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古代ゲノムから、現代⽇本⼈の体質理解へ。
縄⽂⼈の適応進化を、iPS 細胞とゲノム科学で実験的に解き明かす研究です。
私たちの研究チームは、縄文人のゲノム(遺伝情報)解読を進めてきました。これまでの解析から、縄文人は東ユーラシアのヒト集団の中でも古い系統に属し、氷河期に日本列島へたどり着いた後、列島が大陸から分離する過程で長く独自の歴史を歩んできた集団であることが分かってきました。
私たちは、これまでに多くの縄文人骨からDNAを抽出し、全ゲノム解読と大型計算機による解析を進めてきました。その結果、縄文人がどのような体質をもっていたのか、少しずつ見えはじめています。たとえば、脂質代謝やアルコール代謝など、現代日本人の体質理解にも関わる特徴が、ゲノム情報から浮かび上がってきました。
現代日本人のゲノムの中には、縄文人から受けついだ部分が一定割合存在します。つまり、私たち一人ひとりの体質の違いを理解するうえで、縄文人由来のゲノムをどのように受けついでいるかは、重要な手がかりになります。
しかし、ゲノム配列を読むだけでは、「その違いが細胞の中でどのような機能差として現れるのか」までは分かりません。そこで私たちは、縄文人ゲノムを多く受けつぐ現代日本人、またはその割合が比較的低い現代日本人の細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作製し、そこから肝細胞に近い細胞へ分化誘導する研究を進めています。
肝臓は、脂質代謝、薬物代謝、感染応答、生体防御など、私たちの体質に深く関わる臓器です。iPS細胞から作製した肝細胞をもちいて実験することで、縄文人がどのような環境に適応進化していたのかを、ゲノム情報だけでなく、細胞の機能として検証できる可能性があります。
古代の人びとを知ることは、現代に生きる私たち自身を知ることにつながります。このプロジェクトは、縄文人の体質にせまる基礎研究であると同時に、現代日本人の体質の個人差を理解し、将来の個別化医療・予防医学・健康科学を支える研究基盤の構築にもつながる挑戦です。
本研究は、「ゲノム科学やiPS細胞の技術をもちいて、縄文人の体質を知りたい」という、きわめてシンプルな理学的関心から出発した基礎科学です。短期的な収益を目的とする研究ではありませんが、人類の歴史、現代日本人の体質理解、将来の医療基盤に関わる重要な知の蓄積を目指しています。
一方で、ゲノム解析やiPS細胞研究には、高価な試薬、細胞を長期的に維持・管理する設備、大量のデータを解析する計算環境が必要です。また、細胞培養、分化誘導、ゲノム解析を安定して進めるには、高度な技術をもつ若い研究者の育成が不可欠です。
公的研究費は通常3〜5年単位であり、長期にわたって細胞を維持し、技術を継承しながら研究を発展させるためには、継続的で柔軟な支援が必要です。このため、本プロジェクトに賛同してくださる皆様からのご寄付を募りたいと考えました。
ご寄付は、実験や解析に必要な経費だけでなく、研究を推し進める「人」を育て、その人が安心して研究に取り組める環境を整えるためにも大切に活用します。

このプロジェクトを前に進めることで、縄文人の適応進化を細胞レベルで理解する新しい研究システムの構築を目指します。具体的には、縄文人ゲノムの割合が高い細胞からiPS細胞を作製し、肝細胞へ分化誘導することで、縄文人様肝細胞系を構築します。これにより、実際のヒト集団の多様性を反映した統計学的解析が可能になります。
さらに、縄文人様肝細胞と現代日本人肝細胞を比較し、薬剤への応答、代謝機能、感染や炎症に対する反応などを解析します。得られたデータを蓄積し、AIを含むデータ解析技術と組み合わせることで、ゲノムの個人差が細胞機能や体質にどのように関わるのかを理解するための基盤づくりを進めます。
従来、iPS細胞は主に再生医療への応用が期待されてきました。私たちはそれに加えて、iPS細胞を「ゲノムの個人差を理解するための実験基盤」として活用する道を提案します。細胞を使った集団遺伝学の研究システムを整えることで、これまでの遺伝子検査だけでは十分に説明できなかった体質の違いを、より定量的かつ統計学的に理解できるようになることが期待されます。
縄文人の体質を知る研究は、過去を知るためだけの研究ではありません。古代ゲノムから現代日本人の体質を理解し、将来の個別化医療・予防医学・健康科学を支える基礎技術へとつなげる研究です。皆様の温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。
本研究は、本学の倫理審査を経て承認を得た研究として実施しています(審査番号:E2025ALS330/研究課題「現生人類の拡散と適応に関する集団ゲノム解析(8)」)。
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