先端研 がん克服プロジェクト基金

~最先端の生命情報解析によるがん治療法の確立をめざして~

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プロジェクト設置責任者

先端科学技術研究センター  准教授
大澤 毅

今年度寄付総額
147,000円
今年度寄付件数
11件
現在の継続寄付会員人数
1人
累計寄付総額
21,518,000円

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東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

ご支援のお願い

本プロジェクトの目標

個々の患者の個別化医療実現に向けて研究推進のその先に望めるもの

✔ 低酸素・低栄養・低pHなどの過酷な環境におけるがん細胞の生存や悪性化のメカニズムの解明
✔ 新しい栄養学「ニュートリオミクス」の視点からの、がんや生活習慣病の予防と治療への寄与
✔ 情報科学や計算科学を駆使した創薬への応用


がんの病態解明と克服は、21世紀の医学・生物学の最大の課題の一つであるとともに、超高齢社会を生きる私たちにとって、喫緊の課題です。

これまで、がんの治療法としては、がん細胞の増殖を抑制する抗癌剤治療に加えて、新規分子標的治療や免疫治療が確立してきていますが、一部の予後良好ながん腫を除き、がんの根治には現在もなお課題が多く、未だに個々のがん患者の個別化医療に向けた治療法は確立されていません。

新たながん治療法の確立に向けて世界中の研究者がしのぎを削る中、大澤研究室では最先端の生命情報解析技術やAIなどを融合した研究で世界をリードし、がん細胞悪性化のメカニズムや悪性化因子等、従来の常識を超える画期的な成果を得られています。

これらの研究を推進するための公的研究費や助成金は期間や使途が限定的であったり、近い将来の実用化や社会実装などのゴールが求められる場合がありますが、この分野の基礎研究を継続的かつ安定的に進めるには、より自由度の高い資金が必要です。

皆様からのご支援は、研究環境の整備等や人材育成を推進するために遣わせていただきます。一日でも早く、がんを克服に向けた新しい治療法を確立するために、皆様のご理解とご支援を賜りたく、何卒よろしくお願いいたします。

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最近の研究成果

大澤研究室では、低栄養・低酸素などの過酷な環境下のがん細胞の代謝に関する研究において、がんの増殖や患者の予後の悪化に寄与する代謝物の働きに関する画期的な発見をしました。

「がん細胞は酸素を使わず、嫌気的解糖系を利用して生き残る(ワーバーグ効果)」ことが知られており、これにより、がん細胞の周辺は酸性に傾きます。この酸性環境下において、がん細胞内でコレステロールの代謝のスイッチをオン・オフする因子が活性化することにより、コレステロールや酢酸を代謝する遺伝子の発現も活発になった結果、がん細胞が増殖したり、患者の予後悪化につながることを明らかにしました。

 

その他の研究成果

  • その1酸性腫瘍環境におけるがん促進性代謝物の発見
    • 酸性環境のがん細胞や腫瘍組織において、ポリアミン代謝律速酵素SAT1の発現が増加することで、N1-アセチルスペルミジンの蓄積を促進し、腫瘍増殖および患者予後に関与することを明らかにしました。
    • 網羅的に代謝物を検出するノンターゲットメタボロミクス解析を用いて、これまで未知であった酸性環境における代謝適応機構を介したがん悪性化メカニズムを明らかにしました。
    • 酸性環境におけるがん細胞の代謝適応機構を標的とした新たな創薬の開発に繋がることが期待されます。
  • その2オルガネラを介した新規酸素センターの発見
    • 低酸素は骨髄由来細胞においてゴルジ体崩壊を介したコレステロール合成経路(SREBP2活性化)を誘導し、がん促進性免疫細胞の腫瘍内への浸潤と血管新生を介してがんの増殖を亢進することを発見しました。
    • コレステロール合成経路のマスターレギュレーターであるSREBP2の酸素センサーとしての役割を哺乳類細胞で初めて発見しました。
    • コレステロール合成経路を標的としたがん促進性免疫細胞の阻害や、オルガネラを標的とした新たながん治療法の開発への応用が期待されます。

