生産技術研究所および先端科学技術研究センターからなる東京大学駒場Ⅱキャンパスに、国内外の第一線で活躍する演奏家を招聘して実施する音楽祭です。
発足記念公演として、2024年2月5日に世界的に活躍されている指揮者の山田和樹氏のもと、東京混声合唱団16名によるコンサート「邦人作曲家による戦前・戦後の合唱曲〜人声の集としての音楽芸術〜」を実施いたしました。今後も年3~4回の演奏会を開催する予定です。
真理の探究の面では科学と芸術は目指すところは同じです。私たちはこの音楽祭を、科学者と芸術家が相互にインスピレーションを与えたり、さらには異分野の研究者や実務家の交流を生み出す場としたいと考えています。
優れた芸術に触れる経験は参加者の感性を育むとともに、将来的なイノベーションの種を蒔くことにも繋がると期待しています。
駒Ⅱ音楽祭の運営は、生産技術研究所および先端科学技術研究センター有志によって支えられています。
今後も第一線で活躍する演奏家を招聘して音楽祭を実施するとともに、楽器やホール等のコンディションにも最大限の配慮を行いたいと考えております。しかしながら大学における資金には限りがあります。 先端研究の場において、科学と芸術が身近にある環境を実現し、それを通じた新たなつながりやインスピレーションを生み出す場を創り上げていくために、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
主催:東京大学生産技術研究所、東京大学先端科学技術研究センター
協力:駒Ⅱ音楽会(生研:今井公太郎、戸矢理衣奈 先端研:近藤薫、松口直樹)
2026年02月05日(木)
駒Ⅱ音楽祭は生産技術研究所(生研)および先端科学技術研究センター(先端研)の共催として開催され、2025年度に2年目を迎えました。以下に各回の概要を掲載いたします。
学内では駒場地区以外の参加者や学部生も増えつつあり、音楽を通した思いがけないつながり等も着実に広がっています。同時に工学系研究者には、そもそも音楽とのご縁が深い方が少なくないことにも驚かされますが、いずれもキャンパス内にこうした「場」があってこその展開です。皆様のご支援に感謝申し上げつつ、駒Ⅱ音楽祭のステップアップを重ねていきたいと思います。
・第5回公演【駒場リサーチキャンパス公開2025前夜祭~響創】(5月29日)
今年度の初回となる音楽祭は、生研および先端研からなる駒場リサーチキャンパスのオープンキャンパス前夜祭と位置づけ、開催されました。音楽監督を務める近藤薫教授(先端研)の声がけにより、日本のクラシック音楽界をリードする演奏家16名がensemble eveを結成し、キャンパスに集いました。珍しい木管五重奏や、生研S棟プレゼンテーションルームの建築を活かした、2階後方窓からのホルン独奏(メシアン「峡谷から星々へ」より“恒星の呼び声”」)をはじめ、「駒Ⅱ音楽祭」ならではの実験を加えつつ、異なる時代に 生きた作曲家たちが見つめた生命や宇宙をテーマにした演奏が披露されました。さまざまな楽器をめぐるトークも繰り広げられ、前夜祭に相応しい盛り上がりをみせた公演となりました。
演奏:
ensemble eve
ヴァイオリン 近藤薫、荒井優利奈、北田千尋、水野琴音
ヴィオラ 須田祥子、田口桜子 / チェロ 矢口里菜子
コントラバス 遠藤柊一郎 / フルート 高木綾子
オーボエ 荒木奏美 / クラリネット アレッサンドロ・ベヴェラリ
ファゴット 皆神陽太 / ホルン 福川伸陽 / トランペット 佐藤友紀 他
曲目:
R.ワーグナー / ジークフリート牧歌
O.メシアン / 峡谷から星々へ より「恒星の呼び声」
F.シューベルト / 弦楽四重奏曲第14番ニ短調「死と乙女」より第2楽章 他
・第6回公演【 澤クヮルテットコンサート】(7月9日)
