2019年活動報告
- 資料の修復とデジタル化や常設展示の開始を行いました-

2020年05月18日(月)

東京大学経済学図書館・経済学部資料室寄付のお願い 詳細はこちら

2019年は、東京大学に日本で初めての経済学部が開設されて100年の節目でした。東京大学経済学図書館・経済学部資料室は日本で有数の社会経済関係の専門図書館であり、専門分野の図書・雑誌に加えて、古貨幣・古札といった博物資料から企業経営や政府審議会に関わる一次資料までを収集しています。これらは、近代社会の歩みや経済学の学術的変遷を跡づける歴史的資料として際限ない価値を有しているものの、その保存については、方法・技術、さらにはこれらを担う人材育成など種々の観点からみて体系が構築されていません。このため、これらの資料保存に関する調査研究や所蔵資料の実際の保存、さらにはその成果の教育普及活動を続けているものです。これらの取り組みは2006年頃より開始していますが、東京大学基金にプロジェクトとして登録したのは、2013年11月からです。以後、上述の目的に沿った継続的な寄附活動として経済学部資料室が中心となって取り組んでいます。以下、2019年の活動全般について報告いたします。
 

常設展示の開始

経済学図書館閲覧室内に展示スペースを設置し常設展を開始しました。本年は「ホガースと18世紀イングランドの暮らし」(2019年1月15日~4月11日)、「おわりとはじまり」(4月13日~6月27日)、「錦絵に見る明治初期の経済と産業」(6月29日~9月30日)、「東京大学経済学図書館の100年」(10月25日~11月30日、12月16日~2020年2月1日)、「情報の伝達と情報の分析」(12月2日~13日)の5回の小展示の企画運営を行いました。全ての展示は広く一般に公開し、各会ともに展示解説を作成しました。また、展示初回初日の1月15日昼休みには、展示作品に関するミニレクチュアを開催しました。

展示_東京大学の100年ポスター
 

公開講演会の開催

学部内の研究会である政治経済学ワークショップと共催で「資本主義・歴史研究会」を立ち上げ、社会人で特に企業経営者や企業の管理職などで学術に関心のある方を対象とし、公開講演会を2回(7月22日および11月26日)開催しました。

第2回 資本主義・歴史研究会

第2回 資本主義・歴史研究会

オープンキャンパスにおける書庫内見学と貴重資料展示の実施

オープンキャンパス展示

高校生にも大学図書館が保存する学術資料の実際を理解してもらうべく、8月8日のオープンキャンパス時に図書館・資料室ともに閉館し、通常は非公開である図書館書庫の見学と「教科書で見た社会や経済の歴史資料ってどんなもの? : 東京大学経済学図書館の資料から」と題した貴重資料展示を実施しました。
 

資料の修復とデジタル化

修復作業

所蔵資料を歴史資料として次の100年へと保存するため、また上述の展示等の諸活動のために、所蔵資料の健康状態を保つため、劣化資料の修復とデジタル化による公開を随時行い、資料の利用・公開に状況の改善に努めました。
 

資料保存に関する教育活動

6月22日に、「資料管理の現場でデジタルアーカイブを位置づける」(社会・労働関係資料センター連絡協議会と共催)を開催しました。このセミナーでは、経済学図書館・経済学部資料室におけるこれまでの資料保存研究およびその実践の成果を、方法論と技術論の観点からの講義と実習を行ない、司書・アーキビスト・研究者など多数の参加がありました。このほか授業・研修での講義受講や見学希望の申込が年間を通じて多数あり、活動の趣旨や成果の報告、寄附金の広報などを直接行なう機会を得ました。
 

広報活動

本プロジェクトの趣旨やこれに伴う寄附依頼については、東京大学経済学図書館・経済学部資料室のWebサイトで周知するとともに、経済学部資料室リーフレット(Web版はこちら)や各種案内に寄附依頼を掲載し、上述の催しにおいて配布するなど、年間を通じて広報に努めています。
 

寄付金の主な使途

皆様から頂いたご寄付は、資料保存や上述のイベント等の開催に伴って必要となる人件費や、それに関わる諸雑費、また資料デジタル化のための費用などの一部として大切に活用させていただきました。

引き続き皆様のあたたかいご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

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