大学院に入って博士号を目指す人は、「よっぽど勉強が好きなんだね」と言われることが多いでしょう。しかし、大学院に入る人の目標は、人類や社会のために、自分を最大限活かせる将来の道を見つけることのはずです。学んだ分野の研究でブレークスルーを狙うのか、企業でビジネスの新しい道を見つけるのか、起業して社会の変革を目指すのか、省庁で日本の将来を創るのか、政治で日本を変えるのか、メディアで民主主義を支える正しい重要な情報を発信するのか、または外国で新天地を見つけるのか。中にはまったく違う道を行き来する人もいるでしょう。学んだ専門知識や思考法を活かし、地球の運命を変える人もでてくるはずです。
FoPM(変革を駆動する先端物理・数学プログラム:Forefront Physics and Mathematics Program to Drive Transformation)のカリキュラムは、数理、物理、化学、物理工学、天文、地球惑星科学、脳科学の多様な分野の学生が一緒になり、自分を一番活かせる道を見つけるために設計しました。「勉強」は今まで知られていることを身につけること。「研究」は世界の誰も知らない新しい知を発見すること。これができるようになった学生は、文字通り世界を変える力を持っているのです。
このようにFoPMでは広い知見を得て、新しい日本・世界を創る、柔軟で包括的な思考ができる人材の育成を目指しています。皆様からの暖かく、力強いご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
カブリ数物連携宇宙研究機構国際高等研究所
特別教授 村山 斉
(1)経済的支援をともなう修博一貫プログラム
学生が学びと研究に安心して専念できるようにという願いから、修士課程の学生には月額17万円、博士課程の学生には月額18万円を支給するという経済的支援を行います。
(2)AIと量子コンピューターの基礎力を身につける
最先端の科学のみならず、世界と競争するための即戦力となり地球の未来を切り拓く人材となるには、AIや量子コンピューターについての知識は必須であるという考えから、人工知能(AI)や量子コンピューティングについての演習が選択必修となっています。
(3)分野を超えた広い視野と気づきのチャンスを提供
複数の異なる専攻や分野の垣根を超えた学び方ができるよう、FoPMでは研究室ローテーションという仕組みで、自分の研究室(専門分野)とは異なる研究室で研究する機会を設けることにより、分野を超えた広い視野の習得を目指します。
(4)国境を越えて新たな学びと研究を体験するための国外連携機関長期研修
修士課程2年次から博士課程2年次の間に、海外の研究機関や企業において共同研究やインターンシップを行うことは、自分と違う複数の視点を肌で感じ、海外で自信をつけることにより、大学院修了後の活躍の支えとなる重要な体験になると考え、国外研修を必修とし、これにかかる旅費を支援しています。
(5)世界への発信力とコミュニケーション力を高める
経験豊かな講師陣より、英語による効果的なプレゼンテーションの方法や、インパクトのある論文を主要な科学誌へ投稿するための戦略や執筆方法などを実践的に学びます。
(6)真のグローバル・リーダーとなるためのダイバーシティ・倫理を学ぶ
ジェンダー、LGBT、人種などについて、無意識のうちに持ってしまうバイアスやその克服方法、インクルーシブな社会への貢献方法などについて学ぶ「ダイバーシティ・倫理教育」を通じて、真にグローバルな価値観を備えた人材を目指します。
(7)起業家マインドを育む企業との実践研究や数物スタートアップ演習、SDGsの学び
企業との実践研究も積極的に推進しており、社会数理先端科学では数学が異分野、産業界でどのように使われているかを学び、社会課題実践演習では産業界などから提示された課題に対し、高度な数学的知見の適用による解決を目指すなど、従来の数学応用を超えた研究を行っています。
(8)世界へ羽ばたくための実際的なノウハウを知る国際キャリア研修
さまざまなセクターの講師を招き、効果的なプレゼンテーション方法や海外におけるネットワーク作り、企業への就職などを学ぶ機会を提供しています。
Zoomで開催する4PMセミナー
FoPMは、国内外の世界トップレベルの教育研究体制の強みを活かした、専門外の分野や人類社会にもインパクトを与えられる基礎科学の専門人材を育成する修士・博士一貫プログラムです。
東京大学大学院理学系研究科、数理科学研究科および国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構が連携して、国際性や学際性を重視している多様なカリキュラムを提供し、教職員・学生とともに分野を越えた挑戦的な取り組みを行っています。
2019年に設立されたばかりの若く機動的な組織だからこそ、これまでの東京大学ではなかなか手を付けることができなかったさまざまな新しい試みを実現しています。東京大学の大学院生の国際的な競争力を上げるために、海外の好事例を本学の価値観にあわせて、新しい大学院教育システムの構築を挑戦しています。