今年度の第2回となる公演として「澤クヮルテット コンサート」を開催しました。澤クヮルテットは先端研フェローも務める日本が誇るバイオリニスト、澤和樹(第10代東京藝術大学学長)のもと、35年間、変わらぬメンバーで活動を継続しています。当日はピアニスト・蓼沼恵美子が加わり、時代の最先端を切り拓いた作曲家達の名曲を精緻な響きを披露されました.澄みきった円熟の極みの演奏に、歳月を重ねることにポジティブな気持ちになったという趣旨の感想も散見されました。
演奏:
弦楽四重奏:澤クヮルテット(澤和樹、大関博明、市坪俊彦、林俊昭)
ピアノ:蓼沼 恵美子
曲目:
W.A.モーツァルト / 弦楽四重奏曲 第17番 変ロ長調 「狩」 K.458
L.v.ベートーヴェン / 弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135
A.ドヴォルザーク / ピアノ五重奏曲 イ長調 Op.81
・第7回公演【やまだこんどうシリーズ#2 ヤマカズ音楽教室】
本所および本学先端科学技術研究センター(先端研)の共催として開催されている駒Ⅱ音楽祭、今年度の第3回公演が、11月17日(月)19時より本所S棟プレゼンテーションルームにて開催されました。
今回は日本人では3人目となる、ベルリン・フィル定期公演へのデビューでも話題を集める指揮者、山田和樹(先端研・先端アートデザイン分野アドバイザー)による「ヤマカズ音楽教室」。受講生は新進気鋭の演奏家、今井理子(ピアノ)と柴田花音(チェロ)。山田の簡潔な言葉と圧倒的な存在感のもとで、短時間に二人の演奏が変化していく様子は達人による教えの本質を凝縮して示しているかのようでした。山田と親交の深いピアニスト、長尾洋史と山田による2台ピアノ版「ラ・ヴァルス」の演奏という圧巻のサプライズもあり、駒Ⅱならではの愉しさと迫力に満ちた公演となりました。
出演:
山田 和樹、近藤 薫(バイオリン)、長尾 洋史(ピアノ)
※マスタークラス受講生
今井 理子(ピアノ)、柴田 花音(チェロ)
プログラム:
第一部:
山田和樹によるマスタークラス
J.ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.83 第3楽章
第二部:
ミニコンサート
M.ラヴェル:ラ・ヴァルス
C.ドビュッシー:バイオリンとピアノのためのソナタ 他
受講者による披露演奏
J.ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.83 第3楽章
※本公演と連動して、生研における第39回文化×工学研究会(戸矢理衣奈准教授主催)にて岡田暁生先生(京都大学名誉教授)により 、「音楽の『予習』の仕方」と題したご講演を頂きました(東大在籍者すべてにオープンな形のオンラインセミナー)。
・要約
公演での演奏曲目の中から、ブラームスのピアノ協奏曲二番(第3楽章)、ラヴェルの『ラ・ヴァルス』に焦点があてられ、両者の共通点としてウィーンが挙げられた。19世紀後半のドイツに過ごしたブラームスにとっては、それは第一次世界大戦前の文化の爛熟期の中心であり、憧憬の対象でもある。一方でラヴェルがフランスでこの曲を手掛けたのは1922年。当時のウィーンは、ラヴェル自身も戦線に加わり、傷ついた第一次世界大戦を経て、いわば夢の跡となった都なのだ。こうしたウィーンの光と影を前提にしながら、ブラームスのピアノ協奏曲二番(第3楽章)に見られる「逡巡」の解釈などについて、過去の映像も見ながら、ウィーンからの参加者も交えて談義がすすんだ。
・第8回公演【福間洸太朗ピアノ・リサイタル Pianist meets PLEYEL #2; Kotaro FUKUMA】(3月19日(予定))
今年度の最終回として、また先端研に寄贈されたプレイエルのピアノによるコンサート、Pianist meets PLEYEL#2として、福間洸太朗ピアノ・リサイタルを予定している。
2025年02月20日(木)
駒Ⅱ音楽祭 初年度活動のご報告
