自己資金を先行投資し、生み出した知を通じて社会の課題解決のための手がかりを見出す。成果を社会にしっかりと示し、社会からの支持と支援を得ていく。その資金で研究、教育にさらに投資をしていく。こうした好循環をいかにつくりだしていくかが大学経営における最も重要な課題です。大事なのはこのサイクルが、利潤追求のためではなく、教育を通じた人材育成のより一層の充実や、知の地平の拡大など、さらなる果実を生みだすためである、ということです。研究や人材の多様性は東京大学の資産であり、その基盤を活性化させる「対話」は可能性の源泉です。そのためのリソースを充実させる上でもエクイティの獲得が欠かせません。東京大学がこの先のあるべき未来像をみなさまとの対話を通じて共有し、次の150年を見すえた自律的で創造的な活動を続けていくために、これからも力強いご支援をお寄せくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。創設来の150年にわたる知の蓄積を、次の150年につなげていきたい。それを実現たらしめる基金を整備したい。そんな思いをこめて、使途を東京大学に一任いただくご寄付に「UTokyo NEXT150」という名称を付しました。平時は東京大学の財政基盤として蓄積され、その運用益とともに、基礎研究を含む本学の自律的で創造的な教育研究活動に充てられます。UTokyo NEXT150について第31代東京大学総長UTokyo NEXT150の詳細はこちら2ご寄付が大きな原動力にこのエクイティのなかには、ご寄付も含まれます。特に、2022年度に立ち上げた「UTokyo NEXT150」は、使途を本学に一任いただくご寄付として、自律的で創造的な大学モデルを構築するための重要な基盤となります。お寄せいただくご寄付は資金面でのご支援にとどまらず、社会のみなさまからの期待として私たちを支え、みなさまとの対話から生まれる力強い後押しとして、本学の経営基盤強化の大きな原動力となるものです。これからの150年を見定めたさまざまな先行投資や、世界の公共性に奉仕する総合大学としての貢献に有効活用する決断を行い、大胆で機動的なアクションをも可能にする、東京大学の中核となる基盤的な基金としての拡充を目指したいと考えています。本報告書では、「UTokyo NEXT150」をはじめとする本学のさまざまな2022年度の寄付金による活動について紹介しています。是非ご一読いただき、本学の取組みについてご理解いただければ幸いです。
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