寄付の成果
はじめに
日本の再生のために

今年の3月に起こった東日本大震災により、多くの尊い命が失われ、また多くの方々が心身に傷を負い、あるいは不安な避難生活を送っておられます。震災により日本の経済システムや人々が持っている生活にかかわる価値観は大きな転換を迫られる結果となりました。引き続き、被災された方々や地域への支援を行う中で、あらたな「国づくり」「人づくり」に向けて正面から取り組むことが、日本の今後の発展に欠かせません。
このような状況の中、東京大学が果たす使命は、教員・学生そして卒業生が日々の努力から生み出された知識を大いに活用し、日本社会をリードする「市民的エリート」の育成や多様な学術の成果を生かし、社会が直面するであろう多様な問題解決に貢献することです。その使命を果たすために、より一層の努力が必要です。
日本は天然資源が乏しく、テクニック的なスキルだけでは生き残るのは非常に難しくなっています。今後はスキルだけではなく、幅広い知識や全体をふかんする能力が必要です。ここでいう知識とは、表層的・断片的な知識ではなく、私たちが教養・智慧と呼んでいる、歴史や国際社会の切磋琢磨に裏付けられた重みのある知の体系のことです。その知識の蓄積の場として大学の役割はさらに大きいものとなります。
今後長く続くであろう社会の再生に向け、世界の英知と手を携えながら、東京大学の使命を果たし、かつ日本の未来を支えていく基幹大学を目指し、まい進いたします。
みなさまには、今後なお一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
東京大学総長 濱田 純一
江川理事挨拶

東日本大震災の発生から数ヶ月経過しました。震災・津波の被害からの復興、福島の原子力発電所の安定化が一日でも早く実現することを心よりお祈りしております。東京大学は「生きる。ともに」という救援・復興支援活動のスタンスに基づいて、教職員や学生が各々の専門性を生かしながら自発的な活動を行っています。
知識社会の到来により大学が創り出す「知」の価値が高まったことを背景に、グローバルな大学間の競争が激化しています。アメリカ、中国などの政府が学術・科学関連予算を積み増している中で、日本では国家財政の逼迫のために高等教育に振り向けられる予算が年々削減されており、東大の運営費交付金は法人化以降1割近くも減少しました。一方、教育・研究活動の国際化を一層推進するには奨学金の拡充、国際標準の留学生・研究者向け宿泊施設の建設などこれまで以上のリソースが必要となっています。このため、人員の削減を始めとする経営の効率化を図るとともに、基金活動など自己収入の増大に力を入れてまいりました。これまでみなさまからいただきましたご寄付に対して心から御礼を申し上げます。
2004年4月に設立された東京大学基金も今年で7年目を迎えます。また、7月には社会連携部が発足しました。これを機に東京大学が関りを持つさまざまなステークホルダーとの連携をさらに強め、「知の共創」を実現していきたいと考えております。東京大学の教育・研究活動にさらなるご理解とご支援を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
東京大学理事 江川 雅子
次代を担う若者に投資を

平素より、東京大学基金に多大なご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
昨年3月に、策定・公表された東京大学の行動シナリオ(FOREST 2015)には、行動ビジョンとともに、九つの重点テーマ別行動シナリオが明示されております。
この中で私たち渉外本部の活動と密接に関連するのが「2.グローバルキャンパスの形成」「4.タフな東大生の育成」及び「7.卒業生との緊密なネットワークの形成」です。これらを、包含するプログラムとして既存の「外国人留学生支援基金」のさらなる充実を目指すとともに、「日本人学生海外派遣基金」を新たに掲げ、法人企業、卒業生、地域同窓会及び、教職員のみなさまに、ご支援をお願いしてきました。
お陰さまで、数社の法人企業、一地域同窓会、多くの教職員からの賛同をいただくとともに、卒業生個人の方から大口の奨学基金のお申し込みをいただきました。またニューヨークにある非営利法人FOTI(Friends of Todai, Inc.)にも日米両国間の学生の交流を支援するプログラム「FOTI International Leadership Awards」を設立していただきました。
私たちは、こうしたご寄付は、次代を担う若者への投資と考え、さらなる拡充を図って参りたいと思っております。
今後とも、より一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
東京大学副理事・渉外本部長 杉山 健一
2010年度収支等報告(2010年4月~2011年3月)
東大基金2010 申込総額は31億円
東京大学基金2010年度の寄付金活動は、みなさまからの温かいご支援により、総額31億円に達しました。東京大学基金に対しまして深いご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
みなさまのご寄付は、東京大学基金運営委員会のもと「東京大学基金」を柱として積立て及び運用原資として活用させていただくとともに、一部は全学的に推進する新機軸プロジェクト(全学支援プロジェクト)等の財源として確保・利用させていただいております。
東京大学が取り組む活動にご賛同いただき、その目的に沿った形でご寄付いただいた主なプロジェクトの活用状況を報告します。
数字で見る寄付の実績(2011年3月31日現在)
FOREST 2015
東京大学基金は、「2020年には、2,000億円の基金へ」を目標に取り組んでおりますが、今年度よりその目標を掲げながら、濱田総長在任中の行動シナリオ「FOREST 2015」の実現に向けた目標として、使途に指定のない寄付金(非目的指定)を運用原資としてフル活用するため、「2015年3月までに200億円の非目的指定寄付基金」を目指します。
科学研究にかかわる予算について、ここ数年来の政府予算の編成過程で、厳しい状況を強いられる傾向にあります。また大学改革について、時代の要請にこたえる人材育成及び限られた資源を効率的に活用し、全体として質の高い教育を実施するため、大学における機能別分化・連携の推進、教育の質保証、組織の見直しを含めた大学改革を強力に進めることとし、そのための方策に関して検討する動きも聞かれます。
このような中、東京大学の運営にかかる財政基盤を強化することは日本の発展に寄与するため必要不可欠です。
世界のリーディング・ユニバーシティーとして、世界をリードするためにも、当面の課題である200億円の基金という目標に向かって着実に歩みを進めていきます。

寄付者応援メッセージ
自分を育ててくれた場所、そして自分を育ててくれた先生への愛着は自然な感情だと思う。同じ学び舎で学んだ仲間との関係も損得を超えている。今回はそういう気持ちで寄付をさせてもらった。出身学校、出身地への思い入れ、愛着は、時代とともに薄れてきたのだろうか。東大出身者は、大学を単なる通過点と思っている人が多いように感じる。
生山 智己様(52年経卒)東京・神奈川・千葉銀杏会幹事