駒Ⅱ音楽祭は生産技術研究所および先端科学技術研究センターからなる東京大学駒場Ⅱキャンパスに、国内外の第一線で活躍する演奏家を招聘して実施する音楽祭です。
真理の探究の面では科学と芸術は目指すところは同じです。私たちはこの音楽祭により、科学と芸術が近くにある環境をつくり、科学者と芸術家が相互にインスピレーションを与えるとともに、異分野の研究者や実務家の交流を生み出す場としたいと考えています。優れた芸術に触れる経験は参加者の感性を育むとともに、将来的なイノベーションの種を蒔くことにも繋がると期待しています。以下に初年度の各回の開催概要を掲載いたします。
・(参考)発足記念公演
2024年2月5日に生産技術研究所S棟プレゼンテーションルームにて世界的に活躍されている指揮者の山田和樹氏のもと、東京混声合唱団16名によるコンサート「邦人作曲家による戦前・戦後の合唱曲〜人声の集としての音楽芸術〜」を実施いたしました。当日は尺八の関 一郎 氏による演奏も加わるなか、会場全体をフル活用したステージに、合唱の新たな可能性を感じた参加者も少なくありませんでした。加えて山田氏の軽妙なトークや東大を意識されたここにしかない即興の数々、さらには客席を向いての指揮による参加者全員による合唱など、まさに駒Ⅱならではの音楽祭の幕開けとなりました。
・第1回公演【トップ・オペラ歌手によるバリトン・リサイタル】(5月17日)
藤原歌劇団 折江 忠道 総監督による進行のもと、日本を代表するトップ・オペラ歌手のひとりである上江 隼人 氏によるバリトン、ならびにゲスト光岡 暁恵 氏による美しいソプラノの歌唱が、ピアニスト河原 忠之 氏、ヴァイオリニスト高瀬 真由子 氏の演奏ともに披露されました。学生から教職員まで多くの参加者が来場し、至近距離にて繰り広げられる圧巻の歌唱と折江監督を中心にしたトークを堪能しました。
司会進行:折江忠道(藤原歌劇団総監督)
バリトン:上江隼人 (藤原歌劇団 オペラ歌手)
ゲスト出演 ソプラノ:光岡暁恵 ピアノ:河原忠之
曲目:
G.ヴェルディ:歌劇「リゴレット 」より抜粋、瀧廉太郎:「荒城の月」
R.シュトラウス:「4つの歌曲」作品27より「Morgen!」ほか
・第2回公演【Pianist meets PLEYEL シリーズ♯1 ピアノ:亀井聖矢】(9月6日)
今回は先端研3号館南棟のENEOSホールにて開催されました。演奏するピアノは、フランス プレイエル社製造のモデルALフルコンサートグランドピアノ(1952年製)で、2023年10月に末永 直行 氏(故人、初代在福岡フランス名誉領事)より先端研へご寄贈いただいたものです。
当日は、快進撃をつづける若き気鋭のピアニスト 亀井 聖矢 氏(2022年ロン=ティボー国際音楽コンクール第1位)の演奏によるオール ショパン プログラムが披露されました。会の進行とともに円熟の増すプレイエルと若き亀井氏の華ある、鮮烈な演奏の「共演」が佳境となりゆく様子が感じられ、ライブならではの、ここにしかない時間の流れをも満喫する機会となりました。満席となり、補助席を出しての開催となりました。
ピアノ:亀井聖矢 (2022年11月、ロン=ティボー国際音楽コンクール第1位)
曲目:
~オールショパンプログラム~
ノクターン op.27
ポロネーズ 第6番 変イ長調 op.53 「英雄」
バラード (全4曲) ほか
※プレイエル PLEYEL フルコンサートグランドピアノを使用(1952年製・東大先端研ENEOSホールに設置)
・第3回公演【やまだこんどう プロデュース公演 #1 コマニ音楽実験室】(11月7日)
マエストロ 山田 和樹 氏と本学 先端科学技術研究センター 近藤 薫 特任教授による共同プロデュース企画として開催しました。
