
近年、 AI(人工知能)や機械学習は劇的に発展し、人間社会の様々な場面に応用され、さらなる発展を目指して基礎および応用研究が進められています。その一方で、AIが導き出した結果を原因にさかのぼって検証することやその有効性の根拠となる根本原理の解明は、いまだ未知の領域にありブラックボックス化しているといえます。
「知の物理学」では、これまでの既存の物理学研究の枠を超えた新たな挑戦として、現在世界的に関心を集めている「説明可能なAI(Explainable AI = XAI)」を物理学の基礎原理に基づいて構築し、原因から結果に至る因果関係を演繹的にモデル化するなど、物理学とAIが融合する新しい学問領域の創出を目指します。そして、究極的には、人間の知性が発現する数理的構造の解明に取り組みます。
知の物理学研究センターは、物理学とAIの融合を目指す国際的に卓越した研究拠点として発展させると同時に、世界的に例を見ない物理学とAIの分野横断的な教育拠点として、物理原理の深い理解に根差した高度情報処理人材の育成も行います。
本センターによる基礎的学理研究による波及効果は、物理学や人工知能分野は言うに及ばず、様々な分野に応用可能な新しい高度情報処理技術への展開が可能であり、ひいては、AI技術の信頼性が物理原理によって担保される安全な社会応用へと繋がっていくことが期待されます。
特に、自動運転や医療・金融・司法判断など、説明責任が求められる分野において、機械学習の動作原理を根本的に理解するニーズに応え、私たちが直面している喫緊の課題の解決に貢献します。
また、従来の研究者・技術者教育とは一線を画する、物理原理の深い理解とAIの知見に基づき幅広い分野を俯瞰できる人材を育成・輩出することにより社会に貢献します。
このように、私たちの日々の生活を含めた社会を大きく駆動する「知の物理学研究センター」の活動に、個人や企業の皆様から裾野広いご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
2020年03月13日(金)
●セミナーの実施
2019年3月より2020年1月にかけてセミナーを開催し、国内外より気鋭の研究者を招き、研鑽を重ねました。開催状況は下記の通りです。本セミナーは、次年度も継続して行う予定です。
船井(柴)正太郎 氏 (沖縄科学技術大学院大学) |
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Tarin Clanuwat 氏 (国立情報学研究所,人文学オープンデータ共同利用センター) |
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2019年4月24日 |
池田思朗 氏 (統計数理研究所) |
白崎正人 氏 (国立天文台) |
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小林研介 氏 (知の物理学研究センター) |
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Denny Wu 氏 (University of Toronto & Vector Institute for Artificial Intelligence ) |
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Shreya Sharma 氏 (NECデータサイエンス研究所) |
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田中秀宣 氏 (スタンフォード大学/Stanford) |
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Ziyin Liu 氏 (東京大学大学院理学系研究科物理学専攻) |
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Gentiane Venture (Tokyo University of Agriculture and Technology) |
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Themis Palpanas 氏(Paris Descartes University) |
●大学院教育研究活動 <教育実績> 2019年 Sセメスター
理学系研究科物理学専攻の大学院生10名から構成される「機械学習に関する研究グループ」において、Tilman HARTWIG助教による教育研究活動が行われました。
●国際教育研究活動 <国際コミュニティへの貢献>
【リベリア大学におけるAIコロキウムの開催】 2019年8月
リベリア大学において、「キャンパスでの学術討論と政策議論を奨励および促進するために設計された大学プログラム」であるLux Talkを行いました。
●社会連携活動
【「宇宙の謎にAI(人工知能)で迫ろう!」の開催】 2019年8月
●広報活動
知の物理学研究センターおよび知の物理学研究センター支援基金を紹介するwebサイト(https://www.phys.s.u-tokyo.ac.jp/lp/ipi/)の開設や更新の他、2019年3月にリーフレットを制作しました。
制作したリーフレットは、関係研究者、セミナー等の参加者に配布、また、東京大学オープンキャンパス(理学系研究科/理学部)、大学院理学系研究科物理学専攻大学院入試ガイダンス開催時などに設置し、本センター・支援基金についての情報発信に努めています。
●「知の物理学研究」寄付講座の設置(予定) 参画企業との共同研究へ向けた取り組み
参画企業とその企業のもつ課題解決に向けた取り組みを開始するべく、寄付講座が設置される予定です。
本講座は物理学と人工知能を融合する新しい学問を創生することを研究目的とし、本研究で得られる成果により、AIの信頼性が物理原理によって担保される様々な応用が期待されます。さらに、本成果により育成された人材が、物理学とAIの融合分野を発展させる役割を果たし、社会への貢献を図ると期待されます。
<知の物理学研究センター支援基金>
<知の物理学研究センター支援基金>
<知の物理学研究センター支援基金>
<知の物理学研究センター支援基金>