UTokyoインクルーシブ・キャンパス構築プロジェクト

-多様性が公平に包摂される東京大学と社会をみんなでつくる-

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プロジェクト設置責任者

理事・副学長
林 香里

今年度寄付総額
1,166,000円
今年度寄付件数
17件
現在の継続寄付会員人数
5人
累計寄付総額
1,166,000円

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東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

プロジェクトについて

ーD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を全学で推進し、誰もが平等に学び働くことのできるキャンパスの構築ー
東京大学では、2002年に設置された「バリアフリー支援室」と、2006年に設置された「男女共同参画室」が中心となり、障害者支援とジェンダー平等を推進し、インクルーシブなキャンパスづくりに貢献してきました。この東京大学のD&I推進を飛躍的に推し進めるために、2024年4月にこの2つの室が発展的に統合され、「多様性包摂共創センター(Center for Coproduction of Inclusion, Diversity and Equity、愛称はIncluDE)」が生まれました。

■ IncluDEの活動の中核:共同創造(Coproduction)
IncluDEの活動の中核になるのは、当事者(女性、性的マイノリティ、障害者など)と研究者が力を合わせて、ともにより良い社会をつくっていく「共同創造(Coproduction)」です。研究と実践を密に循環させて、当事者の視点に立った知識や技術を産み出そうとしています。しかし、多様な人々が共同創造できるキャンパスを実現する上では、ライフステージに沿った切れ目のない支援や、女性障害者など、複数の障壁が交差する困難を解消するための物理的環境、制度的環境、文化的環境の変革が不可欠です。

■プロジェクトの目的と重点分野
本プロジェクトは、そうしたキャンパス環境の変革を目的としています。とくに、女性学生に対する住居支援、入学後に発生するニーズに対応するバリアフリー支援、あらかじめ予想することのできない緊急性の高い問題への対応に力を入れたいと考えています。

寄付の必要性

■予測困難な緊急ニーズへの対応
日々キャンパス内外で発生するマイノリティの困り事は、そのすべてを事前に予測できず、予算計上が困難です。例えば東京大学では学部2年生のときに進学先が決定されますが、障害のある学生の場合、半年以内に進学先のバリアフリー工事などを完了させなければ、平等な機会を保障できません。
進学決定後、障害学生がすぐに利用できる設備の設置や、急な環境整備が必要になることがあるため、それらをカバーする予算が必要です。

■「ライフ」の安定とライフコース全体の支援
また、マイノリティ構成員が各々の「ワーク」で活躍するためには、ベーシックな「ライフ」の安定、たとえば、障害のある構成員の介助者の保障や、育児や介護の担い手となっている構成員の支援、通学困難な女性学生に対する一定の家賃支援などが不可欠です。しかし、大学の予算では「ライフ」にかかる費用のすべてを負担できません。
さらに、進学、ライフイベントからの復帰、キャリア形成など、長期的なライフコースに伴走した切れ目のない支援においても、既存の財政的な枠組みでは十分に対応しにくいものです。

緊急性が高いニーズや、ライフの領域におけるニーズ、ライフコース支援を中心に、DEIを実現するために必要な支援や環境整備のうち、既存の財源を利用することのできないものに寄付を必要とします。

寄付の使途

■緊急性の高い物理的環境の整備
・老朽化した学内保育園の改修や備品整備
・女性や障害のある人々のための休養室・トイレ等の環境改善
・授乳室の整備
・生理用品の設置・整備
・学内キャンパス移動用電動車いすやハイバック車いすの常備
・障害のある学生・教職員の災害時対応整備(避難器具の設置)
・全学に向けた展示・体験用のバリアフリー対応デスクなど各種什器の展示
・支援機器の修理・メンテナンス

視覚障害者誘導用ブロックとエスコートゾーン
(左)視覚障害者誘導用ブロック
(右)視覚障害者誘導用ブロックとエスコートゾーン
車椅子幅に合わせた路面一部改修.JPG
車椅子幅に合わせた
路面一部改修
身体障害者専用駐車場.jpg
身体障害者専用駐車場
階段の段差識別マーク(踏み外しによる転落防止).JPG
階段の段差識別マーク
(踏み外しによる転落防止)

■情報アクセシビリティの向上
・アクセシビリティに配慮したデジタルマップおよびHP構築
・会議での同時多発的発話を視覚化するシステムの導入
・視覚障害者のためのナビゲーションデバイスの導入
・学内イベント等での手話通訳や文字通訳の提供
・書籍の電子データ化

音声認識アプリを用いた情報保障(文字通訳)の様子.JPG
音声認識アプリを用いた情報保障(文字通訳)の様子

 

■進学・キャリア形成・復職支援
・女子高校生への事前情報提供事業の拡充
・女性研究者のスキルアップ支援(研究費支援)
・育休復帰後のリスタートアップ経費
・入職後の中途障害に対する復職支援

■ライフの領域に関する支援事業
・育児・介護に携わる研究者への支援
・障害のある構成員のパーソナルアシスタントにかかる費用
・入学試験業務に派遣される教職員の子どもの保育支援
・女性学生向け住まい支援

