ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト

イタリア共和国にあるローマ時代遺跡の発掘調査

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プロジェクト設置責任者

東京大学大学院総合文化研究科 教授
村松 眞理子

今年度寄付総額
2,271,000円
今年度寄付件数
38件
現在の継続寄付会員人数
30人

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東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

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ご支援のお願い

~プロジェクトリーダーからのメッセージ~

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ソンマ・ヴェスヴィアーナの位置
(GoogleData SIO, NOAA, U.S. Navy, NGA,GEBCOLandsat/CopernicusAirbusに加筆)

日本列島で大陸から伝わった米作りが広まってきた頃、ヨーロッパの地では「ローマ帝国」という民族の枠を超えた一つの領域国家が発展していました。その帝国が、地中海を中心に版図を大きく広げつつあった紀元後1世紀の後半に起こったイタリア・ナポリ近郊の、ヴェスヴィオ山の巨大噴火によって埋もれた町「ポンペイ」の話はあまりにも有名です。

ポンペイは、その噴火によって壊滅して地中に埋もれてしまい、町として復興される事はなく、人々の記憶から消えてしまいました。しかし、同じ噴火で罹災した地域の中には、見事に復興を遂げた場所も存在しています。我々は、そうしたローマ時代の遺跡の発掘調査を、2002年以来現在まで続けています。  

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ソンマ・ヴェスヴィアーナの遺跡の最近の発掘調査区

一方、ローマ時代の有名な歴史書の中には、帝国の初代皇帝であったアウグストゥスは、ヴェスヴィオ山の北側に所在した別荘で西暦14年に息を引き取り、その後その建物は、彼を顕彰する施設として奉献されたという記述がありますが、現在に至るまでその存在は特定されていません。

そうした中、近年の我々の発掘調査で西暦79年のヴェスヴィオ山の噴火によって埋没した建物の一部が発見されました。これは、とりもなおさずこの地域で初めてアウグストゥス帝の別荘と同時代の建物が学術的な裏付けをもって見つかった事を意味しています。

調査を通じて得られた、「噴火罹災地の長期的復興のプロセスを復元する事」と「初代ローマ皇帝アウグストゥスの終焉の地を、考古学的に検証する事」という2つの大きなテーマを追求するためには、発掘調査の規模をなお一層拡大する事が不可欠です。

もう一つのポンペイを現代によみがえらせ、アウグストゥス帝の事績とローマ帝国のはじまりをたどるために、是非ともより多くの方々のご支援を賜り、共に人類の歴史の重要な1ページの新たな発見者になっていただきたいと思っています。
 

東京大学大学院総合文化研究科 教授
村松 眞理子

~初代プロジェクト設置責任者からのメッセージ~

東京大学を中心とする発掘調査団が2002年からヴェスヴィオ山の山麓で発掘を行っています。場所は北山麓に位置するソンマ・ヴェスヴィアーナ市で発見されたローマ時代の遺跡です。ヴェスヴィオ山を挟んで反対側にあるポンペイと比較することによって、ローマ時代の歴史と文化をいっそう深く広く理解できることでしょう。

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東京大学名誉教授、文学博士
青柳 正規

今、なぜこの研究が必要なのか?


当研究プロジェクトは、日本の大学のチームが、海外で行う大規模な考古学調査として画期的なものです。そもそもイタリアで現在進行中の単体の古代遺跡発掘としても、例がありません。 

では、今、どうしてこの調査を、東京大学が行っているのでしょうか? 

