大腸癌の腹膜播種に対する腹腔内化学療法の研究開発

早期発見が難しい腹膜播種の克服をめざして

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プロジェクト設置責任者

医学部附属病院 大腸・肛門外科 教授
石原聡一郎

今年度寄付総額
4,000円
今年度寄付件数
2件
現在の継続寄付会員人数
3人
累計寄付総額
7,630,000円

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東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

ご支援のお願い 

本プロジェクトでは、現状治療が困難である大腸癌腹膜播種の克服をめざして、新しい抗癌剤治療である腹腔内化学療法についての臨床試験を実施し、治療法として確立することを目的としています。 

腹膜播種を伴う癌については腹腔内化学療法が有効であることが、胃癌や卵巣癌において報告されています。また、腹膜播種を伴う大腸癌に対しても第I相試験の結果から腹腔内パクリタキセル投与の有効性が期待されています。 

しかしながら、パクリタキセルは販売から25年以上経っており、薬価が下がってしまっていることや後発品が複数存在することから製薬企業の協力が得られない状況です。また、公的資金の審査では、製薬企業との協力体制が重要な評価基準となっていることから、現状では獲得が困難な状況です。このため、第II相試験は医師主導治験として実施する必要がありますが、医師主導治験には試験の品質管理のために多大な費用がかかるため、東京大学基金に基金プロジェクトを設置し、試験の実施のためにご支援いただければと考えております。 

医学部附属病院 大腸・肛門外科
教授 石原聡一郎


  

プロジェクト概要

大腸癌は癌の中で最も罹患率が高く、近年増加傾向にあり、特に女性では癌による死因の第1位となっていますが、手術による治療効果が高く、肝臓や肺に転移があったとしても手術により切除できれば完治できる可能性があります。また、大腸癌に対する化学療法の進歩は著しく、手術による切除ができない場合でも、2年以上の生存が期待できます。

このように、手術や化学療法による効果が期待できる大腸癌においても、腹膜への転移(腹膜播種)がある場合は治療が難しくなります。理由の一つとして腹膜播種は早期発見が難しく手術のできない状況にまで進行して発見されることが多いことが挙げられます。また、通常の化学療法である点滴から静脈への投与では腹膜播種の病巣まで薬剤が届きにくく、化学療法による治療効果の低いことが問題となっています。

そこで、腹膜播種の病巣により多くの薬剤を到達させるため、腹腔内に直接薬剤を投与するという発想に至りました。腹腔内にパクリタキセルという抗癌剤を投与する臨床試験を進めるにあたり、これまで東京大学基金に設置した「スキルス胃癌、膵癌、大腸癌に対する腹腔内化学療法の研究開発」プロジェクトを通じて多くのご支援をいただいてきました。おかげさまで、第I相試験として、必要数の患者様に腹腔内パクリタキセル投与の自主臨床試験を行い、安全性が確認されました。顕著に効果があった例も見受けられ、化学療法の効果が期待できる結果となりました。次のステップとして第Ⅱ相医師主導治験(iPac-02試験)を開始し、大腸癌の腹膜播種を有する患者様を対象として、標準的な化学療法と腹腔内化学療法を併用する治療法の治験を実施するために、大腸癌に絞った本基金を設置し、ご支援をお願いする次第です。なお、既に第一段階の臨床試験を行い、安全性が確認できましたので、今回、第二段階の臨床試験として、38名の患者様にご参加いただき、その効果と副作用の評価をする予定です。


  

▼参考資料

腹膜播種および試験開始の経緯についてはこちら

試験の参加基準の概要はこちら

試験の流れについてはこちら

化学療法レジメンの詳細についてはこちら


治験の詳細は臨床研究等提出・公開システム(jRCT)をご覧ください。
東京大学腫瘍外科ホームページにも記載があります。

 

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2024年活動報告

2025年02月27日(木)

 本プロジェクトは2023年度の発足したプロジェクトで、約1年半となります。
 腹膜播種を伴う大腸癌に対して腹腔内にパクリタキセルという抗癌剤を投与する医師主導治験(iPac-02試験)となり、プロトコールの詳細については下記論文にて発表させていただきました。
Int J Colorectal Dis. 2023 Jun 20;38(1):173. doi: 10.1007/s00384-023-04434-5. PMID: 37340243

 こちらのホームページにも試験の概要についてのスライドを添付させていただいており、多くの問い合わせをいただいております。
 「腹膜播種以外の遠隔転移がない」「腹膜播種に対する化学療法を行っていない」など厳しい適応基準となっており、残念ながら適応とはならない患者様も多くいらっしゃいますが、登録は順調に進んでいます。  化学療法が奏効し、手術により切除が可能となる方もおり、治療の効果を実感しています。治療効果が示され、保険収載されることを目指しております。
 治験の進捗状況については国内の2つの学会(第85回日本臨床外科学会総会、第79回日本大腸肛門病学会)にて報告させていただきました。今後も引き続き本治療の普及を目指して活動を継続していきたいと考えております。

 本研究は企業の補助が得られない中、多くのご支援をいただき試験を継続することができております。ご寄付いただいた方には大変感謝しております。
 あと2年で登録終了することを目指しておりますので、引き続きご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

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寄付目的・支援先を指定できます
お名前 日付 金額 コメント
******** 2024年10月03日 50,000円 一刻も早く、大腸癌腹膜播種が克服できるよう願っています。
<大腸癌の腹膜播種に対する腹腔内化学療法の研究開発基金>
谷口 真帆 2023年12月28日 60,000円 「腹膜播種の腹腔内化学療法」の中でも大腸がんを対象という限られた機関でしか行われていない当該研究に関心を持ちました。大腸がん患者と家族に新たな希望の道が開けますよう研究に期待を込め、成果の獲得をお祈り申し上げます。
<大腸癌の腹膜播種に対する腹腔内化学療法の研究開発基金>
******** 2023年12月15日 1,000円 12月は寄付月間
<大腸癌の腹膜播種に対する腹腔内化学療法の研究開発基金>
******** 2023年10月26日 10,000円 知り合いが大腸癌で亡くなりました。具体的な症例までは聞いておりませんが有効な治療策が見つからないままだったそうです。なので大腸癌に対する研究をもっと進めて欲しいという気持ちから寄付しました。
<大腸癌の腹膜播種に対する腹腔内化学療法の研究開発基金>
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プロジェクト設置責任者

医学部附属病院
大腸・肛門外科 教授
石原聡一郎

今年度寄付総額
4,000円
今年度寄付件数
2件
現在の継続寄付会員人数
3人
累計寄付総額
7,630,000円

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ご寄付の謝意・記念品

「東京大学基金」の謝意・記念品が適用されます。

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