亡くされていて、遺産の一部を東京大学基金に寄付をしたとのこと。その話を聞いて、これだ!と思いました。私の主人も東京大学に育ててもらい、リタイヤ後も再び東京大学で学ばせてもらいました。そうやってお世話になった大学に恩返しができるなら、主人もきっと本望だろうと考えたのです。東京大学に寄付ができることを教えていただき、まずは東京大学基金あてにお手紙を書いて郵送しました。「亡くなった主人が東京大学の出身でした。ご寄付をしたいと考えておりますが、どのようにすればよいでしょうか」と。するとすぐに、東京大学基金の担当者(Sさん)から、電話連絡をいただきました。相続税を納めなければならない場合、その期限は相続の開始を知った日=主人が亡くなった日の翌日から10カ月以内とのこと。それまでに、寄付のことを含め、相続全体の計画を固めなければなりません。そのあたりの相続の基本や流れを含め、何度もSさんと連絡を取り合いながら、東京大学への寄付の方向性を相談していきました。ひとりの専任担当を決めて対応してもらったこと、本当に安心してお話を進めることができました。寄付の内容や種類についても、Sさんは私の希望を詳しく聞いてくれ、わかりやすく提案してくれました。私がSさんにお話ししたのは、主人が法学部と文学部で学んだことから文系学部を支援できるものを、また、私には医師をしている親族が多くおり、昨今の(*ご寄付当時)コロナの問題もあるため医療関連のプロジェクトを支援できるものを、ということ。そのうえで、やはり主人がこの世を生き、この大学に育ててもらった証を残したいということもお伝えしました。金額や寄付の種類など、無理のない範囲で設計してまとめてくれたこと、本当に助かりましたし、満足いくものになったと感謝しています。本郷キャンパスの安田講堂には、主人と私の名前が刻まれた銘板が飾られています。きっと主人も天国で喜んでくれると思います。東京大学に寄付をしてみて、良かったなと思えることは、主人が生きた証を残すことができたこと、日本を代表する大学の支援ができること、節税ができること、それ以外にもたくさんあります。主人と暮らしていた自宅が駒場キャンパスのほうに比較的近かったこともあって、駒場祭はよく見に行っていたんです。でも、本郷キャンパスは赤門の周辺を歩いたくらいで、あまり訪れる機会がありませんでした。寄付することを決めてから、何度か本郷キャンパスを訪問するようになって、広い敷地内を散策したり、内部のレストランでお食事をしたり、寄付した先には銘板がありますので、それを見に行ったり。主人が通った思い出深いキャンパスに、銘板という形で主人と私の名前が残されていることを、大変嬉しく感じております。講演会のご案内もいただくこともあり、余生の時間を過ごす新たな楽しみができました。東京大学は、主人が愛した大学です。できることなら、マサチューセッツ工科大学やハーバード大学などと肩を並べる地位を築いて、世界の誰もが「東京大学で学んでみたい」と憧れる大学になってくれたらいいですね。主人と私の小さな寄付が、少しでもその力になるのなら、これほど嬉しいことはありません。インタビュー全文は東京大学基金Webサイトにて公開しております。18―専任の担当者が、とてもわかりやすく丁寧に、 寄付の内容・種類などを説明してくれました―世界の誰もが「ここで学びたい」と 憧れる大学になってくれると嬉しいです
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