オリジナリティを大切にした研究を加速度的に推進するために

世界中で数多くの研究者がしのぎを削り、競争が激しいがん研究の分野において、私たちのように、栄養の視点からがん細胞の代謝に着目しての研究はそう多くはありません。
このようなオリジナリティを大切にした研究を加速度的に推進するために、大澤研究室では、自由なアイデアや創造性を育むための研究環境整備に力を入れています。

がん分野の研究が日進月歩で進んでいるとはいえ、がんの克服という大きな目標は一朝一夕にはいきません。基礎研究分野における地道な成果の積み重ねが、大きな成果につながります。確かな土台としての基礎研究を継続的かつ安定的に続けることが、人類の悲願であるがんの克服につながります。ぜひ、基礎研究分野の重要性を皆様にご理解いただき、応援頂けますと幸いです。

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基金担当者からのコメント

近年、がんの治療法は飛躍的に発展し、もはや不治の病ではないと言われるようになったものの、日本人の死因第1位であるがんの克服は、超高齢社会を生きる私たちにとっての悲願です。私のまわりにも、今、まさにがんと闘っている知人、親族がいますし、おそらく、皆様のまわりにもいらっしゃることでしょう。

がんの新しい治療法の確立は一朝一夕にはならず、私たちの元に治療法や医薬品として届くまでには、研究者たちの日々の研究成果の蓄積があります。今、進んでいる研究の成果の一つ一つは、すぐには治療法にはつながらないかもしれませんが、未来の治療法を実現するには、欠かせません。

未来の私たちや私たちの大切な人々が、画期的な治療法の恩恵を受けるためには、基礎研究へのご理解が必要です。ぜひ、一人でも多くの皆様からの温かいご支援を賜りたく、何卒よろしくお願いいたします。

 

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2023年活動報告
-先端研 がん克服プロジェクトを始動!-

2024年03月29日(金)

2023年度の主な活動として、先端研 がん克服プロジェクト」は最先端の生命情報解析技術、AIなどを融合した研究からがん細胞の弱点を見極め、将来的にがんの克服を目指すプロジェクトが2023年11月に始動しました。

本プロジェクトでは、最先端のゲノム情報、遺伝子発現情報、タンパク質情報、代謝物情報といった各階層における生命情報を統合した解析技術(多階層オミクス解析)に、がん細胞の環境・栄養(ニュートリション)の視点を取り込んだ「ニュートリオミクス」という独自のアプローチにより、個々の患者におけるがんの弱点を見極める新たながん治療法の確立を目指し研究を進めております。

本年度は、先端研 がん克服プロジェクトを立ち上げることが出来、また、計画以上のペースでご寄付を頂けましたので、研究環境の整備、先端機器のメンテナンスや新規がん代謝阻害剤による細胞増殖や腫瘍形成の検討実験を行いうことが出来ました。本成果は、新たな特許出願にも繋がりました。

 

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寄付目的・支援先を指定できます
お名前 日付 金額 コメント
辻 碧 2024年06月28日 10,000円 心より応援しています!!
<先端研 がん克服プロジェクト基金>
増野 順一 2024年01月27日 30,000円 もし実現できるなら、がん克服プロジェクトは急いで進行してほしいので寄付をさせて頂きます。
<先端研 がん克服プロジェクト基金>
松尾 典昭 2024年01月25日 3,000円 優秀な人材が最先端の研究をすることで、不可能を可能にすることが出来ると思う。多くの人々の人命を救うことは重要課題である。今後も研究に励んで欲しい。
<先端研 がん克服プロジェクト基金>
大西 英男 2024年01月25日 10,000円 知の集積、東大を応援しています。がんの克服、期待しています。頑張れ!!!多くの患者さんに間に合いますように!!!
<先端研 がん克服プロジェクト基金>
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プロジェクト設置責任者

先端科学技術研究センター  准教授
大澤 毅

今年度寄付総額
147,000円
今年度寄付件数
11件
現在の継続寄付会員人数
1人
累計寄付総額
21,518,000円

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ご寄付の謝意・記念品

「東京大学基金」の謝意・記念品が適用されます。

このプロジェクトの謝意・記念品

・【一括10万円以上のご寄付】寄付者向け報告会を開催。

・【一括100万円以上のご寄付】活動報告書の送付に加えて、本研究に関する論文もしくは総説等の別刷り1部を進呈、研究室訪問。

・寄付額に応じて、報告書等に寄付者氏名を掲載。

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