案内や近況などをお知らせします。
3. 「Q Supporters’ Club」の会員証をお贈りします。


 会員証には「シュレディンガーのネコ」(コラム2)から発想した可愛いネコのイラストが描かれていて、寝ているネコと起きているネコの2種類があります。あなたが受け取るネコは寝ているかもしれない、あるいは起きているかもしれない重ね合わせの状態です。あなたが受け取って開封する瞬間、どちらかに収束する!?
 ぜひ、「毎月支援する」などの継続支援を選択して可愛い会員証をお受け取りください。


〈会員証のイメージ(仮)〉

会員証

※ご寄付の方法にかかわらず、「東京大学基金」の特典税法上の優遇措置が適用されます。

お問い合わせ先
【ご寄付に関するお問い合わせ】 【研究内容に関するお問い合わせ】
東京大学基金事務局 古澤研究室
〒113-8654 東京都文京区本郷7-3-1 〒113-8654 東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-5841-1217
FAX:03-5841-1219 ※E-mailでお願いします

(※電子メール送信の際はどちらも@を半角に直してください)
 
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コラム1
一か八か ・・・ ではなく「0か1か」、いや「0でもあり1でもある!?」


 コンピューターは「0か1か」のみを判別して様々な計算をしているとよく言われます。0というひとつの情報、あるいは1というひとつの情報を1ビットと呼びます。0あるいは1が計8桁あると8ビットとなります。8ビットは1バイトという単位になります。

2ビットですと4通りの情報を表すことができます。

 00 … 1
 01 … 2
 10 … 3
 11 … 4通り

4ビットですと16通り。

 0000 … 1
 0001 … 2
 0010 … 3
 0100 … 4
 1000 … 5
 1001 … 6
 ↓
 1111 … 16通り

8ビットですと、256通りの情報を表すことができます。

 00000000 … 1
 00000001 … 2
 00000010 … 3
 00000100 … 4
 ↓
 11111111 … 256通り

 今までのコンピューター(量子コンピューターに対して古典コンピューターと呼ばれています)では、一度に表すことができるのは、たとえ何通りあってもその組み合わせのうち1つだけです。
 量子コンピューターの単位は量子ビットと呼びます。量子ビットは「重ね合わせ」という量子の不思議な特性を使って、0か1かどちらかではなく、0と1の重ね合った状態を表すことができます。
 つまり、古典コンピューターは、8ビットの場合、256通りのうち1つの情報しか表せないのに対して、量子コンピューターの8ビットは256通りの情報を同時に表すことができるのです。
 この特性によって、量子コンピューターは古典コンピューターとは比べものにならない大量の情報を処理することができるのです。

コラム2
量子の不思議「重ね合わせ」
えっ!?ネコが死んだり生きたり!?


 量子の世界では不思議な現象が起きています。そのひとつがコラム1で述べた「重ね合わせ」といわれる特性で、量子は同時に、たとえばXの状態でもありYの状態でもあり得るということです。それを観測しようとするとその瞬間どちらかに決まってしまいます(収束する)。


 量子がXの状態かYの状態かに収束するのはルーレットやサイコロのように偶然であり確率的にしか予測できないという考え方は主にコペンハーゲンで活躍した学者が提唱したので、コペンハーゲン解釈と呼ばれています。しかし、アインシュタインは「神はサイコロ遊びなんかしない」と言って、この解釈に反対していました。


 この「重ね合わせ」の不思議を説明しようとしたのが「シュレディンガーのネコ」といわれる頭の中で想定した実験(思考実験)です。20世紀前半に活躍したオーストリア出身の物理学者、エルヴィン・シュレディンガーが提起しました。


 箱の中に、1時間後に50%の確率で分裂する放射性物質を1粒(量子)、分裂したかどうかを計測する機械、分裂が計測されたら致死性の毒ガスが出る装置、そして1匹のネコを入れる。さて、1時間後にネコは生きているか死んでいるか?


 放射能物質の分裂する可能性が50%なので、ネコが死んでいるあるいは生きている可能性はそれぞれ50%のはず。箱を開けて確認するまでネコは生きているか、死んでいるかわからない。つまり、生きている状態でもあり、死んでいる状態でもある(生と死が重ね合っている)と考えられます。


 実際には日々の生活のなかで、目に見える大きさのレベルで、ネコが生きていて且つ死んでいる状態というのはあり得ませんが、量子レベルではそのような不思議な状態があるということです。

コラム3
量子の不思議「もつれ(エンタングルメント)」
えっ!?テレポーテーションができる!?


 テレポーテーションといえばSF小説などに出てくるような瞬間移動を思い浮かべられることでしょう。しかし、ここでいうテレポーテーションとは、人間がA地点からB地点に瞬間移動することではありません。


 量子には「もつれ」という不思議な特性があります。もつれ状態にあるふたつの量子はどれだけ離れていても同期します。つまり、量子Aを測定すると、離れた場所にある量子Bに瞬時にその影響が伝わります。AとBが双子のように振る舞うので量子もつれペアと表現されています。この現象を「幽霊のようで気味が悪い(spooky)」とアインシュタインは言い、このような量子もつれペアが存在してしまうのは、このようなことを許してしまう量子力学が不完全だからだと言いました。これに対しデンマークのニールス・ボーアは、情報伝達のスピードは光速を超えないという相対性理論を用いて、量子力学は不完全ではないと反論しました。つまり、このようなことは物理的に「あり」だと証明しました。ただ、この議論の発端となったアインシュタインらの論文にちなんで、この量子もつれペアをアインシュタイン・ポドルスキー・ローゼンペアあるいはEPRペアと呼ぶようになりました。


 その後、1970年代以降、量子もつれは実際に存在することが証明されるようになりました。量子コンピューターは量子もつれ状態にある量子Aへの操作の影響が量子Bにも現れることにより、計算を行っています。ここで、量子もつれペアつまりEPRペアによって行われる最も簡単な操作は、量子テレポーテーションと呼ばれる、入力と同じものが出力される操作です。よって「量子テレポーテーション=最も簡単な量子コンピューター」といえます。複雑な量子計算はこの量子テレポーテーション装置を少し変えることで実現できます。

コラム4
古澤研究室のここがすごい!!


