南鳥島レアアース泥を開発して日本の未来を拓く

― 環境に優しいクリーンな資源 ―

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プロジェクト設置責任者

大学院工学系研究科 エネルギー・資源フロンティアセンター 教授
加藤 泰浩

今年度寄付総額
3,950,000円
今年度寄付件数
14件
現在の継続寄付会員人数
0人

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東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

ご支援のお願い

レアアースは我が国の基幹産業であるハイテク産業やグリーンテクノロジー産業に必須の金属であり、ハイブリッドカーやスマートフォン、LEDなど我々の日常生活の様々な場面で活用されています。一方で、現在世界のレアアース生産はその70%を中国一国が占める寡占状態にあり、日本もその供給を中国に依存しているのが現状です。このような状況を打破し、国の基幹産業の命運を他国に握られることのない「資源安全保障」を確立することは、日本にとって喫緊の課題です。

工学系研究科の加藤泰浩研究室では、2013年に日本の排他的経済水域(EEZ)である南鳥島周辺で、次世代型のクリーンなレアアース資源である「レアアース泥」が膨大な量存在していることを発見しました。我々はこの「国産レアアース資源」を商業ベースで活用することこそが、日本の「資源安全保障」の確立につながると考え、その探査、環境調査、採泥・揚泥、選鉱・製錬、残泥処理、新素材に関する研究開発を進めています。これまでの私たちの研究の結果、南鳥島EEZ内およびその周辺の海域(公海)には、世界最高品位のレアアース泥が豊富に分布していることがわかってきました。

しかし近年、世界最大のレアアース生産国である中国は、南鳥島EEZに隣接した海域でマンガンノジュールとコバルトリッチクラストの鉱区を相次いで取得しました。そして、レアアース泥についてもその調査を精力的に進めていることはほぼ確実で、レアアース市場における自国の優位性のさらなる強化を狙っています。今、我が国が中国に先んじて国産レアアース資源を開発し、「資源安全保障」を確立できなければ、日本のEEZ近傍で生産されたレアアースを中国から買うという悪夢のような未来が訪れるかも知れません。

そこで私たちは、南鳥島EEZ外の公海において調査航海(約1ヶ月)を行い、南鳥島周辺海域全体におけるレアアース泥の精緻な分布および品位の3次元情報を把握することを計画しています。これにより、公海における開発が許可された際に、いち早く最良な鉱区を獲得することができます。さらに、この航海で採取したレアアース泥を用いて「選鉱・製錬、分離・精製、製品作成」についての実証実験を行い、我が国におけるレアアースのサプライチェーンの構築を目指します。計画実施のためには、公的資金も活用する予定ですが、それだけでは充分ではありません。日本のものづくり産業の未来を拓く国産レアアースの確保と、国の安全保障につながる新たな資源の開発に一人でも多くの皆様から力強いご支援を賜りたくお願い申し上げます。

大学院工学系研究科
エネルギー・資源フロンティアセンター
教授 加藤 泰浩

 

なぜレアアースは重要か?

レアアースはテレビやデジカメ、携帯電話、パソコン、ハイブリッド/電気自動車など、私たちの日常生活に欠かせない様々なハイテク製品に使われています。たとえば、ネオジムやジスプロシウムを使った小型かつ強力なレアアース磁石によって、電気自動車のモーターや携帯電話のマナーモードの振動が実現されました。

そのほか、地球に優しいLEDや燃料電池のほか、インフルエンザ治療薬やMRI造影剤などの医療分野、さらには航空宇宙産業や安全保障分野にもレアアースは重要な役割を果たしています。これからの次世代産業や先端技術開発に必要不可欠な材料であり、レアアース産業の経済規模は年間5兆円に上ります。

レアアース製品群

 

レアアースとは?

レアアース(希土類)とはレアメタルの仲間で、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロビウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)の17元素の総称です。

また,ランタンからサマリウムまでの6元素を軽レアアース、ユウロピウムからルテチウムまでの9元素にイットリウムを加えた10元素を重レアアースと呼びます。特に、重レアアースは産業上の重要性が高い元素群です。また、最近はスカンジウムの重要性も広く認知されつつあります。

元素記号表

 

レアアース泥の発見

現在、レアアースの生産は中国が世界の大半を占めています。2010年に起こった中国のレアアース禁輸による「レアアース・ショック」が世界的な問題となったほか、2019年にもアメリカと中国の間でレアアースをめぐり緊張が高まったように、その安定供給には大きな課題を抱えています。

