新型コロナウイルスをはじめとする感染症との世界的な闘いは現在も続いており、ワクチン研究に対する私たちの取り組みはかつてないほど重要になっています。 皆さまのご寄付が、ワクチンに関する基礎研究から開発、それらを担う人材育成を加速させ、世界中の何百万もの人々に希望をもたらすことができます。
皆さまからいただいたご寄付は、
●ワクチンの有効性および安全性改善のための研究、実験設備、人材育成
●一般の方向けのワクチンに関するセミナーや情報発信等のアウトリーチ活動
などに活用させていただきます。
皆さまからのご支援が、これらの活動を安定して永続的に行うための一層の推進力に繋がります。温かいご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
医科学研究所
教授 石井健
現在世界中で感染症のみならず、がんやアルツハイマー、アレルギーなどその他の疾病に対して発症を予防したり重症化を抑制したりする多様なワクチンの開発研究が行われています。
インフルエンザウイルスワクチンや子宮頸がんワクチンのようにすでに承認されて接種が行われているものもあれば、研究で有効性や安全性が認められつつあるものの、まだ承認されていないワクチンもあります。HIVはまだ利用可能なワクチンが開発されておらず、結核に関してはBCG(Bacillus Calmette–Guérin)というワクチンが普及しているものの、感染予防率や生ワクチンゆえの感染リスクなどの点で改善の余地があるという状況です。
WHOによると2022年の感染者数はマラリアが約2.4億人、結核が約220万人、HIVが約130万人とコロナ禍において前年より増加しています。これら三大感染症は、「持続可能な開発目標(SDGs; Sustainable Development Goals) の3番目「すべての人に健康と福祉を」の達成を阻む大きな障害となっています。
今あるワクチンよりも有効性・安全性に優れること、病気を予防できる・治せるワクチンを増やすこと、次のパンデミックに対して早急な対応ができること、このような様々な要求に合わせた新しいワクチンを開発することが重要な課題となっています。
また別の課題も存在します。
皆さまには、ワクチン接種を躊躇してしまうような気持ちはありませんか?
「ワクチンの内容物がなんとなく怖い」、「副反応が嫌だ」・・・
という声を少なからず聞いたことがあります。その気持ちを「ワクチン忌避」といい、そのような風潮があると、せっかく開発されたワクチンが、何年もの研究を経て安全で有用なことが証明されていたとしても、あまり多くの人に接種してもらえなくなり、結果として抑えられるはずの感染症が蔓延してしまうリスクがあります。よってワクチンの安全性への危惧をなくし、皆さまに安心してワクチンを接種してもらえるようにすることも重要な課題と言えます。
ワクチン開発研究は、①抗原、②アジュバント、③デリバリーシステム、の3つのモジュールに分けることができます。
①ワクチンの特異性の鍵となる「抗原」
②ワクチンの効果を増強させるための「アジュバント」
③抗原やアジュバントを必要な場所(臓器や細胞)に運ぶ「デリバリーシステム」
ワクチンのメインとなる物質は抗原ですが、通常それだけでは十分な効果を発揮することができず、アジュバントやデリバリーシステムの支えがあってこそ、より効果的に病原体に対する免疫を誘導することができるのです。どれもより良いワクチンの開発には欠かせない研究対象であり、それぞれの分野の専門家の存在が欠かせません。
私たちは、これらの3要素を「モジュール化(※)」し、効率的にワクチンを設計する技術の開発を目指しています。
(※)全体の設計を標準化し、構成する各モジュールの交換・組み換えによって全体の機能を変更できるようにすること。
さらに、よりよいワクチン開発研究では、下図に示したような多様な専門分野が連携し、大規模なチームで一丸となって研究を進めていくことが重要です。
2022年4月、東京大学医科学研究所に国際ワクチンデザインセンター(VDesC:International Vaccine Design Center)が設置されました。
国際ワクチンデザインセンターの分野別研究概要および代表研究者