学生一人一人のポテンシャルを最大化することにより、基礎科学のファンダメンタルズをしっかりと身につけた、何でもチャレンジし何にでもなれる人材を育てています。このような“ステム人材“、すなわち万能細胞のような人材は、数学・物理・化学の基礎をしっかりと身につけているからこそ、何でもできるようになれるのです。それは、たとえば本プログラム生から将来のノーベル賞・フィールズ賞の受賞者が選出される、国の政治を大きく動かす人になるなど、将来には多様な可能性が広がっています。そんな「時代を変え、世界に貢献する」大学院教育システムの構築を目指しています。
「博士人材」と言えば、大学や研究機関において、社会に関わりが少ないあるいは、狭い専門分野にしか興味がない研究者、のイメージを持つ方は少なくないでしょう。しかし、このイメージは大きな間違いです。基礎科学が専門であっても、博士課程修了者は、科学技術や社会イノベーションに広く影響を与えるスキルを有する人材なのです。
独立行政法人経済産業研究所の研究によると博士人材の発明生産性が高く、この高い水準は長期にわたり持続することがデータで示されています。(※1)博士人材は入社直後から特許出願件数とその被引用件数、つまり発明の量と質の両面において、修士課程修了者より上回り、企業の研究開発に大きく貢献しています。
出典:大西 宏一郎、長岡 貞男「企業内研究者のライフサイクル発明生産性」
独立行政法人経済産業研究所ディスカッション・ペーパー:12-E-059、2012.
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/rd/080.html
博士課程学生として得られたスキルのうち、実際の仕事などで役立っているスキルは、「論理性や批判的思考力」(70%)、「データ処理、活用能力」(31%)、「自ら課題を発見し設定する力」(24%)だと、博士課程修了者自身が感じています。(※2)学術的で、狭い専門的知識だけではなく、どの職においても応用できるトランスファラブルスキルの重要性を企業も博士人材本人も実感しています。
さらに、博士人材は、採用された企業で高い評価を得られています。採用後の印象を調査したところ、「ほぼ期待通り」または「期待を上回った」と回答した企業が9割以上を占めています。
しかしながら「期待を上回った」と回答した割合を学歴区分別に見ると、博士課程修了者が修士・学士号取得者を6年連続で上回っているにもかかわらず、過去3年間には、博士課程修了者を研究開発者として採用した企業は2割強にとどまっており、博士人材を積極的に採用する企業が限られているのが現状です。(※3)
博士人材とは「孤独な研究者」ではなく、日本の生産性を向上させ、人類が直面するさまざまな地球規模の課題解決に取り組もうとする「最適な人材」であると考えられます。しかし、企業への就職の不透明さに加え、大学や研究機関における若手研究者の不安定な雇用環境、また博士課程在籍時の経済支援等の不足を理由として、優秀な修士学生が博士課程への進学を控えています。結果として、2003年度のピーク以来、世界的な動向と逆に、日本で博士課程へ進学する人数の減少傾向が続いています。(※2)
出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所、「科学技術指標2020」を基に、FoPM事務局が作成。
FoPMでは、一般的な博士課程在籍時に得られる上記のスキルに加え、専門分野を超えた広い視野、長期海外派遣を通じての国際性、世界への情報発信に必要なコミュニケーション能力など、日本だけでなく世界のさまざまなセクターのリーダーとしての即戦力がある、多様な博士人材を育成しています。
皆様からの暖かく、力強いご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
(※1)大西 宏一郎、長岡 貞男「企業内研究者のライフサイクル発明生産性」独立行政法人経済産業研究所ディスカッション・ペーパー:12-E-059、2012. https://www.rieti.go.jp/jp/publications/rd/080.html
(※2)川村 真理、土屋 隆裕、星野 利彦「博士人材追跡調査」第 4 次報告書 NISTEP Research Material No.317 文部科学省 科学技術・学術政策研究所、2022.DOI: https://doi.org/10.15108/rm317
(※3)「民間企業の研究活動に関する調査報告 2021」、NISTEP REPORT No.193、文部科学省科学技術・学術政策研究所,2022. DOI: https://doi.org/10.15108/nr193
2024年02月15日(木)
変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)は、特徴のある8本柱のカリキュラムにより、学生の能力を最大限に引き出し、高い研究力と専門性に加えて広い視野を併せ持ち、人類社会に貢献する博士人材の輩出を目指しています。そのほか、学生のキャリアポテンシャルを最大化するために、教員のマインドセットや日本固有のシステム改革にも挑戦しています。
