1総長挨拶人場歴史東アジア初の近代的な大学学知学術論文、蔵書、保有特許、総合知学生・教職員、卒業生キャンパス空間、サイバー空間、産学協創、寄付講座、地域連携、ベンチャーエコシステム、同窓会組織現代社会は、気候危機やGlobal NorthとGlobal Southの格差など、地球規模のきわめて複雑な課題に直面しています。こうした人類が直面する地球規模の課題に向き合い、未来をともに作り上げていく、大学こそが多岐にわたる専門領域における知識や知恵を編み合わせて、さまざまな困難を乗り越える道を見出すことに貢献していくべき存在である、私はこのように考えています。東京大学は2027年には創設150周年を迎えますが、この間、世代を超えて受け継ぎ発展させてきたさまざまな学問の蓄積の上に、社会と広くまた深く関わりながら、歩みを重ねてまいりました。たとえば、国立大学の法人化を見すえた2003年に「東京大学憲章」を制定し、「世界の公共性に奉仕する大学」という理念と目標を学内外に示しました。私が総長に就任した2021年に発表した本学の基本方針である「UTokyo Compass」においても、真理の探究と知の創造を通じて世界の公共性に奉仕する大学を支える基盤として、自律的で創造的な総合大学の新しいモデルを築くことを宣言しました。これまで前提としていた諸条件や常識が大きく変東京大学の未来社会創造モデル経営資源学問的蓄積と真理への探究心東京大学が「世界の公共性に奉仕する大学」として、価値を生み出し、社会に共感していただいたうえで、ご支援をいただき、また活動を通して社会にお返ししていく。そのような好循環を図にしたものです。化しつつある今日だからこそ、新たな時代における、大学の自律性・創造性のあり方を、私たちは常に模索し続けています。多様な資金調達新たなガバナンス体制大学知をきわめる大学人との対話人を場をつくるはぐくむ活動自律的で創造的な経営力市民との対話創造する価値世界に資する多様で豊かな学知専門の理知と教養を備えた市民世界の誰もが来たくなる大学信頼の創出と大学の機能拡張社会に与える影響〜新しいパラダイムの提案〜世界の知の多様性への貢献複雑な地球規模の課題の解決人間社会の新しいあり方の提案社会豊かで希望ある未来社会へ多様な時間軸での循環知を還元し、好循環をつくりだすために経営基盤・財政という局面においてもまた、大学の自律性について自ら新たなモデルを創りださなければならない時代にある、と私は考えています。これまでの国立大学は、その活動の原資を公的な資金に大きく依存してきましたが、いま、東京大学は、自らの資本を豊かにし、エクイティ(ステークホルダー資本)を形成していくことを目指しています。それは、まさに「世界の公共性に奉仕する大学」として自らの活動の範囲を広げていくことが求められているからです。東京大学は、これからのたゆまぬ教育研究活動においても、世界に秀でた多様な学知を生み出し、新たな未来を築く卓越した人材を育成し続け、世界の誰もが来たくなる魅力ある大学を創り上げていく所存です。そのためには、国の財政状況や制度の変化に左右されない安定した独自財源を確保することが必要不可欠です。総長挨拶次■150年■見■■■自律的■創造的■活動■続■■■■■■■
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