女子学生支援画像.png
 

これらの支援は、緊急性の高いニーズや、ライフの領域におけるニーズ、そしてライフコース全体に渡る切れ目のない支援を目指しています。
これにより、多様な構成員が公平かつ持続可能な形で大学の活動に参加する機会が保障されたキャンパスの実現が期待されます。

どのような成果が期待されるか

■多様な学生・教職員が学び、活躍できるキャンパス
この寄付によって、東京大学の構成員の多様性が向上すること、そして、多様な構成員が公平かつ持続可能な形で、大学の活動に参加する機会が保障されたキャンパスが実現することが期待されます。

■インクルーシブな文化の定着
マイノリティである当事者にとって、多くの寄付者の存在は心の支えになります。その支えは、大学での活動中のみならず、その後の生活にも良い影響を及ぼすものです。
マイノリティ性をもつ構成員の公平な包摂は、構成員自身のウェルビーイングや権利保障につながり、それ自体に価値が宿るものです。しかし同時に、大学や社会に対しても、様々な副次的な効果をもたらしもします。

例えば、多様なメンバーからなる研究チームは、そうでないチームと比べて、質の高い研究を行うという報告があります。また、社会的マイノリティの人々のニーズに応え、包摂的な社会の実現に貢献する、社会的インパクトの強い研究も、マイノリティ性をもつ研究者が同僚として存在することで促進されると言われています。

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2024年活動報告
-インクルーシブなキャンパスと社会の実現に向けて-

2025年01月30日(木)

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 2024年4月に開所された多様性包摂共創センター(IncluDE)では、キャンパスや社会のDEIを実現するために、様々な取り組みを行っています。2024年は以下のような活動を行いました。

◆戦略室と研究部門の主な活動
 センター内には「DEI共創推進戦略室」が設置され、6月からメンバーが順次、就任しました。IncluDE全体の立ち上げに際して、IncluDEのWEBサイトやパンフレットの作成などの発信関係を戦略室が担いました。
 また、学内の様々な部局でDEIに関連する第一線の研究者約48名を糾合した「研究部門」と、ジェンダー・エクイティ推進オフィスとバリアフリー推進オフィスからなる「実践部門」をつなぎ、互いの研究領域についての情報交換をすべく、IncluDEランチセミナーの企画・開催・記録を手がけました。ランチセミナーは7月より月2回のペースで実施し、研究部門や専任メンバーから各回2~3人が自己紹介や最近の研究について発表をした後に意見交換をするもので、年度内に全17回の実施を予定しています。トピックはバリアフリー、ジェンダーやセクシュアリティ、移民など多岐にわたり、専門の学問分野も横断的な構成員によって、DEIについて充実した議論が交わされています。
 これらのランチセミナーで使用した資料のほか、学内外でDEIに関連するソリューションや教育研究リソースも収集しており、ウェブサイト(https://include.u-tokyo.ac.jp/)に順次更新をしています。
 また、性の多様性についてのイベントを実施し、10月からはこの分野の専門性を持つ特任研究員を迎えて更なる体制の強化を図っています。
 さらに、16名の研究者からなる教育研修ワーキンググループを設置し、DEIに関するオリジナルの教育・研修プログラムを開発、役員や職員を対象に提供しました。

◆ジェンダー・エクイティ推進オフィスの主な活動
 IncluDEの実践部門に設置されたジェンダー・エクイティ推進オフィス(GEオフィス)は、ジェンダー平等の推進を目指し、多岐にわたる活動を展開しました。その中でも特に注目されたのが「#言葉の逆風」プロジェクトです。このプロジェクトでは、「なぜ東京大学には女性が少ないのか?」という問いを先行して掲示し、後に、女性たちが実際に経験した「#言葉の逆風」を可視化しました(図1)。アンケートで収集された言葉をもとに、日常的な何気ないひとことが与える影響を可視化し、マイクロアグレッションへの気づきを促しました。この活動は、大学構成員がジェンダー課題を自分事として捉える契機となり、SNSや各種メディアでの報道を通じて学内外から大きな反響を呼びました。

図1 「#言葉の逆風」プロジェクトで全学に配布したポスター.jpg
図1 「#言葉の逆風」プロジェクトで全学に配布したポスター

 このプロジェクトに関連して、3月の国際女性デーイベントや、6月の「#言葉の逆風 どう向き合う―矢口副学長と考える」、7月の東京カレッジ共催ラウンドテーブル、12月の脚本家・吉田恵里香氏と林香里副学長による対談など、多彩なイベントを開催しました。これらは、ジェンダーバランス不均衡への理解を深め、前向きな議論を促す場となりました。
 女性研究者や学生への支援としては、リーダー育成プログラムやネットワーキングイベントの実施に加え、女子中高生向け進学促進イベントの実施や冊子『Perspectives』の作成(図2)、母校訪問を通じた啓発活動を展開しました。また、地方出身の女性学生には住まい支援を行い、年間200名以上に対し家賃補助を提供することで、安全で安心な学習環境を整備しました(図3)。
 GEオフィスは、東京大学をより多様性に富んだ包摂的な空間にするため、今後も努力を続けてまいります。

