老朽化が進む理学部2号館が今、存続の危機にあります。東京大学の象徴的な建物であり、多くの生物学の革新が生まれたこの場所。しかし、冷房設備の不備や外壁の損傷、漏水などの問題が進行しており、研究活動に支障をきたしています。これ以上の悪化を防ぎ、次世代の生物学研究を支えるために、皆様のご支援が不可欠です。理学部2号館は、これからも次世代の生物学研究を支える重要な拠点であり続けます。老朽化が進む建物の修繕・整備を行うため、皆様のご支援が必要です。これまで培ってきた生物科学の伝統を守り、次世代の革新を生み出すために、みなさまの温かいご支援とご協力をお願いいたします。
プロジェクト設置責任者
理学系研究科 生物科学専攻
教授 東山 哲也
生物学の根本的な問い
「生命とはなにか」。生物学はこの根本的な不思議に正面から向き合い、生命の基本原理を追究する学問です。日本における生物学は、1877年(明治10年)の東京大学の設立時に理学部生物学科が設置されたことに始まると言われています。以来、生物学科は、150年近くにわたって日本の生物科学を牽引してきました。生物学の発展とともに組織や名称は変遷しましたが、現在は理学系研究科生物科学専攻として続いています。
幅広い研究対象と教育
理学系研究科生物科学専攻では現代生物学の基礎領域のほぼ全てを網羅する研究が遂行されており、それを基盤に生物科学専攻の大学院生および理学部生物学科の学部学生に対し、生物学の総合的教育が実施されています。扱う生物種は、肉眼では見えないバクテリアや微細藻類から、植物、昆虫などの各種動物、ヒトに至るまで多岐に亘ります。また、研究対象は分子や細胞から、組織、個体、生態系まで様々な階層に跨ります。対象のサイズもナノメーターから地球規模まで、時間スケールはナノ秒から億年まで、何桁もの広がりをもちます。研究の場も実験室、海洋や森林などのフィールド、さらには仮想空間にまで及びます。
研究テーマは多様であり、花の咲く仕組みやヒトの二足歩行、脳の機能、タンパク質の構造と機能の関係、睡眠の存在理由などが含まれています。生物学の進歩は著しく、つい最近まで不可能だった技術によって新しい研究の潮流が次々と生まれています。生命現象へのアプローチの自由度が高まり、個々の独創的なアイディアによって様々な研究が展開可能となっています。
研究の強みと社会的意義
理学系研究科生物科学専攻は、このような流れを主導し、今後も「生命とはなにか」の謎に挑み続けます。近年、基礎研究に基づいた迅速なCOVID-19ワクチン開発の例が示すように、生物科学と関連する研究は社会的な付加価値が高まっています。生物科学専攻は、基礎研究から生み出された「知の産物」を社会活動に活用するために、社会との連携を一層深めてまいります。
歴史的背景
理学部2号館は、1934年に完成した歴史的建造物です。安田講堂を設計し、東京帝国大学総長も務めた内田祥三による設計で、当時の最新鋭の研究施設でした。竣工時には、生物科学専攻につながる動物学教室や植物学教室、さらに地質学、鉱物学、地理学の教室が入り、世界トップクラスの研究が行われていました。著名な植物学者である牧野富太郎博士も理学部植物学教室に関わり、また、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典博士も、この場所でオートファジー(細胞が自身の成分を分解・再利用するプロセス)研究の基礎となる酵母の液胞研究を始めました。現在も若手研究者がこの場所で生物科学の新たな発見に挑んでいます。
現在の課題
理学部2号館は、完成から90年を迎え、老朽化が進んでいます。建物内部は何度も修繕を重ねてきましたが、冷房設備の不備、外壁の損傷、窓の開閉不良、漏水、床面の浮きなどの問題が深刻化しています。特に外壁の傷みは一部のエリアへの立ち入りを制限するほどです。今後、基礎生物学(生命の基本的な仕組みを解明する学問)の研究教育の場として、また東京大学の歴史的建造物として、この建物をどのように保存・活用していくかが大きな課題となっています。
これまでの修繕や整備では限界があり、従来の予算では対応が困難な状況にあります。財源を多様化し、柔軟に対応できる皆様のご寄付が不可欠です。基礎生物学の未来をつなぐために、研究活動を支えるためのご支援をお願いしています。
屋上から見下ろす中庭(竣工当時)。町並みは大きく変わりましたが、理学部2号館のたたずまいは変わりません。
東京大学本部施設部旧蔵写真資料より
1.研究・教育環境の整備:
2.社会との連携機能の実装:
<理学部2号館を救え!>
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