◆災害考古学の観点からの重要性
2011年の東日本大震災による被害以降、特に日本でもあらためて火山学・地震学との連携の必要性が認識されています。ヴェスヴィオ山の南麓は、ポンペイやエルコラーノなどの火山噴火で壊滅した古代都市遺跡などの世界遺産があることで知られています。当プロジェクトには、火山国・地震国である日本のチームがその北麓地域で、古代の邸宅である新たに発見されたヴィラ遺跡を調査し、自然災害と人間の共存という現代社会にとっても切実な課題に向き合う学際研究を発展させ国際的に発信する意義があります。

◆古代ローマ帝国と皇帝崇拝のはじまりを解き明かす大きな鍵
20年来の発掘調査を経て、いよいよローマの初代皇帝アウグストゥス時代のヴィラの姿が明らかになりつつあります。この考古学的発見は、古代ローマ帝国と皇帝崇拝のはじまりという人類史の重要な局面を解き明かす大きな鍵となるはずです。さらに、この遺跡の発掘を通し、(イタリア半島南部のカンパーニア地方の)古代ローマ世界がいったん帝国の隆盛に向かいながら、紀元後1世紀の自然災害により破壊され、復興し、再び5世紀に火山による破壊で歴史的忘却に埋もれてしまった一連のサイクルに光をあてる画期的成果が期待されます。

◆学際知の教育への還元と、市民とアカデミズムの出会いの場を構築
今日世界の文化遺産の発掘研究とその修復保存は、国際社会が共同して人類史を探究し、共有し、多様な文明と人々の共生と平和の根幹を支えるためのものです。 私たちの20年来の南イタリアでの考古学調査は、東京大学が中心となり、文理横断のさまざまな分野の学問的蓄積と技術を学際的に応用してきた国際共同研究の実践です。そして、その学際知の現場をさまざまな分野の若い学生たちの教育に活かしつつ、自らの歴史を国際的に共有しようという市民とアカデミズムの出会いの場を構築してきました。日本の考古学・ヨーロッパ文化研究と自然科学の蓄積の上に、世界の文化遺産の共有と国際社会の平和のために、発掘調査を貫徹してその成果を今後生かしていくことで貢献することを目指しています。

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20年間におよぶ発掘調査と新しい展開

◆発掘調査20年で考古学史上の重大な発見が明らかに 
20年を超える調査の成果から、この遺跡には新旧2つの異なる建物が上下に重なっていることが明らかになりました。特に最近の発掘調査によって発見された旧い時代の建物には、紀元後79年のヴェスヴィオ山の噴火によって罹災した痕跡がはっきりと残っています。この噴火はまさにあのポンペイなどを壊滅させた大噴火です。しかし、ポンペイなどの発掘でもわからなかった罹災から復興に至る営みの足跡を残す稀有な遺跡として、東京大学の発掘は大いに注目を集めています。

◆「ポンペイ」世界の発見
ついに近年の発掘で、紀元後79年の噴火以前の建物の一部の部屋が姿を現しました。現在のところ4つの部屋・空間が確認されています。特に第22室と私たちが呼ぶ部屋では、ワインなどを輸送・貯蔵するための土器(アンフォラ)が16本も発見され、その多くは壁に寄りかかるように据えられたままでした。第25室と呼んでいる小さな空間の床面には、火を焚いたときに生じた炭や灰が大量に発見されました。ここは、湯を沸かしたりしたと思われる窯の一部と考えられます。紀元後1世紀に用いられていたこれらの空間には、当時の人々の生活スタイルがそのまま保存されています。

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◆ヴェスヴィオ火山の噴火で再び地中に姿を消した 紀元後79年噴火以降の建物
紀元後2世紀中ごろには、新しい建物が同じ地点に作られ始めました。その時点では紀元後79年の噴火災害にあった旧い建物の一部が露出していたのかもしれません。人々はそれらを復興の目印として利用したと想定されます。煉瓦造りのアーチ、大理石の円柱、酒の神であるディオニュソスなどの大理石製の彫像を据えた大広間が新たに設えられ、その規模と壮麗さから、公共性をもつ建造物であったと言えます。

しかし、地域の社会と経済の変動とともに、紀元後4世紀ごろになると大規模なワイン生産の場へと変貌を遂げていきます。ブドウの圧搾施設、果汁を流すための水路が作られ、その先に醸造用の大甕などが新たに埋められました。しかし、この建物も紀元後472年のヴェスヴィオ火山の噴火で再び完全に埋没してしまいました。ここには紀元後5世紀の人々の生活スタイルがそのまま保存されています。

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ソンマ・ヴェスヴィアーナ遺跡発掘第2章で、東大が何を目指すか?

