私が母校の東大に寄付する理由は2つあります。1つは、アメリカで当然のように寄付をする文化に触れ、素敵だなと感じたこと。さらに、たくさんの方々の寄付により、私がいただいたFUTIの奨学金が成り立っていると知ったことです。
アメリカではカジュアルに寄付が行われています。たとえば、音楽会に当日行けなかった場合、そのチケット代をすぐ寄付に回すことができる。そしてリクエストすれば税の控除を受けられることも。人々のモチベーションを上げる仕組み作りもうまいのですね。そのように自然に寄付ができるのって、とてもいいことだと感じていました。
もう1つは、私の父が本郷キャンパスの図書館改装の際に寄付をしていたということ。父は東大出身ではないのですが、寄付というかたちで東大に関われたのがすごく嬉しいと喜んでいて。それを見ていたら、なんかいいなあと思ったんですね。
その時に「(お金持ちでもないのに)よく寄付するね」と父に言ってしまったのですが(笑)、「いやいや、一部は税控除で返ってくるんだよ」と教えてくれて。それではじめて、東大への寄付でも税控除の対象になるんだ! と私は知りました。
私は主に「さつき会奨学金基金」に寄付をしています。卒業してから数年経っても、女子学生が約20%という男女比が変わっていなかったことを知ってショックを受けました。特に、私がいた大学院のクラスは男女が半々だったので、翻って東大の男女比を見ると異様に感じました。あらためて問題意識を持って調べてみたら、学力や興味があっても、周りの大人たちから様々なジェンダーバイアスをかけられて東大を選択肢に入れない(入れられない)女性が多いことを知りました。
その後、さつき会は自宅以外から通学する女子学生を対象に奨学金を出している、と読んだのが、寄付を始めた直接のきっかけです。私も地方出身だからわかるのですが、「都会は危ない」「しっかりした賃貸や寮じゃないと、娘を東京の大学には行かせたくない」と思っている親御さんはけっこう多いと思うのです。そういう場合、お金に余裕がなければ東大は進路の候補から外れてしまいますよね。来たいと思っているのに経済的な理由で東大進学を諦めてしまう女性がひとりでも減ったらいいと願い、寄付しています。
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