東京大学医学部附属病院と全国の協力医療機関では、スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌の克服を目指して、腹腔内化学療法の研究開発を行っています。抗癌剤パクリタキセルは、胃癌をはじめとして多くの癌に効果があり、静脈内注射用として広く使用されています。パクリタキセルをお腹の中に直接注入する治療法は、薬がお腹の中全体に広がって高い濃度のままと直に接するため、高い効果が期待されます。
パクリタキセルは発売から約26年が経過した現在、多くの病院で後発品が使用され、薬の価格は下がっています。そのため、製薬会社の開発の対象から外れており、腹腔内投与の治療効果を証明するためには、医師が主導して臨床研究を行うことが必要です。しかし、臨床研究に必要な多額の費用を薬の製造販売業者から得ることは難しく、企業との協力体制が採択基準となっている公的研究費の獲得も難しい状況です。
将来的に全国の医療機関でパクリタキセル腹腔内投与を保険診療として実施できるようにするためには、臨床研究を国が定めた厳しい基準に従って実施し、有効性を証明する必要があります。臨床研究は東京大学医学部附属病院の研究費を用いて実施しますが、より質の高い研究をより迅速に実施するためには、更に研究費が必要です。
現状では治すことが難しいスキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌の患者さんにより良い治療を提供できるようにするため、皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
東京大学医学部附属病院 外来化学療法部
石神 浩徳
難治性がんであるスキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に治療においては、抗癌剤治療(化学療法)が極めて重要な役割を担っていますが、現在の標準的な治療では腹膜への転移(腹膜播種)に対する効果は十分ではありません。
これまでに東京大学医学部附属病院と全国の協力医療機関では、腹膜播種を伴う胃癌を対象として、抗癌剤を直接腹部に注入する腹腔内化学療法の臨床研究を主に先進医療制度下に実施し、良好な成績を報告してきました。現在、より有効な治療法を開発するため、以下の臨床研究を実施しています。
胃癌には様々な形のものがありますが、はっきりとした潰瘍やその周りの盛り上がりがなく、胃の壁が硬く、厚くなるタイプの進行胃癌を4型胃癌(スキルス胃癌)といいます。他のタイプの胃癌と比較して、若い方や女性に多く、腹膜播種を起こしやすいという特徴があります。転移がない段階で発見されて手術で切除できた場合でも、腹膜に再発する危険が高いことが知られています。
腹膜播種がないスキルス胃癌の患者さんを対象として、胃切除に加えて手術後または手術前後に標準的な化学療法を行う方法と標準的な化学療法に腹腔内化学療法を併用する方法を比較します。6年間で全国の42施設より262名の患者さんに参加いただき、その3年後に再発率を比較して腹腔内化学療法の予防効果を評価します。
腹腔内化学療法の効果を証明できた場合は、全国の病院で保険診療として実施できるようにするために薬事承認申請を行います。
参考)胃癌・腹膜播種に対する腹腔内化学療法 スキルス胃癌の治験
胃や腸などの臓器とお腹の壁の内側は腹膜という膜で覆われています。腹膜で覆われた空間のことを腹腔(ふくくう)といいます。
臓器にできた癌が進行すると、癌の表面から癌細胞が腹腔内にこぼれ落ち、腹膜にくっついて大きくなる腹膜播種(ふくまくはしゅ)を起こすことがあります。
腹膜播種は胃癌においてリンパ節転移や肝転移と並んで最も頻度が高い転移の一つです。
一般的に行われている全身化学療法では、ごく少量の抗癌剤しか腹膜播種に届かず、十分な効果は得られません。
腹腔内化学療法とは、腹膜播種が散らばっている腹腔の中に抗癌剤を直接注入する治療法です。お腹の皮膚の下に埋め込んだ腹腔ポートから生理食塩水に溶かしたパクリタキセルを注入します。
全身化学療法と比べて極めて多い量の抗癌剤を直接腹膜播種に届けることができ、より効果的です。また、副作用が少ないという利点もあります。腹膜播種がみられなくなって手術ができ、長い間生きている患者さんもいらっしゃいます。
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2024年01月10日(水)
2020年8月より腹腔内化学療法の腹膜播種予防効果を評価するための医師主導治験を実施しています。
東京大学医学部附属病院が中心となって全国の42施設に参加いただき、2023年12月までに70名の患者さんにご参加いただいています。これまでに治験の治療による大きな副作用や合併症はみられず、患者さんの治療は順調に進んでいます。新型コロナ感染症の影響等により参加施設で患者数が減っていることや治験の参加手続きに時間がかかったこともあり、当初の計画より遅れていますが、これからも患者さんを集める努力を続け、本治験を完遂したいと考えています。
本治験は、既に承認されている抗がん剤パクリタキセルの投与法の追加(腹腔内投与)の承認を目的としていますが、製薬企業が新薬の承認のために実施する治験と同じ省令に従って実施することが求められています。そのため、膨大な業務を多くの専門職の方々の力を借りて実施する必要があり、非常に多くの費用がかかります。本治験では、参加施設に必要経費の一部を自ら負担していただくことにより、企業治験の数十分の一の費用に抑えています。皆様より多くの寄付をいただいていますので、参加施設の負担を軽減することができ、治験の成功につながるものと思います。皆様のご支援に心より感謝いたします。
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
患者様とご家族および医療関係者様方に確実な希望が訪れる日をお祈り致します。
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
同じ病にある方が寛解を目指すことができるよう、今後の研究の一助となれましたら幸いです。
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>
<スキルス胃癌および腹膜播種を伴う胃癌に対する腹腔内化学療法の研究開発>