~歴史的木造建築が現代に生きる私たちに教えてくれるもの~
歴史的木造建築はわが国の貴重な文化的・知的資産です。長い年月をかけて受け継がれてきた歴史的建築を、工学的知識と最新技術を用いて改めて見直し、より安全な形で次世代へ引き継ぐことが今、私たちに求められています。
グリーン社会の実現という観点からも炭素固定能力・再生可能資源の活用・二酸化炭素排出量の少なさから、木材利用と木造建築の促進が必要とされています。都市・建築の高度な発展と木造建築との共存を同時に果たしてきた私たちだからこそ、世界に発信できることは沢山あります。
この度、国内各地の研究者・設計者・技術者と連携し、歴史的木造建築に関する工学的知識の蓄積・活用・発信のため、「歴史的木造建築の工学研究国際拠点形成基金」Center of Engineering Timber Architectural Heritage (CETAH)を設置しました。
先人から受け継いだ貴重な歴史的建築から学び、得られた知見を公開・発信することで、社会に貢献することを志しています。
皆様の温かいご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
お寄せいただいたご支援は歴史的木造建築の構造性能評価、防災・減災技術の開発を目的とした、以下の活動に遣わせていただきます。
【人材育成】
・専門的知識を持つ若手研究者の育成
・学生の基礎教育の促進
・教科書作成
【地域連携】
・国内各地の歴史的木造建築の計測・性能評価・活用
・各地の研究者との連携と知識共有のプラットフォーム形成
【国際推進】
・日本国内で蓄積された資料・知見を国際的に発信
・海外の大学との研究・教育の交流促進
日本は古くから地震や台風などの自然災害を受けてきたにもかかわらず、私が研究を始めた1990年初頭には、歴史的木造建築の「構造」や「耐震」に関する研究は非常に数が少なく、データもほとんどありませんでした。そのため、部材・要素・木造建築全体までを対象とした構造実験や、過去の災害や建物の修理の文献調査など、様々な手法を使って研究を進めてきました。
こうした実験や調査を重ねることによって、今では各地域の歴史的建築物の修理を行う際に、お声をかけていただけるようになりました。ありがたいことに、海外の歴史的建造物の調査にも参加させて頂いています。今後も引き続き、日本をはじめとした世界の歴史的木造建築の安全性を確保しつつ、文化的価値を継承するための研究を行いたいと考えています。
日本には世界最古の木造建築が存在し、歴史的木造建築の建設技術・技能は世界最高峰といって差し支えありません。しかし、今後これを支え、更に高めていくための工学的知見の蓄積はまだまだ不十分です。都市・建築の高度な発展と、木造建築との共存を同時に実現してきた私たちだからこそ、果たせる役割があります。
残念ながら、今の日本における歴史的木造建築の研究環境は十分とは言えません。研究を行いたい優秀な学生がいても、博士を出た後の就職先が限定されることなどを理由に、進学を諦めてしまう人も多くいます。それは、木造建築の未来という観点からも、たいへん残念なことです。
そこで、国内各地の研究者・実務家のプラットフォームとして 「歴史的木造建築の工学研究国際拠点」を東京大学に立ち上げ、若手研究者の育成、研究の蓄積とともに世界に知見を発信していくことによって、木造建築を活かす社会に貢献できると考えております。
先人から受け継いだ木造建築を守り、「美しい日本の建築技術」を伝えていくために、皆様から温かいご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
©坂本功 東京大学名誉教授
・幹事
藤田香織:東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授
福島佳浩:東京大学大学院工学系研究科建築学専攻助教
・連携者
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻
野口貴文教授(建築材料学)
大月敏雄教授(建築計画学)
丸山一平教授(建築材料学)
海野聡准教授(日本建築史)
伊山潤准教授(鉄骨構造)
糸井達哉准教授(建築構造学)
東京大学大学院
清家 剛:新領域創成科学研究科教授
楠 浩一:地震研究所教授
齊藤幸恵:農学生命科学研究科教授
松本直之:生産技術研究所助教
本学以外
佐藤利昭:九州大学准教授
佐藤弘美:金沢工業大学専任講師
渡部昌弘:舞鶴工業高等専門学校准教授
金 旭善:八戸工業高等専門学校准教授
歴史的建築工学研究会のメンバーとも連携して研究を進める。
相談役
坂本 功:東京大学名誉教授
藤井恵介:東京大学名誉教授
安藤邦広:筑波大学名誉教授
松村秀一:東京大学特任教授
2023年11月21日(火)
太田邦夫先生(東洋大学名誉教授)より、世界の木造建築に関する貴重、希少な本を1,500冊、寄贈いただきました。
先人から受け継いだ貴重な歴史的建築から学び、得られた知見を公開・発信することで、社会に貢献することを志しています。日本では手に入らない本も多く、「歴史的木造建築の工学研究国際拠点」の図書機能も充実してきました。学生や若手研究者の活動拠点として利用できるよう、整備を進めていきたいと思います。
引き続き皆様の温かいご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2023年02月15日(水)
2022年05月30日(月)
東京に現存する希少な木造建築物である赤門、その耐震診断のための基礎調査を東京大学施設部と本基金の設置責任者である藤田香織教授が中心となり実施しました。
安全を確保するための調査を進めるなか、赤門の意外な一面が判明しました。
第2回赤門オンライン見学会
【プログラム】
1. 歴史資料からみた赤門の変遷
2. オンライン見学会
屋根瓦を外して実測
屋根裏に入り微小な揺れを計測
3. 今後の調査の展開と意義
【第2回赤門オンライン見学会】
2022年04月14日(木)
「軒が屋根から吊られている!?」
東大のシンボルとして知られている赤門は1827年に建立されました。
およそ195年が経過、現在、耐震性、安全性を確保するための調査を行うため、現在、その門は閉じられています。
建築学科の教員が赤門の外、そして普段は見ることのできない屋根の上、屋根の中からその構造を詳説します!
赤門オンライン見学会(第1回)
なお、第2回目を3月に実施し、現在公開の準備を進めています。どうぞお楽しみに。
<歴史的木造建築の工学研究国際拠点形成基金>
<歴史的木造建築の工学研究国際拠点形成基金>
<歴史的木造建築の工学研究国際拠点形成基金>
与え、貢献してゆく
<歴史的木造建築の工学研究国際拠点形成基金>
<歴史的木造建築の工学研究国際拠点形成基金>
<歴史的木造建築の工学研究国際拠点形成基金>
<歴史的木造建築の工学研究国際拠点形成基金>