このような状況の中、私たちは、これまで誰も注目していなかった深海の「泥」が、 新たなレアアース資源となりうることを、2011年に発表しました。 我々が発見した「レアアース泥」は、 (1) 高いレアアース含有量を持つ (特に重レアアースやスカンジウムに富む)、(2) 深海底に広く分布しており、資源量が膨大、(3) 層状に分布するため探査が容易、(4) 開発の障害となるトリウムやウランなどの放射性元素をほとんど含まないクリーンな資源、(5) 希塩酸などで容易にレアアースが抽出可能であるなど、資源開発に有利な特長をいくつも兼ね備えた、まさに「夢の泥」といえるものです。

海底の図

さらに私たちは、レアアース泥が我が国の排他的経済水域である南鳥島周辺の海底に分布していることも突き止めました。これにより、日本がレアアース資源を独自に開発できる可能性が出てきました。この南鳥島で見つかったレアアース泥は、中国の陸上鉱山の20倍の品位を持つ、世界最高品位の「超高濃度レアアース泥」です。私たちの研究成果によると、およそ100 平方キロメートルの有望エリアだけでも、日本の年間需要の数十年から数百年分に達する莫大な資源ポテンシャルをもつことがわかっています。

南鳥島図

 

国産レアアース資源の開発に向けて

南鳥島レアアース泥開発の実現を目的として、私たちは2014年に「レアアース泥開発推進コンソーシアム」を東京大学に設立しました。本コンソーシアムには、日本を代表する30以上の企業・機関が参加しており、5つの部会に分かれて鋭意検討を進めています。

レアアース泥は水深5000mを超える深海底にあります。レアアース泥の開発システムとしては、海洋石油生産で多く用いられている「浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備 (Floating Production, Storage and Offloading system: FPSO)」を応用したシステムを検討しています。海底からレアアース泥を揚げるためには「エアリフト」という技術を用います。これはパイプに圧縮空気を送り込んで泥水に空気を混ぜ、浮力を利用して引き揚げるものです。揚泥されたレアアース泥からは、希塩酸を用いてレアアースをリーチング(浸出) します。このリーチング溶液を陸上工場へ輸送し、レアアースを分離・精製します。また、残泥には水酸化ナトリウムを添加することで中和・無害化し、埋立資材やセメント資材、環境資材として使用することを考えています。

これまで私たちが挙げてきた成果は国からも高く評価されており、「海洋基本計画」や「日本再興戦略」など国の主要政策にはレアアース泥の調査・開発技術の推進が明記されています。また、2018年からは内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム第2期 革新的深海資源調査技術」で、レアアース泥の採泥・揚泥技術の開発が開始されるなど、我が国の資源政策に多大な影響を与えています。

採掘図

 

さらに詳しくは加藤教授が説明する動画をご覧ください


YouTubeページはこちら

 

ご寄付の活用

私たちは、南鳥島海域で約1ヶ月の調査航海を行い、実際に採取したレアアース泥を用いて「選鉱→製錬→分離・精製→製品作成」という一連のフローの実証試験を行う計画です。南鳥島における調査航海には、船舶費、人件費、機材・艤装費等に1回につき約1億5000万円が必要です。公的資金を活用しつつ、不足する部分を広く国民の皆様とレアアースを活用する様々な産業界からのご寄付によって支えていただきたくお願い申し上げます。

2024年の調査航海(約1ヶ月)に向けて各種の実験や機材の手配等々の準備を進めています。皆様からのご寄付でまず事業全体の約1割をカバーしていただくことを目標にしています。しかし、航海は1回限りではなく、何度も必要です。継続的なご支援をご検討いただければ幸いです。

南鳥島写真
南鳥島(Wikipediより)
海上の写真
ピストンコアラー(筒状の金属製採泥装置)を用いた泥試料採取
doro3.jpg
採取されたピストンコア
作業の写真
レアアース泥のサンプリング

 

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お名前 日付 金額 コメント
本郷 安史 2020年11月14日 100,000円 私自身も環境エネルギー問題に関わっており、特に電気自動車の普及推進に力を入れている関係もあり、是非このプロジェクトを成功に導いて頂きたいと考えています。
<南鳥島レアアース泥を開発して日本の未来を拓く>
******** 2020年11月09日 10,000円 日本から世界全体の幸福に繋がることを期待しています
<南鳥島レアアース泥を開発して日本の未来を拓く>
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工学系「地球と宇宙の資源ミュージアム」(2021年5月開設予定)にご招待します(解説付き)。

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