山田氏と近藤特任教授の、打てば響くようなトークとともに以下の三種の「実験」を行いました。生研S棟の2階も駆使して行った「人の音源特定の限界値」の検討(J.Sバッハ:フーガの技法BWV108第1曲)、楽譜の有無による演奏の相違(モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークK.525より第1楽章)、そして指揮者の有無による演奏の相違(ドボルザーク:弦楽セレナーデOp.22より第1楽章)の検討です。
譜面や指揮者の有無による演奏への影響を、実際に「実験」する機会は多くはありません。山田氏が指揮をされることで、まさに演奏が入魂となる様子は圧巻でありました。休憩を挟み、チャイコフスキーの弦楽セレナーデの全曲を、そしてアンコールでは今年逝去されたジョージアの作曲家、アザラシヴィリのノクターンが披露されました。山田氏が高校時代に国際線の機内で偶然にこの曲を聴き、名前を特定し、楽譜を入手し、さらに作曲家本人とも交流を持つに至ったという思い入れの深い一曲とのことでした。会場の一体感も高まるなかでの終演となりました。
演奏・進行:
山田和樹(指揮者、バーミンガム市交響楽団 音楽監督)
近藤薫(ヴァイオリニスト、東大先端研 先端アートデザイン特任教授)
横浜シンフォニエッタ(https://yokohama-sinfonietta.com/)
プログラム:
E.グリーグ:ホルベルク組曲より第1楽章
A.ドボルザーク:弦楽セレナーデ第1楽章
P.I.チャイコフスキー:弦楽セレナーデ 他
・第4回公演【リヴァラン弦楽四重奏団演奏会 ピアノ:阪田知樹 音楽談義:岡田暁生】(1月17日)
ショスタコーヴィチそしてバルトークという、クラシックファンにとっても「渋い」プログラムを二段構成ですすめました。まず、生産技術研究所で開催している文化×工学研究会でもおなじみの、西洋音楽史の岡田暁生先生(京都大学人文科学研究所教授)より「今こそ旧東欧/旧ソ連の音楽遺伝子を再考する」と題してご講演をいただきました。岡田先生ご自身は以下のように概要を記されています。
「「多くのファンが「渋いなあ・・・」と二の足を踏むだろうプログラムとは承知である。しかし楽しいだけが音楽ではない。これは今日私たちが絶対に考えるべき何かを指し示す選曲となるはずである。バルトークは今や全体主義台頭の危機に瀕する旧東欧の出身。ショスタコーヴィッチは旧ソ連の言論弾圧に苦しみ抜いた作曲家。冷戦が終結したと思われてはや四十年。旧西側と旧東側との間の感性回路の絶対的断絶が再び私たちの脳裏によぎり始めた今、音楽を通して「西と東の間の闇」をかいま見る機会となれば幸いである」。
続いて弦楽四重奏 / ピアノ五重奏の演奏となりました。「リヴァラン弦楽四重奏団」は、近藤薫・特任教授が長野市芸術館とともに2020年に立ち上げたカルテットで、駒Ⅱキャンパスには2023年1月に開催したRCASTコンサートに続く2年ぶり二度目の登場となりました。ゲストとして日本を代表する若手ピアニストのおひとりである阪田知樹氏をお迎えして、抑制されたピアノがむしろ引き立つ、息の合った演奏を披露してくださいました。駒Ⅱ音楽祭ならではの距離の近さによる魅力も改めてお示しくださる機会ともなりました。全体として、「音楽を聴く」そして「音楽を知る」ことの愉しみ、そして意義を実感していただける演奏会となったものと思います。
弦楽四重奏:リヴァラン弦楽四重奏団 / riverrun String Quartet
ピアノ:阪田知樹 / Tomoki SAKATA(2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位)
音楽談義:岡田暁生 / Akeo OKADA(京都大学人文科学研究所 教授)
「今こそ旧東欧/旧ソ連の音楽遺伝子を再考する」
演奏曲:
・ショスタコーヴィチ / 弦楽四重奏曲 第8番 ハ短調 Op.110
・バルトーク / ピアノ五重奏曲 ハ長調 Sz.23 (ピアノ:阪田知樹)
<駒Ⅱ音楽祭基金>
<駒Ⅱ音楽祭基金>
<駒Ⅱ音楽祭基金>
<駒Ⅱ音楽祭基金>
<駒Ⅱ音楽祭基金>
<駒Ⅱ音楽祭基金>
<駒Ⅱ音楽祭基金>
<駒Ⅱ音楽祭基金>