多様な専門分野の連携により、有効性のより高いワクチンの開発研究に。精力的に取り組んでいます。
<研究・活動事例>
・ワクチンの作用メカニズム研究
mRNAワクチンにデリバリーシステムとして含まれる脂質ナノ粒子のアジュバントとしての有効性と副反応を検証する研究を行い、有効性を発揮する分子や機序、副反応を起こす分子や機序を発見し、現在はその副反応が起こらないようにするための研究に取り組んでいます。
・アジュバントを用いた免疫療法の開発研究
アジュバントはワクチン効果を高めるためにワクチン抗原に添加されることが一般的ですが、アジュバントのみを投与して免疫応答を活性化することにより、感染症の予防やがん免疫療法に応用することもできます。既存のアジュバントから独自のアジュバントまで幅広く評価し、新たな免疫療法の開発を目指しています。
・アウトリーチ活動
将来の研究を担っていく人材の育成や、講演会やウェブサイト、出版物(『はたらく細胞 ワクチン&おくすり図鑑』などを通してワクチンの正しい知識を伝える活動にも力を入れています。
国際ワクチンデザインセンター エントランスプレート
国際ワクチンデザインセンター(ワクチン科学分野)での実験風景
国際ワクチンデザインセンター内のラボ合同リトリートでの研究発表
もっと知りたい!ワクチンのこと。
ワクチンについてさらに詳しく知りたい方は、石井研究室公式ウェブサイトの「ワクチンとは」のページをご覧ください。ワクチンの役割や、ワクチンの安全性等について、詳しく説明しています。
■石井研究室
https://vaccine-science.ims.u-tokyo.ac.jp/
■国際ワクチンデザインセンター
https://vdesc.ims.u-tokyo.ac.jp/
■東京大学基金 研究者インタビュー
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0802_00025.html
■石井教授の関連動画
東大TV
https://tv.he.u-tokyo.ac.jp/lecture_5959/
東京大学 新世代感染症センター (UTOPIA)
https://www.youtube.com/watch?v=JHShIk3Tr1k
東京大学基金インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=aiw3vd5PPiU
2024年02月05日(月)
新型コロナウイルス感染症の流行から4年が経ちますが、ワクチンに対するニーズは日々変化し続けております。本プロジェクトが、ワクチンの取り巻く状況に対応する一環として、2023年末に本プロジェクトのWebページをリニューアル致しました。以前に本Webページを閲覧頂きました皆様もよろしければご再読ください。
2023年の活動報告としまして、研究者向けや一般の方向けの講演会は計51件行い、ワクチンのサイエンスや正しい知識の普及に努めました。また、昨年より講談社のはたらく細胞シリーズの監修を進めておりますが、2023年には新たに連載開始となった「はたらく細胞 おくすり」の監修に携わらせて頂いております。水ぼうそうワクチンやBCGワクチンに関する内容が月刊少年シリウスに掲載されておりますので、ぜひお読み頂ければ幸いです。
2022年に設置した国際ワクチンデザインセンターについては、国内外の感染症学や免疫学、ワクチン学の専門家が密に連携しながら、有効性および安全性に優れるワクチンの開発研究に尽力しており、2023年度に発表された論文数は現時点で81となっております。また、我々が共同で開発を進めてきた第一三共株式会社の新型コロナウイルスmRNAワクチン(ダイチロナ®筋注)については、2023年11月に厚生労働省の承認を得るに至りました。さらに、若手のワクチン研究者の育成についても力を入れており、2023年夏には、ワクチンデザインセンターのメンバーによるリトリートを企画し、若手研究者が各自の研究内容について朝から夜まで活発な議論を交わしました(本プロジェクトWebページに写真を載せています)。今後も継続的に将来のワクチン開発を担う人材育成に努めていく所存です。