◆伝説のローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの別荘の調査へ
皆様からのご寄付をもとに、これからの調査は紀元前後に創建されたと考えられる「アウグストゥス帝ゆかりの建物」の解明に向けていきます。2023年の発掘で採取した炭化物や火山灰の年代推定の分析結果から、これらの建物が、ヴェスヴィオ山北麓周辺に存在したと歴史書に語られているローマ帝国初代皇帝であるアウグストゥスのヴィラである可能性が地理的にも時期的にも高いと言えます。これからの発掘でその実態が明らかになることに大きな期待が寄せられています。

まず、発掘調査区を広げ、紀元後79年の噴火で埋没した建物の輪郭を少しでも多く検出し、どのような建物だったのか、機能や装飾はどのようなものだったのか、研究を進めます。2023年の調査でお湯を沸かすための「窯」が検出されたことから、その付近での浴場施設(テルマエ)の発見が期待されます。温浴・微温浴・冷浴など数種類が使われた浴場とその床面や壁の大理石装飾などが存在する可能性があります。

ただし、私たちは地中に埋没しているモノを掘り出すことだけを目的とはしていません。調査中の遺跡は、紀元後79年の噴火時に火砕流・土石流などで建物の屋根や壁などが壊されています。梁などの木材や有機物、そして崩れ落ちた屋根瓦やレンガや石で構成される壁体の検出とその三次元的記録化など災害工学的な視点での発掘調査を行っていきます。私たち調査団は、紀元後1世紀からのヴェスヴィオ山麓地帯の火山災害史に、画期的な新たなページを書き加えようとしているところです。

寄付金の使途

皆さまからいただいた寄付金は、写真にみられるようなソンマヴェスヴィアーナでの発掘調査・研究教育・遺跡の修復と保存のための活動に大切に使わせていただきます。 

◆発掘調査の環境整備や遺跡修復のために

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発掘に要する大型重機の使用
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風雨から遺跡を保護するための屋根掛け
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発掘成果の発信に向けた出土遺物の整理作業
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出土した壁画等の遺構・遺物の修復


◆研究の発展のために

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他分野の研究領域との協業による研究の推進
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災害考古学の視点に基づく発掘調査
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火山灰に埋没した土器などの内容物の調査
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出土自然遺物(骨・種・土壌)の分析

 

◆教育やアウトリーチ活動のために

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 発掘現場での国際研修プログラム等の実施
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シンポジウム開催等の国際的発信の一層の充実

<ソンマ・ヴェスヴィアーナでの発掘に関する報道実績>
ソンマ・ヴェスヴィアーナでの発掘調査の成果については、これまでに日本のマスコミ等に度々取り上げていただいています(下記表)。記事の内容についても、遺跡・遺物の新発見にとどまらず、多岐にわたることは、この発掘調査が長年継続してきた研究結果の蓄積とともに研究領域の多様化の現れといえます。また、イタリア国内でも、ほぼ毎年のようにナポリの地方紙には発掘調査成果の速報が掲載され、しばしばイタリアの公共放送局(Rai)のニュース等で全国的にも取り上げられるほどの人々の関心を呼ぶ発掘調査となっております。
また、2003年・2004年に出土した大理石製の彫像(ペプロフォロス像・ディオニュソス像)は、2005年に愛知万博を皮切りに、これまで4回日本で展示され、最近では2023年のポンペイ展に出品され多くの観衆を魅了し続けています。