【FoPMカリキュラムの8本柱】
(1)経済的支援をともなう修博一貫プログラム
大学院学生が経済的支援を受けられないのは、先進国では日本だけです。優秀な人材が博士号を目指さず、日本の科学の地盤沈下の大きな一因となっています。今年度には、第5期FoPM生が入学し、本プログラムに在籍し経済的支援を受けている大学院生(修士課程1年~博士課程3年)が192名(2024年1月31日現在)となりました。
(2)AIと量子コンピューターの基礎力を身につける
AIと量子コンピューティング技術のスキルが次世代を担う研究者にとって必須である知識となり、企業でも人材需要の増加が見込まれます。2023年10月より、日本初となる実用に近い性能レベルのIBM Quantum System Oneが本学で利用可能となり、プログラム生が最も最先端の量子コンピューターに実際に触れる機会を提供しています。
(3)分野を超えた広い視野と気づきのチャンスを提供
従来の研究室で閉じた教育から理念の共有に基づくプログラム教育へと転換し、入学時に決められた研究室とは異なる研究室の研究生活や議論、大型研究施設を体験する機会を設けています。今年度は、FoPM生約30名がこの研究室ローテーションに参加し、学生主導の分野横断的な研究も出てきています。
また、研究室の壁を超えてプログラム生同士が気軽に交流できる4PMセミナーを月に一度開催しています。今年度は、2006年にフィールズ賞を受賞したコロンビア大学のアンドレイ・オクンコフ教授をはじめ、毎月国内外の著名研究者による講演をいただきました。その後のプログラム生の他分野の学生向けの短いプレゼンテーションや懇談会では、分野横断的なネットワークがプログラム生同士で構築されています。
2023年2月6日~8日には、第1回FoPM国際シンポジウムを開催し、物理学、数理科学、物理工学、天文学から化学、地球惑星科学、神経科学、平和学・国際関係学や科学コミュニケーションに至るまで、幅広い分野で活躍されている世界トップレベルの研究者から基調講演をいただきました。FoPMに所属する130名以上の大学院学生も自分の研究成果を口頭発表(博士課程)及びポスター発表(修士課程)し、さまざまな分野の学生と研究者と交流する貴重な機会となりました。
(4)国境を越えて新たな学びと研究を体験するための国外連携機関長期研修
コロナ禍のため、「国外連携機関長期研修」の実施が困難でしたが、今年度は26名のFoPM生が北米、ヨーロッパ、オーストラリア、アジアに渡って、さまざまな研究機関において国際共同研究を行いました。FoPMウェブサイトに学生の国外連携機関長期研修報告書を紹介していますので、ぜひご覧ください。
(5)世界への発信力とコミュニケーション力を高める
プログラム生の必修科目として、「Academic Writing and Presentation」を開講し、科学者にとって不可欠な科学コミュニケーションを英語で教えています。この科目では、学生が学術出版のプロセスを修士課程の早いうちに体験できる、一般向けのエッセイを執筆して互いに査読するプロジェクトも提供しています。FoPMウェブサイトに学生のエッセイを紹介していますので、ぜひご覧ください。
(6)真のグローバル・リーダーとなるためのダイバーシティ・倫理を学ぶ
今年度も、ダイバーシティ専門家による無意識のうちに持ってしまうバイアスやその克服方法、インクルーシブな社会への貢献方法等を教える「ダイバーシティ・倫理教育」をFoPM採用後1年以内に受講することを義務付けています。
(7)起業家マインドを育む企業との実践研究や数物スタートアップ演習、SDGsの学び
今年度には、FoPM生3名がコースワークの一環として国内外の民間企業におけるジョブ型インターンシップに参加し、3週間~3ヶ月間大学との異なる研究文化を体験しました。
また、企業との実践研究を推進することを通じて、自分の研究がどのように社会課題へ貢献できるのかを考えさせることが目的の授業を本プログラムの選択必修科目として提供しており、今年度も多くのプログラム生が受講しました。
(8)世界へ羽ばたくための実際的なノウハウを知る国際キャリア研修
年一回開催する「国際キャリア研修」では、様々なセクターで活躍している博士号保有者をロールモデルとして招き、博士号取得後のキャリアパスの豊富さと多様性について学生の認識を深めさせることを目指しています。今年度は2024年3月に開催する予定です。
【教員のマインドセット改革:推薦書講習会】
指導教員による推薦書は、特に海外の場合、様々なキャリアを開く重要な鍵ですが、残念ながら日本の教員が書く推薦書は具体性に乏しく、説得力が弱い傾向にあります。昨年度に物理学専攻会議で好評であった、国際標準となる推薦書の書き方の講習会を今年度は数理科学研究科会議で開催し、2024年2月に天文学専攻会議でも開催する予定です。
