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 「樹芸研究所 自然散策と石窯ピザ作り体験」

東京大学基金 特別セミナー
 「樹芸研究所 自然散策と石窯ピザ作り体験」

東京大学基金 特別セミナー
 「樹芸研究所 自然散策と石窯ピザ作り体験」

 2013年12月4日(水)、東京大学基金寄附者特別セミナー、「樹芸研究所 自然散策と石窯ピザ作り体験」を開催させていただきました。

 今回は東大基金にご支援をいただいている会員の方々、特にこれまでに東大の森育成資金にご支援をいただいた方にご案内差し上げましたところ、12名の方にご参加いただけました。当日は薪割りや石窯ピザ作りなど、アウトドアでの体験が多い内容を予定していましたので天気が心配でしたが、師走にしては暖かいほどの天候に恵まれました。

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左:下田駅にてスタッフがお出迎え。右:緑豊かな樹芸研究所の散策へとご案内。

 東京大学が有する演習林は、全国7ヶ所に設置され、その総面積は東京山手線内面積の5つ分に当たる32,300haにおよんでいます。森林や樹木に関する研究を行うと共に、 フィールドワークへの活用などの社会貢献活動も進められています。

 伊豆の樹芸研究所は、熱帯・亜熱帯産の特用樹木の研究施設として、1943年に静岡県三加茂郡南上村青野(現南伊豆町青野)に設立されました。温泉熱を利用した面積260㎡の温室と、総面積246haの研究林を持ち、様々な特用樹木の育成とそれらを教材とする教育プログラムを提供する場となっています。

 森林は暖温帯の照葉樹林帯に属し、潜在的にシイ・カシが優占していますが、そのほか、アラカシ、ウラジロガシ、シロダモなどが混成する常緑広葉樹林となっています。また「樹芸」という言葉には「樹に親しみ、樹を暮らしに役立て、樹を育む」という意味が込められており、学生の全学体験ゼミナールや森林実習など、自然を知るフィールドとしても積極的に活用されています。

 当日はスタッフが伊豆急下田駅でお迎えし、マイクロバスで樹芸研究所へ向かいました。到着後、午前中の自然散策では、ユーカリ造林地の見学(マイクロバスの中から)、学生がゼミナールで管理している竹林や、渓流の上に竹を組んで作られた川床、敷地内に設置されている石燈籠などの見所をご案内しました。夜間にはイノシシがタケノコを狙って竹林に現れることもあるそうです。地面にはそのような動物たちの足跡や、シカが樹皮を剥いだ「バクチノキ」なども残っており、参加者の方々は興味を持たれた所について熱心に質問をされていました。

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左:中央の記念樹はクスノキ。左右に石灯籠。右:シカが樹皮を剥ぎ取ったバクチノキ。

 昼食前には、希望者による薪割り体験を行い、参加者からは「懐かしい」「子供のとき以来!」との声も。みごとに薪が割れた時には拍手や歓声が起こっていました。割った薪はドラム缶で燃やし、手をかざして暖を取りました。
 昼食の懇親会では、ピザ生地に好きな具材をトッピングして頂き、樹芸研究所特製の石窯に入れてピザを焼きました。トッピングにはトマトやチーズなどに加えて、地元で獲れたイノシシ肉も。石窯の火力であっという間に焼き上がるので、熱いうちに召し上がって頂き、シシ汁やサンマの棒寿司とともに、南伊豆の自然の味わいをお楽しみ頂きました。

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左:石窯の前で記念写真。麗らかな晴天でした。右:ヘルメットに軍手をして、いざ挑戦!!

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左:トマトやシシ肉・・・好きな具材をトッピング。右:石窯の火力であっという間に出来上がり。

 昼食後には、樹芸研究所で実際に使われている小型ショベルカーの乗車体験を行いました。通常は乗る機会のないものですが、初めてと思えないほど上手な方も。
 最後はバスで温室、樹芸研究所事務所、運動会の下賀茂寮がある南伊豆町加納地区へ移動し、温泉の熱を利用した温室をご案内。蔓性のラン植物であるバニラ、幹に直に大きな実がなっているカカオの木、家具の材料となるチークの木など、熱帯・亜熱帯の植物を実際にご覧頂き、参加者からは驚きの声も上がっていました。

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左:初めてのショベルカーで、地面を掘る体験。右:温室では熱帯・亜熱帯の植物約300種を展示。

 全ての体験が終了した後は、電車でお越しの方は下田駅までマイクロバスでお送りいたしました。途中、鴨田研究所長が南伊豆町の木である「ウバメガシ」を偶然に発見、せっかくなのでと途中下車してご説明を行いましたが、ここでウバメガシの歴史秘話について、鴨田研究所長のレクチャーをご紹介致します。

鴨田研究所長より~伊豆におけるウバメガシについての歴史秘話~
 伊豆下田はペリー提督率いるアメリカ艦隊が来航したことで知られています。その際の1854年4月から6月にかけてウィリアムズとモロウによって多くの植物採集がされました。ウバメガシは翌1855年5月にライトによって採集された標本に含まれます。ハーバード大学のエイサ・グレイ教授はこの下田産の標本に基づいてウバメガシを学名Quercus phillyraeoides A.GRAYA.GRAYという新種として発表しています。1859年のことで、下田産標本に基づいて発表された新種は17種1変種とのことです。これは昭和天皇がまとめられた『伊豆須崎の植物』に詳しく記されています。このようにウバメガシのタイプ標本は下田産ですから、世界的に下田地域はウバメガシの産地として登録されていると言えます。

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左:直径が1m近い31年生のユーカリ。右:クスノキの樹冠。隣り合う枝葉が接しない。

 このような自然を研究・管理する演習林を支援する「東京大学の森」育成資金について、 併せてご協力のお願いをいたしました。なお10万円のご寄附で、演習林の樹に自分の名前をつけられる「記念樹」の制度もあり、実物に会いに行くことも出来ます。
 詳しくは東京大学基金事務局へお気軽にお問い合わせ下さい。
(TEL:03-5841-1217 MAIL:kikin.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jp

 東京大学では、演習林という形で所有している自然を、専門家の手で守り育て、責任を持って次世代へ伝えて参りたいと考えます。野生動物のすむ美しい自然として、また自然を学ぶための貴重な場所として、「東大の森」を維持していくために、是非ともご関心をいただければ幸いです。

※肩書きは特別セミナー当時のものです。

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