個々の患者の個別化医療実現に向けて研究推進のその先に望めるもの
✔ 低酸素・低栄養・低pHなどの過酷な環境におけるがん細胞の生存や悪性化のメカニズムの解明
がんの病態解明と克服は、21世紀の医学・生物学の最大の課題の一つであるとともに、超高齢社会を生きる私たちにとって、喫緊の課題です。
これまで、がんの治療法としては、がん細胞の増殖を抑制する抗癌剤治療に加えて、新規分子標的治療や免疫治療が確立してきていますが、一部の予後良好ながん腫を除き、がんの根治には現在もなお課題が多く、未だに個々のがん患者の個別化医療に向けた治療法は確立されていません。
新たながん治療法の確立に向けて世界中の研究者がしのぎを削る中、大澤研究室では最先端の生命情報解析技術やAIなどを融合した研究で世界をリードし、がん細胞悪性化のメカニズムや悪性化因子等、従来の常識を超える画期的な成果を得られています。
これらの研究を推進するための公的研究費や助成金は期間や使途が限定的であったり、近い将来の実用化や社会実装などのゴールが求められる場合がありますが、この分野の基礎研究を継続的かつ安定的に進めるには、より自由度の高い資金が必要です。
皆様からのご支援は、研究環境の整備等や人材育成を推進するために遣わせていただきます。一日でも早く、がんを克服に向けた新しい治療法を確立するために、皆様のご理解とご支援を賜りたく、何卒よろしくお願いいたします。
大澤研究室では、低栄養・低酸素などの過酷な環境下のがん細胞の代謝に関する研究において、がんの増殖や患者の予後の悪化に寄与する代謝物の働きに関する画期的な発見をしました。
「がん細胞は酸素を使わず、嫌気的解糖系を利用して生き残る(ワーバーグ効果)」ことが知られており、これにより、がん細胞の周辺は酸性に傾きます。この酸性環境下において、がん細胞内でコレステロールの代謝のスイッチをオン・オフする因子が活性化することにより、コレステロールや酢酸を代謝する遺伝子の発現も活発になった結果、がん細胞が増殖したり、患者の予後悪化につながることを明らかにしました。

その他の研究成果
世界中で数多くの研究者がしのぎを削り、競争が激しいがん研究の分野において、私たちのように、栄養の視点からがん細胞の代謝に着目しての研究はそう多くはありません。
このようなオリジナリティを大切にした研究を加速度的に推進するために、大澤研究室では、自由なアイデアや創造性を育むための研究環境整備に力を入れています。
がん分野の研究が日進月歩で進んでいるとはいえ、がんの克服という大きな目標は一朝一夕にはいきません。基礎研究分野における地道な成果の積み重ねが、大きな成果につながります。確かな土台としての基礎研究を継続的かつ安定的に続けることが、人類の悲願であるがんの克服につながります。ぜひ、基礎研究分野の重要性を皆様にご理解いただき、応援頂けますと幸いです。
近年、がんの治療法は飛躍的に発展し、もはや不治の病ではないと言われるようになったものの、日本人の死因第1位であるがんの克服は、超高齢社会を生きる私たちにとっての悲願です。私のまわりにも、今、まさにがんと闘っている知人、親族がいますし、おそらく、皆様のまわりにもいらっしゃることでしょう。
がんの新しい治療法の確立は一朝一夕にはならず、私たちの元に治療法や医薬品として届くまでには、研究者たちの日々の研究成果の蓄積があります。今、進んでいる研究の成果の一つ一つは、すぐには治療法にはつながらないかもしれませんが、未来の治療法を実現するには、欠かせません。
未来の私たちや私たちの大切な人々が、画期的な治療法の恩恵を受けるためには、基礎研究へのご理解が必要です。ぜひ、一人でも多くの皆様からの温かいご支援を賜りたく、何卒よろしくお願いいたします。
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2026年02月12日(木)
平素より、「胆膵がんに対する早期診断および新規治療法の研究開発」に対し、長年にわたり温かいご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
本基金は設立から3年が経過し、皆様からのご寄付を基盤として、胆膵がん領域における基礎的検討から臨床応用を見据えた研究を段階的に推進してまいりました。本報告では、基金設立以降の主な取り組みと研究の進展についてご報告申し上げます。
【腹膜播種を伴う膵癌に対する新規治療法の開発】
基金設立当初より、予後不良で治療選択肢が極めて限られてきた腹膜播種を伴う膵癌に対し、新たな治療戦略を確立することを重要な目標の一つとして掲げてまいりました。この3年間で、腹腔内化学療法という治療コンセプトの臨床的妥当性を検証するための臨床研究を進めてきました。その結果、全身化学療法に腹腔内治療を組み合わせた治療戦略について、一定の有効性および安全性が示唆され、今後のさらなる臨床研究へと発展させるための基盤が確立されました。本治療法は、腹膜播種を有する膵癌の患者さんに対し、新たな治療の選択肢となる可能性を有しており、今後の発展が期待されます。
【膵がん早期診断を目指したバイオマーカー研究】
膵がんの予後改善には、治療成績の向上と同時に、より早期の段階で疾患を捉える診断体系の確立が不可欠です。本基金では設立当初より、膵がん高危険群に着目した早期診断研究を重点課題として取り組んでまいりました。
この3年間で、2,000名を超える膵のう胞患者さんの臨床情報・画像データを体系的に集積した大規模データベースを構築し、膵発がんリスク因子の解析基盤を整備しました。その過程で、脂肪膵と膵がん発症との関連に着目した研究を進め、膵のう胞患者さんにおける発がんリスク評価に新たな視点を提供する知見が得られました。詳細は東大病院からプレスリリースされた以下の記事をご参照ください(https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/20250604-2.html)。これらの成果は、膵がんのリスク層別化や、将来的な個別化サーベイランス戦略の確立につながる重要な一歩であり、膵がん早期診断研究の基盤形成として大きな意義を有しています。
【寄付金の活用と研究基盤の整備】
皆様からお寄せいただいた寄付金は、研究用試薬・機器の整備、臨床研究に必要な倫理審査・研究支援体制の構築、データベース管理、ならびに研究成果の学術発信など、研究推進の基盤整備に有効に活用させていただきました。 これらのご支援により、継続的かつ質の高い研究を行うための環境を整えることができましたこと、改めて深く感謝申し上げます。
【今後に向けて】
胆膵がんは現在もなお最難治がんの一つであり、克服すべき課題は多く残されています。本基金設立からの3年間で築き上げた研究基盤と知見を礎に、今後はより実臨床に還元可能な研究へと発展させていくことが求められます。
私たちは引き続き、胆膵がんに苦しむ患者さんの未来を切り拓くことを目標に、研究・臨床の両面から全力で取り組んでまいります。 今後とも、本基金の趣旨にご賛同いただき、変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年1月21日
東京大学消化器内科 高原楠昊
2025年11月18日(火)
急な雨が降る中、寄付者の皆様に先端技術研究センターまでご足労賜りました。
はじめに、大澤准教授より、研究の進捗状況、特にグルタミンの役割やミトコンドリアの変異に関する新しい発見について、ご報告申し上げました。
報告会内で、研究チームはがん細胞が免疫システムを抑制する物質を放出することを発見し、このメカニズムを阻止することでがん治療に貢献できる可能性があるとご説明申し上げました。会議の最後に、研究室の新メンバーである山崎、西川、及川がそれぞれ自己紹介をいたしました。