【関連サイト】Somma Vesuvianaプロジェクトサイト

~過去のメディア掲載、関連イベント等~ (2024年4月1日現在)
【新聞記事】
●「初代ローマ皇帝別荘か」(朝日新聞・夕刊、2001/7/21)
●「初代ローマ皇帝別荘?宗教施設?」(朝日新聞・夕刊、2004/10/8)
●「ギリシャ神話の酒神像を展示へ」(読売新聞・朝刊、2005/1/24)
●「ポンペイ後 息づく色」(朝日新聞・夕刊、2006/11/10)
●「人間と火山、考古学から探れ」(朝日新聞・夕刊、2007/2/2)
●「「異教」とキリスト教共存」(読売新聞・朝刊、2008/3/6)
●「初代皇帝しのぶ聖地か」(読売新聞・朝刊、2008/3/5)
●「社会の中の考古学とは?」(朝日新聞・夕刊、2013/2/25)
●「世界史アップデート 遺物が示す噴火時期」(読売新聞・朝刊、2022/3/1)
●「私は誰 どうして穴が」(朝日新聞・夕刊、2022/3/8)
●「北麓に眠る もう一つのポンペイ」(朝日新聞・朝刊、2022/9/15)
●「発掘20年 ついに手がかり」(朝日新聞・夕刊(1面)、2023/12/18)

【テレビ放映】
●「キャノンスペシャル 発掘!ローマ皇帝最期の館~もう一つのポンペイ ソンマの正体~」(テレビ朝日・2005/10/25~10/28)
●「テレビ未来遺産 緊急!池上彰と考える“巨大噴火”日本人へ 古代ローマからの警告」(TBS・2014/5/14)
●「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん『博士ちゃん 海外特別プロジェクト第3弾! イタリア世界遺産「ポンペイ」「ローマ」超巨大国家ローマ帝国の滅亡ミステリー 3時間スペシャル!』」(テレビ朝日・2024/12/28)
その他TBSふしぎ発見、NHK特集など

【彫像の展示】
●「グローバルショーケース」(愛知万博 愛・地球博 グローバル・ハウス オレンジホール、2005/3/25~9/25)
●「ディオニュソスとペプロフォロス―東京大学ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査の成果展」(東京大学総合研究博物館、2005/10/15~11/13)
●「大ローマ展 古代ローマ帝国の遺産──栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ──」(国立西洋美術館、2009/9/19~12/13)
●「特別展ポンペイ」(東京国立博物館、2022/1/14~4/3)

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「ライターBさん」発掘現場訪問記(前編)

2025年04月04日(金)

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 学生たちの国際研修と時期を同じくして、2024年9月に現場へお越し頂いた当プロジェクト支援者でもあるライターのBさんが、臨場感あふれる訪問記を寄せてくださいました。前編と後編に分けてここに紹介させていただきます。

【いざ!ソンマ・ヴェスヴィアーナ遺跡、発掘現場へ!】
 遺跡のあるソンマ・ヴェスヴィアーナ市は、イタリア南部ヴェスヴィオ北麓に位置しており、ナポリから鉄道で30分程揺られた場所にある。
 遺跡発掘によって、近年名称が”Mercato Vecchio”(旧市場)から”Villa Augustea”(アウグストゥスのヴィラ)に変わったという最寄り駅から発掘現場へは歩いておよそ2分ほど。のどかなソンマの日常風景を楽しみつつ、現場へと到着した。現地では、東京大学の発掘調査団の皆さん(松山研究員、杉山研究員、岩城研究員)が、プロジェクトリーダーの村松真理子教授といっしょに出迎えてくれた。

【ついに念願の、本物のソンマ遺跡と出会う】
 門に入って数歩進むと・・・
目の前に広がるのは、ついさっき車窓から見ていた風景とは別の時空に迷い込んだような・・・本物のソンマ遺跡の姿。
あまりに唐突に現れたその全容に、足がすくみ、思わず身震いしてしまう。
想像をはるかに超えるスケールの大きさ。しばしその光景に圧倒される。2000年の永い眠りから目覚めたその古代遺構は、まるで再び時を刻みだしたかのように生き生きとした波動を放っている。すごい・・・としか言葉が出てこない。

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 この日は国際研修の一貫で数名の東大生たちが発掘作業に参加しており、その様子をじっくりと見学させていただく貴重な機会を得た。
3班に分かれ、毎日ローテーションしながら、学生たちは作業を体験する。
もちろん、熟練した研究員から安全面を考慮した入念なレクチャーを必ず受けてから。