このように、皆様のご支援により様々な活動を進めることができており、改めて御礼申し上げます。安心・安全なワクチンをすばやく作り皆様に届けるべく、2024年はより一層尽力致しますので引き続き温かいご支援の程よろしくお願い申し上げます。
■ご寄付の使途
いただいたご寄付は以下の目的のために、活用いたしました。
温かいご支援を賜り、ありがとうございました。
・研究に使用する物品の購入
・研究者の人件費 等
2024年01月15日(月)
2022年に設置以来、皆様からあたたかいご支援を賜り、誠にありがとうございます。
コロナ禍を経て、ワクチンを取り巻く状況も大きく変化をしております。
ワクチン接種が一般的になりつつある一方で、「ワクチン忌避」といった新たな課題も浮上してきました。
そこで、ワクチンの真の目的や意義を改めて伝えることで、ワクチンへの誤った認識を払拭し、正しい理解を広めることを目指し、このたび、基金ページを全面リニューアルいたしました。
安心・安全なワクチンをすばやく作り、皆様に届けるために。
引き続き、「近未来ワクチンデザインプロジェクト基金」へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
また日本語ページのリニューアルに伴い、新たに英語版ページ[Near-Future Vaccine Design Project]も公開いたしました。
2022年05月20日(金)
「近未来ワクチンデザインプロジェクト」の設置責任者である石井健教授が監修した『はたらく細胞 ワクチン&おくすり図鑑』(講談社)の刊行記念インタビュー記事が5月18日の「現代ビジネス」誌に掲載されました。
記事では、マンガ『はたらく細胞』と、石井教授がワクチン監修を務めた『はたらく細胞 ワクチン&おくすり図鑑』について紐解き、コロナワクチンの現状と今後について、免疫学者という視点からわかりやすく解説されています。
また、その中で国産ワクチン開発の重要性と、未知の感染症にいつでも対応できるよう、石井教授を中心としてワクチン開発へ貢献できる研究者を育成し、国産ワクチンを速やかに開発できる体制の確立を目指した東京大学基金「近未来ワクチンデザインプロジェクト」の活動にも言及されました。
2022年04月01日(金)
本プロジェクトの設置責任者である石井健教授が共同監修した『びょうきとたたかう!はたらく細胞ワクチン&おくすり図鑑』が刊行されました。本書はアニメ『はたらく細胞』 に登場するキャラクターたちによってワクチンや治療薬についての正しい知識がわかりやすく解説されています。
本書のワクチン監修者で設置責任者の石井教授より、刊行にあたってのメッセージをいただいております。
新型コロナウイルスによるパンデミックは世界を一変させ、ワクチンの重要性を浮き彫りにしました。特にmRNAワクチンに代表される新しいワクチンが1年以内に開発され、ほとんどの国民が接種したという事実は、「ワクチン」というものを身近に、そして自分事として捉える類まれなる機会になったといえます。
このような背景において、ワクチンにまつわる感染症や免疫学に興味を持っている学生や子供たちが増えています。「はたらく細胞」というマンガは数年前から子供たちに人気があり、免疫細胞をキャラクター化した人間味あふれる感染や病気に関するストーリーは子供だけでなく、大人たちにもとてもいい免疫の教科書です。今回発行された「はたらく細胞 ワクチン&おくすり図鑑」は、子供から大人まで、知りたいと思っているワクチンや薬に関して、下手な医学書を開くよりもよっぽど多くの、かつ深い知識がつく内容になっています。子供や孫のため、という理由(いいわけ?)でぜひ手に取って読まれることをお勧めします。
東京大学医科学研究所 感染・免疫部門ワクチン科学分野 教授
国際ワクチンデザインセンター センター長
石井 健
このようなわかりやすい専門書の刊行も、多くの基礎研究によって支えられています。近未来ワクチンデザインプロジェクトへのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
ぜひ総力を挙げて取り組んでいただけますようお願い致します。
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>
<近未来ワクチンデザインプロジェクト>