当日参加された寄付者の方からは「本日、大澤先生からご説明いただくことで、研究について理解できた。例えば、ニュートリオミクスの文言の説明など、寄付ページをもう少しわかりやすくすることで、研究へのご理解、関心が深まると感じられた」等、貴重なご意見を賜りました。
また、寄付者の皆様からのご質問に対し、研究チームが一つ一つ丁寧にご回答し、活発な意見交換が行われました。特に、今後の研究計画や社会への応用について多くの関心が寄せられており、研究への期待が高まっていることが感じられました。
2025年02月26日(水)
「先端研 がん克服プロジェクト」は最先端の生命情報解析技術、AIなどを融合した研究からがん細胞の弱点を見極め、将来的にがんの克服を目指すプロジェクトが2023年11月に始動しました。
本プロジェクトでは、最先端のゲノム情報、遺伝子発現情報、タンパク質情報、代謝物情報といった各階層における生命情報を統合した解析技術(多階層オミクス解析)に、がん細胞の環境・栄養(ニュートリション)の視点を取り込んだ「ニュートリオミクス」という独自のアプローチにより、個々の患者におけるがんの弱点を見極める新たながん治療法の確立を目指し研究を進めております。

2024年度は、本研究プロジェクトを、さまざまな公的な研究の獲得に繋げることもでき、計画以上のペースでご寄付を頂けました。研究環境の整備、先端機器のメンテナンスや新規がん代謝阻害剤の開発にも繋がり、現在、東京大学発のベンチャー企業の立ち上げの準備を進めております。

2024年03月29日(金)
2023年度の主な活動として、先端研 がん克服プロジェクト」は最先端の生命情報解析技術、AIなどを融合した研究からがん細胞の弱点を見極め、将来的にがんの克服を目指すプロジェクトが2023年11月に始動しました。
本プロジェクトでは、最先端のゲノム情報、遺伝子発現情報、タンパク質情報、代謝物情報といった各階層における生命情報を統合した解析技術(多階層オミクス解析)に、がん細胞の環境・栄養(ニュートリション)の視点を取り込んだ「ニュートリオミクス」という独自のアプローチにより、個々の患者におけるがんの弱点を見極める新たながん治療法の確立を目指し研究を進めております。
本年度は、先端研 がん克服プロジェクトを立ち上げることが出来、また、計画以上のペースでご寄付を頂けましたので、研究環境の整備、先端機器のメンテナンスや新規がん代謝阻害剤による細胞増殖や腫瘍形成の検討実験を行いうことが出来ました。本成果は、新たな特許出願にも繋がりました。
<先端研 がん克服プロジェクト基金>
<先端研 がん克服プロジェクト基金>
<先端研 がん克服プロジェクト基金>
<先端研 がん克服プロジェクト基金>
<先端研 がん克服プロジェクト基金>
<先端研 がん克服プロジェクト基金>