東京大学基金 活動報告書 2024
13/20

ど、多角的な活動に参加できたおかげで、いまのフィルムメーカーとしてのキャリアを歩み始めることができた後藤 美波 様19 9 3 年静岡県生まれ 。 東京大学文学部( 美術史学専修 )卒業 。日米で 数々の 短 編映画を執筆・監督・プロデュースした 経験を持つ。脚本・プロデュースを務めた長編映画「ブルーイマジン」はロッテルダム国際映画祭で 世界初上映された。インタビュー全文は基金Webサイトにて公開しております。集まります。私のころは24カ国くらいから集まっていたと記憶しています。国によって映画の作り方、考え方、資金調達の仕方が全然違うことが自然とわかりました。―「ブルーイマジン」で描いた女性たちの物語最新作 は、2024年3月 に 公開 となった 映画「ブルーイマジン」です。私は脚本を執筆しました。さまざまな形の性暴力、DV、ハラスメントに悩まされる人々に寄り添うシェアハウス「ブルーイマジン」に集まった女性たちが、勇気をふりしぼって連帯し、自分と世界を変えるために声をあげようと葛藤する物語です。 脚本執筆のためのリサーチで、たくさんの性被害についての体験記を読み込みました。そういう悪夢を見る日があったほどに。でも、ハラスメントや性暴力はこの世に現実としてあるものです。世の中の意識が良い方向に変わっていくといいな、という願いを込めて書きました。―女子学生支援のため寄付を私は主に「さつき会奨学金基金 」に寄付をしています。卒業してから数年経っても、女子学生が約20%という男女比が変わっていなかったことを知ってショックを受けました。改めて問題意識を持って調べてみたら、学力や興味があっても、周りの大人たちから様々なジェンダーバイアスをかけられて東大を選択肢に入れない(入れられない)女性が多いことを知りました。私も地方出身だからわかるのですが、「 都会は危ない」「しっかりした賃貸や寮じゃないと、娘を東京の大学には行かせたくない」と思っている親御さんはけっこう多いと思うのです。来たいと思っているのに経済的な理由で東大進学を諦めてしまう女性がひとりでも減ったらいいと願い、寄付しています。寄付の結果、安田講堂に永久に銘板を載せることができることになり、すごく嬉しかったです。実際に銘板を見た時には、こういう形でずっと大学と関わりを持ち続けられるのって素敵だな、と感じましたね。寄付者インタビュー母校である東京大学に、本当に感謝しています。在学中に経験した体験活動プログラムや、情報学環教育部、FUTI(東大友の会 )の奨学金を活用させていただいてのコロンビア大学大学院フィルムスクールへの留学なからです。― 情報学環と留学で得た大切なもの大学生活で最も思い出に残っているのが、情報学環教育部での活動です。コロンビア大学院フィルムスクールに提出することになるポートフォリオの原型となった作品を作る機会も得られました。その作品は、上野の不忍池の近くにあるストリップ劇場を舞台にしたドキュメンタリーです。二人組で作ったのですが、その子と半年くらい劇場に通い詰めて撮影しました。通っているうちに顔を覚えてくれ、常連さんたちも徐々にお話ししてくれるようになって。とても優しい劇場でした。ダンサーさんや、仲良くなったお客さんを撮影させていただき、10分くらいに編集してまとめました。私は3年間のプログラムで留学したのですが、FUTIの奨学金をいただけたのは、本当にありがたいことでした。おかげで2年目からは心理的な不安が少なくなったので、1年目よりも勉強に打ち込んで生活することができました。フィルムスクールで学んだことは、すべて自分の基礎になっています。アメリカの大学院には世界中から学生が12「東大のおかげでいまの私があるから」 新進フィルムメーカーの母校への恩返し

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る