1. 条件なしの量子テレポーテーション実験に世界で初めて成功
量子テレポーテーション=量子コンピューターと言っていいほど、量子コンピューターの実現に不可欠な量子テレポーテーションは、不確定性原理では不可能と思われていたことを行っています。不確定性原理とは、ひとつの量子について、位置と運動量の情報を同時に得ることはできないということです。なぜなら位置と運動量のうちひとつの情報を測定した瞬間、量子の状態が変わってしまうからです。よって、量子テレポーテーションは条件付きでしか実現できていませんでした。
古澤教授は、1998年、世界で初めて「条件なしの完全な量子テレポーテーション」に成功しました。この成果は世界で認められ、1998年の「『Science』誌が選ぶ1998年の10大成果」に選ばれました。


9者間もつれイメージ

2. 2004年、3者間の量子もつれを生成し、量子テレポーテーションネットワーク実験に世界で初めて成功しました。2者間の量子もつれでは、AとBがもつれているか否かの2択しかありません。しかし、3者間では横に並んだ状態の場合ですと、隣どうしのAとB、BとCがもつれた状態になることができます。AとBとCが環状に並んでいる場合、AとB、BとC、AとCがもつれた状態になることができます。さらに、AとBとCが隣どうしではもつれていなくても3つの量子でもつれている状態になることもできます。2009年には3つでもつれた状態をさらに3つもつれさせて9者間もつれのテレポーテーションに成功しました。複雑で大規模な計算を可能にするには、このような複数の量子もつれを大量に生成する必要があり、2者間 ⇒ 3者間 ⇒ 9者間のステップアップは量子コンピューター実現に大きな意味があります。


3. シュレディンガーのネコ状態の量子テレポーテーションに世界で初めて成功
シュレディンガーのネコはEPRペアと並んで、量子力学黎明期の2大パラドックス・思考実験であり、その量子テレポーテーションはそれらを同時に一台の実験装置でリアルに実験を行ったことは歴史的快挙でした。


4. 2011年、従来比100倍以上の効率(61%の成功率)で量子テレポーテーションに成功
従来非常に低い効率でしか成功していなかった量子テレポーテーションを61%の効率で成功させました。50%の効率を超えると量子誤り訂正により完全な量子テレポーテーションが可能になるため、極めて画期的な成果でした。


5. 2013年、ループ構造の光回路のなかで、時間的遅延を発生させ、前後の量子を再びもつれさせる「時間領域多重」という手法を使って、従来比1000倍以上の規模で量子もつれの生成に成功しました。それまでは、光の量子(光子)を平面的に並べていたので大きなスペースを必要としましたが、ループ構造の回路内に光子を走らせることにより限られたスペースでも大規模量子もつれを発生させることが可能になりました。


6. ループ構造をもつ光の回路によるほぼ無限の量子テレポーテーション
1つの量子テレポーテーション装置を繰り返し使うことにより、無制限に量子計算を続けられる方法を発明しました。


3Dプリンターで成形した量子もつれのイメージモデル3Dプリンターで成形した
量子もつれのイメージモデル

7. 2016年、1万倍規模
世界の開発状況を俯瞰すると、50量子ビットや100量子ビット規模の量子コンピューターは実現に近づいていると言われていますが、古澤研究室では、100万量子ビット規模の量子もつれ生成に成功しました。これにより、大型量子コンピューター実現が大きく近づきました。


8. 光通信との親和性(シャノン限界の克服)
光通信の通信容量は古典物理学的限界値であるシャノン限界に近づいています。この限界は光の中の個々の光子が独立に飛んでくることによるノイズ(ショットノイズ)により決まります。このノイズをキャンセルしシャノン限界を破った光通信も量子テレポーテーションの技術で実現できます。古澤研究室ではこの研究にも取り組んでいます。

コラム5
今後の解決すべき課題


 コンピューターを名乗るからにはひとつの計算に特化するのではなく、様々な計算が大規模で可能な汎用性の高い性能が必要です。量子の重ね合わせを使う量子コンピューターの課題は、重ね合わせの状態が崩れてしまうこと(デコヒーレント)をいかに防ぎ、それが発生したときにいかに訂正するかです。訂正するためには、計算に使われる量子だけではなく、訂正のための量子が必要になり、非常に多数の量子ビットが量子もつれ状態になっている必要があります。

コラム6
今後の解決すべき課題


 古澤研究室が研究しているのは汎用量子コンピューターです。つまり、どんな計算も可能なものです。世の中で「量子コンピューター」と言っても、ある特定の問題のみ解けるものが大半で、汎用量子コンピューターはそれほど多くはありません。さらに、通常のコンピューターでは誤り訂正を行い、間違った答えを出すことはあり得ませんが、現時点で世に出ている全ての量子コンピューターは誤り訂正をしておらず、大きさの大小はありますが、ある確率で間違った答えを出します。したがって、皆さんが思っているような誤った答えを出さない量子コンピューターは汎用、特殊用途用を問わず存在していません。古澤研究室は誤った答えを出さない、つまりエラーフリーの汎用量子コンピューターを研究しています。

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