林 まりか 様東京大学工学部機械情報工学科、情報理工学系研究科知能機械情報工学科(情報システム工学研究室)を経て、学際情報学府博士課程を修了。2011年に株式会社キビテクを設立、代表取締役CEOに就任。―自分の価値観を 外側から形成してくれる寄付現在、キビテクでは、ロボット用の遠隔制御システムとオペレーションセンター機能を複合させた「HATS」というサービスを提供しています。ロボットで遠隔就労できるようにして、世界の雇用機会を均等化することを目指しています。このサービスは、出産を機にスタートしました。それまでは、社会に関わるということは考えていなくて、自分とか自分の周りがやりたいことをやる、生きのびていかなければいけないと考えてやっていただけなんですよ。そういう考え方でいると、稼げればいいやとかお金が得られればいいやとなりがちなんですけど。社会に対して意義のあることを、お金じゃなくてどういうビジョンを掲げて、途中どういう結果になったとしてもやってよかったなと思えるというところに判断基準が変わっていったんですよね。私にとって寄付とは、外側から私に対して「あなたはこういうものを大切にしているんですよ」ともう一度認識させてもらえるものだと感じています。寄付って、いろんなプログラムや物事に対するものがあると思うんですけど、どれかを選んでいかなきゃいけない。どこに寄付しようかと考えていく過程の中で、自分の中でこれを大切にしようというものを考えるものだと思うんです。私は東大基金を通じてRoboTechに寄付をしていますが、年に1回現役の学生から連絡が来ると、日常を過ごしていると忘れてしまいがちな「ロボットを通じて社会に意義のあることをしたい」という自分の想いに気付かせてもらえています。が面白いと思うようになりました。大学や会社から提示された研究に縛られることなく、自分たちでつくりたいものをつくる自宅ガレージでの活動が、私にとってはとても面白く、刺激的でした。この仲間たちと一緒にものづくりを続けていきたいという思いと、社会的活動にも取り組みたいという志がどんどんふくらんでいきました。その直感を大切に、三菱電機を退職し、2011年に株式会社キビテクを起業しました。インタビュー全文は東京大学基金Webサイトにて公開しております。12―「人とは違うことがしたかった」 「ロボット博士」がベンチャー社長に大学では、ロボット工学を専攻することにしたのですが、「ロボコン」(ロボットコンテストの略で、ロボットをチームもしくは個人で製作して、その性能を競う大会)に挑戦したことが大きかったと思います。大学院に進んだのは、ロボットの研究を続けたいと考えていたのと、親も「進学していいよ」と言ってくれたからです。そもそも私は、何か人と違ったことがしたかったので、「ロボット博士って、十分に変わっているよね」と(笑)。もとからアカデミックの道に進むとは決めていなくて、でもヒューマンインターフェース研究に関わる仕事をしたいなと、三菱電機への就職を決めました。入社後は、土日などプライベートの時間を使って、自由な研究や工作をしようと考えていました。当時、結婚をきっかけに引っ越したのが、居住用ではなく工場用の物件で(笑)。お風呂はないけど、ここなら工作機械とか実験器具を置いても大丈夫だし、音を出しても平気だという理由で契約しました。そこで仲間たちと電子工作をやっているうちに、電磁波を使ったセンシング技術寄付者インタビュー自分の想いに気付かせてくれる寄付
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