なお、FoPMは2019年度に文部科学省の卓越大学院プログラム(WISEプログラム)に採択され、東京大学の国際卓越大学院プログラム(WINGS)のフロントランナーとして位置づけられており、本プログラムの取組は全学への横展開が期待されています。文部科学省による補助期間は2019年度から2025年度までとなり、補助金額は7年間で初年度の1/3まで逓減します。補助期間終了後もFoPMの安定した運営を継続できるように、皆様からのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
2023年02月22日(水)
「変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)」では、2月6日~8日に第1回FoPM国際シンポジウムを本郷キャンパスにて開催しました。
シンポジウムは、物理学、数理科学、物理工学、天文学から化学、地球惑星科学、神経科学、平和学・国際関係学や科学コミュニケーションに至るまで、幅広い分野で活躍されている世界トップレベルの研究者から基調講演をいただきました。
また、FoPMに所属する130名以上の大学院学生が自分の研究成果を口頭発表(博士課程)及びポスター発表(修士課程)し、さまざまな分野の学生と研究者と交流する貴重な機会となりました。
シンポジウムウェブサイト
https://indico.ipmu.jp/event/420/overview
2023年02月07日(火)
「変革を駆動する先端物理・数学プログラム」(FoPM)では、広い視野を持ち、専門外の分野にもインパクトを与えられる人材を育成するために多様なカリキュラムを提供しています。そのほか、教員のマインドセットや日本固有のシステム改革にも挑戦しています。FoPMの目指す目標を実現するため、国際競争が高まる今の時代に適応するさまざまな先駆的な試みを積極的に取り組んでいます。
【FoPMカリキュラムの8本柱】
特徴のある8本柱のカリキュラムにより、学生の能力を最大限に引き出し、高い研究力と専門性をもつ、人類社会に貢献する博士人材の輩出を目指しています。
(1)経済的支援をともなう修博一貫プログラム
大学院生が経済的支援を受けられないのは、先進国では日本だけです。優秀な人材が博士号を目指さず、日本の科学の地盤沈下の大きな一因となっています。今年度には、第4期FoPM生が修士課程1年に入学し、本プログラムを通じて経済的に支援している大学院生(修士課程1年~博士課程2年)が156名(2023年1月31日現在)となりました。他の本学修博一貫(WINGS)プログラムと違って、FoPMに限っては米国の大学院と同様の条件を取り入れて、プログラム生の採用を入学と同時に行っています。経済的支援は入学後半年以降から行なっていますが、在学中の生活費が保証されているため、学生が入学時から学びと研究に安心して専念できます。実際にプログラムへの採用を機に、博士課程進学の決意を固めた、また、プログラムへ採用されなかったら本学を選ばなかったという学生からの声がありました。
(2)AIと量子コンピューターの基礎力を身につける
今後企業でも需要の増加が見込まれ、また研究の大きな助けになるため、次世代を担う研究者にとって必須である知識という考えのもと、本プログラムではAIまたは量子コンピューティング演習が必修となっています。量子コンピューティングの講義では、世界初のゲート型商用量子コンピューターIBM Quantum System Oneへのアクセス権限を付与し、量子コンピューターに実際に触れる機会を提供しています。授業ではIBM研究員との交流もでき、学生にとって有意義な機会になります。
(3)分野を超えた広い視野と気づきのチャンスを提供
従来の研究室で閉じた教育から理念の共有に基づくプログラム教育へと転換し、入学時に決められた研究室(専門分野)とは異なる研究室で滞在する機会を設けています。今年度は、FoPM生39名が普段の研究生活で接する機会がない他分野のセミナーや議論、実験装置や大型研究施設を体験することができました。本取組をきっかけに、研究分野をまたいでの共同研究に向けた動きが既に生まれています。
また、研究室の壁を超えてプログラム生同士が気軽に交流できる4PMセミナーを月に一度開催しています。外部講師による講演に加え、プログラム生数名が他分野の学生向けの短いプレゼンテーションを行い、評価し合っています。その後、懇談会でグループをランダムに割当てることによって、プログラム生同士の交流の輪が広がり、分野横断的なネットワーク構築につながることが見えてきています。
(4)国境を越えて新たな学びと研究を体験するための国外連携機関長期研修
コロナ禍において、この数年間は「国外連携機関長期研修」の実施が困難でしたが、今年度になりFoPM生を再び海外に派遣できるようになりました。北米、ヨーロッパ、アジアから南米、オーストラリアに至るまで、FoPM生がさまざまな研究機関において国際共同研究を行いました。また、海外渡航に躊躇している学生をエンカレッジするために、海外派遣経験者の体験談をパンフレットやウェブに掲載したほか、経験者本人から4PMセミナーにおいて、物価や各国の水際対策などの実践的なアドバイスを含む自分の経験を他プログラム生に共有していただきました。