【発掘作業の今】
 想像していた以上に広大で、バラエティ豊かな様相を呈する発掘現場。
現在、作業が進行している場所はかなり深く掘り下げられ(地下約12m)、明らかに遺構と思われる様々な部屋?のようなものが現れている。
 発掘現場の今はどんな状況なのだろう?プロジェクトリーダーの村松教授に伺ったところ、「毎日どんどん新しい発見が出てきていますが、確実なのは私たちがアウグストゥス帝の時代にたどり着いたということ」

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村松教授にレクチャーを受ける

【学生たち、人生初の「発掘作業」に挑戦】
 さて、発掘作業とはいかなるものか・・・?
撮影や取材をしつつ、ライターBもすべての作業を見学!
ああ、こんな貴重な体験ができる日が訪れるとは・・・。
古代の土をしっかり踏みしめ(裸足になりたい衝動にかられる…)、ひとりじわじわと感無量にひたる。深く掘り下げられた遺跡の中から青空を見上げる。古代の人たちも、こうして同じ空を見上げて、そろそろ秋めいてきたねえ、なんて同じようなことを語らっていたのだろうか。・・・そこに間違いなく人々の営みがあったことを妄想し、胸が高鳴る。
そして、初めて握る「発掘作業道具」を手にし、否応にもテンションがあがる。
この日の発掘作業は大きく3つ。

① 「土の壁から地層を出す作業」
 コテなどの道具を使って土の壁の断面を削り、地層をきれいに表出する作業。
「地層がきれいに出たら、表面に薬剤と布を貼り付け、それを剥がす。つまり地層全体を剥ぎ取る作業。剥ぎ取った地層は貴重な堆積資料として保管する」。そう、松山研究員が丁寧に説明してくださった。

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作業について松山研究員から詳しいレクチャーを受ける学生

遺跡とはいえ、ザクザクとかなり力を入れて大胆に削っていく必要があるようで…「とてつもない重大なところを傷つけてしまったら」…等とドキドキしながら、古代の地層と直に触れ合う学生たち。今、彼らが手に触れているこの土が、2000年前のもの…と思うと、それだけで自分まで胸が高鳴る(常に妄想…)。 ザクザクという音とともに、まるで古代の土と対話しているような気持ちになってゆく。
 中には「ひたすら無になれる」と、すっかりハマっている学生も。やっぱり学生の体力はすばらしい。

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古代の地層と直に触れ合う学生たち

② 「粘土質から石や土器等の破片を取り出す作業」
 限られた区画内でも、場所によって土の性質が異なる。見た目ではわかりづらいが、場所によっては粘土質の部分も。そこから道具を使って、石や遺物の破片等を取り出す作業。
石のかけらや何らかの破片が出てくるため、一番「発掘作業」らしい作業。すごいものが出てくるかも!とワクワクしながら学生たちは作業を進めていた。

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初めて遺跡に触れる

③ 「遺物の破片を洗浄する係」
 担当作業班が発掘して選別した石や遺物の破片等を手で丁寧に洗浄する作業。地味な作業のように思えるが、ひとつひとつの遺跡のかけらを手の中でじっくりと観察できる、これまた興味深い作業である。中には、何らかの模様が入ったようなものや、「これってこの石と同じ部分じゃない?」と同じ素材を呈したものなどをみつける学生もいて、見ているだけでワクワクする。

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床モザイクに使う大理石片が洗い出された

 もちろん、「発掘」と一言でいっても、これだけではない。
他にもたくさんの土木的な作業や発掘の工程がある。発掘現場って、掘るだけじゃないんだなあ・・・

【発掘作業の大変さを、身をもって知る】
 ほんのわずかでも、発掘現場を見学させていただいてまず感じたことは、

・とにかく、力仕事で大変!
今回は比較的過ごしやすい9月中旬であったが、真夏の発掘作業は1日屋外にいるだけでも体力を消耗する上、作業の多くは思いのほか力仕事。
また、土埃や砂埃を浴びるため、作業中もあっという間にゴーグルが曇るほど。必ずマスク着用での作業となるため、特に暑い季節は本当に大変・・・。