図2 女子中高生向け進学促進用冊子『Perspectives』.jpg
図2 女子中高生向け進学促進用冊子『Perspectives』
図3 地方出身の女性学生に向けた家賃補助の案内.png
図3 地方出身の女性学生に向けた家賃補助の案内

◆バリアフリー推進オフィスの主な活動
 バリアフリー推進オフィスは、「東京大学憲章」に基づく全学のバリアフリー化推進のための専門部署として、障害のある学生や教職員がその能力を十分に発揮できるキャンパスづくりに取り組んでいます。2024年も、「合理的配慮の提供」と「“バリアフリーの東京大学”に向けた理解促進」という二つの取り組みを軸に、多岐にわたる活動を展開し、大学全体のバリアフリー化を推進しました。
 年間を通じて、障害のある学生や教職員が修学や就業を円滑に進められるよう、バリアフリー推進オフィスではさまざまな合理的配慮を提供しました。たとえば、障害のある学生には、授業や試験時の配慮に加え、実験機器を使いやすくするための座面調整が可能な車いすなどの支援機器の購入・貸出を行いました(図4・5)。

図4 学生サポートスタッフによる文字通訳の様子.jpg
図4 学生サポートスタッフによる文字通訳の様子
図5 実験機器を使いやすくするための座面昇降式車いす.jpg
図5 実験機器を使いやすくするための座面昇降式車いす

 また、施設部と連携したキャンパス内施設のバリアフリー化や、アクセシビリティマップの制作にも取り組んでいます。さらに、緊急災害時の対応強化を目的として、避難機器の新規導入と避難訓練を実施し、障害のある学生や教職員が安心して過ごせる環境づくりを進めました(図6)。

図6 車いす学生の避難担架訓練の様子.jpg
図6 車いす学生の避難担架訓練の様子

 加えて、2024年度は、例年実施している「学生とのバリアフリー意見交換会」「障害のある教職員とのバリアフリー意見交換会」の形式を見直し、8月~10月にかけて計15回の対話の場を設けました。また、全学の学生や教職員を対象とした研修なども積極的に実施し、その結果、多くの参加者がバリアフリーの重要性を再認識し、深く理解する機会となりました。
 バリアフリー推進オフィスは、今後も障害のある方々が安心して学び、働ける環境づくりを目指し、引き続き努力を重ねてまいります。

 これらの活動は、皆様からの温かいご支援のおかげで実現できました。心より感謝申し上げます。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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寄付目的・支援先を指定できます
お名前 日付 金額 コメント
河原 理子 2024年12月07日 10,000円 多様な人が学び続けることができる公正な大学をつくるための環境整備を応援します。
<UTokyo インクルーシブ・キャンパス構築プロジェクト>
******** 2024年11月13日 10,000円 多様な学生や研究者が集まり、東大が誰もが来たくなる大学となるよう応援しています。
<UTokyo インクルーシブ・キャンパス構築プロジェクト>
松井 正一 2024年11月12日 10,000円 インクルーシブなキャンパスの構築に向けて、みんなで推進していきましょう。
<UTokyo インクルーシブ・キャンパス構築プロジェクト>
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プロジェクト設置責任者

理事・副学長
林 香里

今年度寄付総額
1,166,000円
今年度寄付件数
17件
現在の継続寄付会員人数
5人
累計寄付総額
1,166,000円

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ご寄付の謝意・記念品

「東京大学基金」の謝意・記念品が適用されます。

このプロジェクトの謝意・記念品

【累計500万円以上のご寄付(個人)】

・お名前を東京大学150周年記念事業募金寄付者銘板(2027年度秋に赤門周辺建設予定)に刻印いたします(希望者のみ)

※150周年記念事業募金 (1)UTokyo NEXT150 (2)ひらけ!赤門プロジェクト (3)UTokyo インクルーシブキャンパス構築プロジェクト 3つのプロジェクトへの合算累計金額となります(2022.10.15~2027.3.31決済完了分の累計)
※お名前のご記載はお申込み名義となり、掲載は50音順となります。
※銘板記載要否については2027年度上半期にご連絡をさせていただきます。

【累計1,000万円以上のご寄付(法人)】

・法人名を東京大学150周年記念事業募金寄付者銘板(2027年度秋に赤門周辺建設予定)に刻印いたします(希望者のみ)

※150周年記念事業募金 (1)UTokyo NEXT150 (2)ひらけ!赤門プロジェクト (3)UTokyo インクルーシブキャンパス構築プロジェクト 3つのプロジェクトへの合算累計金額となります(2022.10.15~2027.3.31決済完了分の累計)
※ご法人名のご記載はお申込み名義となり、掲載は50音順となります。
※銘板記載要否については2027年度上半期にご連絡をさせていただきます。

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