■グローカルな臨床心理学の世界への発信
日本の臨床心理学は、戦後の発展の中で海外の心理療法を取り入れる形で成長してきました。ところが近年、世界の臨床心理学でも、マインドフルネスや観想といった東洋文化に根ざした価値観が注目されるようになっています。
私たちは、西洋の価値観だけでは解決できない課題に対し、東洋的なアプローチが新たな可能性を開くと考えています。そして、その教育・研究を推進し、日本から世界に向けて新しい臨床心理学を発信していきます。
■リカレント教育における世代を超えた循環的学びの創出
臨床心理学は時代や地域の影響を受けながら絶えず発展していく学問です。そのため、現場で活躍する修了生が常に新しい知見に触れ、学び続けられるリカレント教育が重要となります。
さらに、修了生が現場で培った経験を現役の学生に還元することで、互いに学び合う循環的な教育の場が生まれます。こうした仕組みによって、日本の臨床心理学の質を一層高めることが期待されます。
■世界の臨床心理学をリードする人材を育むために
東京大学大学院教育学研究科附属心理教育相談室は、1957年の創立以来、地域に開かれた心理相談機関であると同時に、心理専門職を志す学生の研修機関として重要な役割を果たしてきました。 いま、この歴史ある相談室を基盤として、日本から新しい臨床心理学を世界に発信する研究拠点へと進化させ、さらに世界をリードする実践者・研究者・教育者を育成する場へと発展させていきたいと考えています。
しかし、そのような新たな教育・研究拠点を実現するためには、皆さまからのご支援が欠かせません。次世代の臨床心理学を担う学生や修了生の成長のため、そして東京大学が日本の臨床心理学の発展を牽引していくために、温かいご寄付を心よりお願い申し上げます。
皆様よりいただいたご寄付は以下の活動のために活用させていただきます。
これまで日本の臨床心理学は、海外のモデルを取り入れることで発展してきました。しかしその一方で、東洋文化に根ざした独自の視点は十分に活かされてきませんでした。
近年、海外でも注目され始めているマインドフルネスや観想は、もともと東洋文化から生まれたものです。東京大学において、こうした文化的背景を生かした臨床心理学の教育・実践を開発し、世界に発信することは大きな国際的意義を持ちます。
この実践教育を通じて、高度な専門性を備えた臨床心理士や公認心理師を育成し、心理支援の質を向上させます。さらに、心理教育相談室を訪れるクライエントに対しても、より良いサービスを提供できるようになります。こうした取り組みは、地域社会の心理的健康の向上につながり、その効果は臨床心理学にとどまらず、学校教育や生涯教育の分野にも広がります。
大学内にリカレント教育の場を設けることで、修了生と現役学生が互いに学び合う環境が実現します。現場で得られた知と最新の学問の知が融合することで、臨床心理学の発展をさらに加速させ、日本全体の実践力の維持・向上にも貢献します。
また、年代や専門領域を超えた幅広いネットワークを築くことで、産学連携の可能性も広がります。従来の相談室内にとどまらず、社会に新しい形で貢献できる臨床心理学の支援モデルを切り拓く契機となります。
日本ならではの臨床心理学発展のため、皆様のお力添えを心よりお願い申し上げます。
<臨床心理学実践のための研究教育基金>