・地道にコツコツと・・・!
手で行う作業はどれも地道で繊細な作業。一気に進めたいからと粗い作業をすることはできない。何が出来てくるかわからないからこそ作業は慎重になる。そのため、コツコツ作業をしても、進むのはわずか。それは本当に気の遠くなるような作業・・・。

・安全面も慎重に。常に神経をはりつめて・・・
地表に何かを建設するのとは異なり、地底深く掘り下げる作業ゆえ、不用意に歩けば足場が崩れたり、崩壊したり・・・という事態もありうる。それゆえ、安全対策には万全を期しているが、常に気を緩めることはできない。しかも、そこにあるすべてが貴重な遺跡。安全面とあわせて、遺構の保全にも慎重になるため、常に神経を張り詰めなければならない・・・。

【後編へ続く】

このプロジェクトに寄付をする

田守 隆宏

2025年05月31日

30,000円

素晴らしい研究が今後も続きますよう願っております。ローマの初代皇帝アウグストゥス時代のヴィラの姿が明らかになるのを期待しております。微力ながら応援させていただきます。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

五十君 麻里子

2025年05月14日

10,000円

De Simone先生に現地をご案内いただき、このプロジェクトと青柳先生の出会いなど、少年の頃の思い出も聞かせていただきました。当方の専門はローマ法で、現在ナポリで在外研究中ですが、日本人としてとても誇りに思ったので、わずかですが寄付させていただきます。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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2025年05月12日

20,000円

博士ちゃんで見ました。素晴らしいですね。続報も期待したいです。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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2025年03月08日

1,000円

お体には気を付けて頑張って下さい。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

秋津 登喜恵

2025年02月28日

50,000円

20年ほど前のNHK番組で観た事があります!日本が発見して今もなお中心的に発掘している事を誇りに思います! 応援しております!! <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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2025年02月27日

10,000円

夢のあるプロジェクト、20年もされているのを知りました。 イタリア好きです。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

瀬戸 礼子

2025年02月27日

10,000円

ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクトによるご研究の進展をお祈り致します。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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2025年02月26日

10,000円

発掘調査で2000年前の別荘?が現れた事にときめきます。ぜひ、後世に残る発見となる事をお祈りしています。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

松浦 洋子

2025年02月25日

30,000円

素晴らしいプロジェクト、これからも期待しております。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

小山 才生

2025年01月23日

10,000円

素晴らしい調査を応援します! <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

********

2025年01月23日

10,000円

番組で進捗状況を放映することにより興味を持つ人が増えますよう応援しています。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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2025年01月12日

10,000円

子供の頃古代遺跡に興味を持ち今も大好きです。 発掘作業が出来るまでの努力、続けられてこられた皆さんを尊敬しております。 根気がいる発掘作業で、事故・災害・ケガなく発掘が進み、携わっている皆さんの健康をお祈りしております。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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2025年01月11日

10,000円

お金のせいでプロジェクトが頓挫することのないよう、これからも少しずつでも応援したいです! <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

山下 憲一

2025年01月09日

5,000円

本当の歴史を発見して下さい <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

北岡 成章

2025年01月07日

10,000円

古代ローマ人に敬意を表して寄付します。 <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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2025年01月06日

10,000円

博士ちゃんで知りました。 日本のチームが大発見した事、誇りに感じました。ちょっとですが応援の気持ちです♪ <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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2025年01月05日

10,000円

みなさん頑張ってください <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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2025年01月05日

5,000円

懐かしいポンペイの街を思い出しました。ソンマ遺跡発掘、応援します! <ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト>

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PJ画像

プロジェクト設置責任者

東京大学大学院総合文化研究科 教授
村松 眞理子

今年度寄付総額
2,271,000円
今年度寄付件数
38件
現在の継続寄付会員人数
30人

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東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

ご寄付の謝意・記念品

「東京大学基金」の謝意・記念品が適用されます。

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