理学部のウェブマガジン「リガクル」にはFoPM生の物理学専攻博士課程2年の西ノ宮ゆめさんの経験を紹介しています。ぜひご覧ください。
(5)世界への発信力とコミュニケーション力を高める
プログラム生の必修科目として、「Academic Writing and Presentation」を開講し、科学者にとって不可欠な科学コミュニケーションのうち、英語による効果的なプレゼンテーション方法や主要な科学誌へのインパクトのある論文の投稿戦略・執筆方法等を英語で教えています。また、授業において、学生は既に発表された研究成果を一般向けに分かりやすく英語のエッセイにまとめる練習も行います。FoPMウェブサイトに学生のエッセイを紹介していますので、ぜひご覧ください。
(6)真のグローバル・リーダーとなるためのダイバーシティ・倫理を学ぶ
プログラム生は、ダイバーシティ専門家による無意識のうちに持ってしまうバイアスやその克服方法、インクルーシブな社会への貢献方法等を教える「ダイバーシティ・倫理教育」を採用後1年以内に受講することを義務付けられています。考えたことがなかった、FoPMに参加しなかったら考える必要もなかったテーマに向き合うとても良い機会という声も上がっています。また、教員もダイバーシティ教育を受けることが重要と指摘した学生もいました。今後、本セミナーが全学に展開することを期待しています。
(7)起業家マインドを育む企業との実践研究や数物スタートアップ演習、SDGsの学び
自分の研究がどのように社会課題へ貢献できるのかを考えさせる、企業との実践研究を推進することが目的の「SDGs特論」、「エグゼクティブ・プログラム」、「社会数理先端科学」と「社会課題実践演習」、「数物スタートアップ演習」を本プログラムの選択必修科目として提供しており、今までに多くのプログラム生が受講しました。
また2022年1月~3月には、FoPM生がコースワークの一環として民間企業におけるジョブ型インターンシップに参加し、期間中は研究メンバーの一員として社内で与えられた課題に取り組みました。
(8)世界へ羽ばたくための実際的なノウハウを知る国際キャリア研修
年一回開催する「国際キャリア研修」では、国外研究機関や民間企業、省庁などを含む、様々なセクターで活躍している博士号保有者をロールモデルとして招き、博士号取得後のキャリアパスの豊富さと多様性について学生の認識を深めさせることを目指しています。今年度は、ソニーグループ株式会社R&Dセンターの野本和正氏、Los Alamos National Laboratoryの冬頭かおり氏、Kavli IPMUのTom Melia氏、特定非営利活動法人J-Winの内永ゆか子氏、文部科学省の高山正行氏から現在の立場に至るまでのキャリア構築について講演をいただきました。「既存の概念を更新させられるような、新しい視点を得られた気がします」、「キャリアを考えたときにどうしても既定路線に乗っかるイメージがあって閉塞感を感じていたが、それは一部自分の視野狭窄な面もあると実感できました」などという学生からの声がありました。
【教員のマインドセット改革】
学生の就職の可能性とキャリアポテンシャルを最大化するため、教員のマインドセット改革にも取り組む必要があると考えています。
推薦書講習会
指導教員による推薦書は、特に海外の場合、様々なキャリアを開く重要な鍵ですが、残念ながら日本の教員が書く推薦書は具体性に乏しく、説得力が弱い傾向があります。そのため、教員が自分の学生がどんなに優秀だと思っても、無意識でその学生のポテンシャルを制限している可能性があります。それに気付かせるために、国際標準となる推薦書の書き方の講習会を物理学専攻会議で教員向けに開催しました。物理学専攻で好評だったため、今後は他専攻でも開催する予定です。
なお、FoPMは2019年度に文部科学省の卓越大学院プログラム(WISEプログラム)に採択され、東京大学の国際卓越大学院プログラム(WINGS)のフロントランナーとして位置づけられており、本プログラムの取組は全学への横展開が期待されています。
<変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)支援基金>
<変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)支援基金>
<変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)支援基金>
<変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)支援基金>
<変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)支援基金>
<変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)支援基金>
<変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)支援基金>
<変革を駆動する先端物理・数学プログラム(FoPM)支援基金>