Qナノラボ(量子物質ナノ構造ラボ)は、物性研究所がこれまで培ってきたマテリアルズサイエンスとナノサ イエンスを融合させ、量子科学・量子技術に革新をもたらすことを目指しています。
現在のエレクトロニクスの発展は、半導体の微細化技術によってもたらされていますが、微細化による集積では限界が目前に迫っています。他方で必要とされる情報のデータ量は爆発的に膨大し、今後も増大していくこ とが予測されています。Qナノラボは、このような大きな課題に物質科学のアプローチからブレイクスルーをもたらします。
● 物質開発-ナノ加工-量子計測を一貫
物性研では、新奇物質が日々作り出されています。それらをナノ加工することにより量子現象が現れたり制御することが可能になります。Qナノラボでは、物質開発からナノ加工・素子形成、量子計測まで一貫して行うことにより、量子科学の研究を加速させます。そして微細化というボトルネックを解消するような次世代素子の開発や新規技術の開発に繋げます。
● 量子ネイティブ人材育成
量子技術の飛躍的発展のためには、量子概念を自由自在に操り、従来の情報処理から量子情報処理までをフラットに結びつけることができる人材が不可欠です。Qナノラボでは、上記研究活動を通して、量子科学の創成を担う人材を育成します。
「量子の世界」は、よく「不思議の国のアリスの世界」に例えられます。白ウサギの導きでアリスは次々と不思議な体験をしますが、「量子の世界」でも、原子サイズのミクロな世界をのぞいてみると、マクロな世界では見られない不思議な現象が見いだされています。この「量子の世界」での不思議な現象は、19世紀に見いだされた量子力学という物理法則に従っており、現実の世界で起きます。そして、半導体などのエレクトロニクス、コンピュータ、通信等など、現代の我々の生活を支える重要な量子科学技術として利用されています。
このように量子科学技術は日々発展しておりますが、一方大きな課題も抱えております。半導体もムーアの法則によるとトランジスタ集積度の限界が近いともいわれておりますし、また量子コンピュータも現在のシステムでは極低温に冷やさなければ動作せず、大量の情報処理は難しい状況です。今後の発展を考えると、その材料、システム構築、動作原理まで、根本に立ち返ってパラダイムシフトすることは喫緊の課題となっております。
Qナノラボでは、これまで半導体や量子コンピュータの量子科学技術で利用されてきたシリコン、アルミニウム等に加え、トポロジー系物質など新しい量子物質も利用し、その新物質をナノ加工して素子やデバイスを作製、さらにそのデバイスなどのシステムを先端計測、および制御することにより、新たな量子現象及び量子動作原理を見出すことを一気通貫して行い、次世代の量子科学技術に資することを目指しています。
今後の日本の量子科学技術を発展させていくために、Qナノラボは大きく貢献できるものと確信しております。非常にチャレンジングですが、研究者一同一意専心取り組んでまいります。皆様の暖かなご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
物性研究所長
廣井 善二
物性研の地下と1Fクリーンルームに用途に応じた装置群を常設、ラボスタッフが随時加工相談を受け付けています。
Postfrom RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA
クリーンルーム1
Postfrom RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA
クリーンルーム2
レーザー彫刻機
蒸着機類
原子層堆積装置
いただいたご寄付は装置のメンテナンスや運営、窒素やヘリウム等寒剤の購入に活用する予定です。
膨大な情報量を処理することができる次世代コンピュータとして開発されているのが超伝導方式の量子コンピュータです。現在のコンピュータが1ビットで0と1のどちらかを表し、その羅列によって情報が形成されるのに対し、0と1の重ね合わせを利用する量子ビットによって、情報の集積高密度化を実現することができます。ただし、この重ね合わせという量子現象は、ちょっとした熱揺らぎでも壊れてしまうため、量子状態を壊れにくくするための工夫をした上でマイナス273 度(絶対温度で0.1 度)という超低温の下で動かす必要があります。
数量子ビットであっても、回路と高周波配線を超低温まで冷やし、その環境を維持するために巨大な装置を使い大きな電力を消費しています。実用になる大規模回路の構成のためには、巨大な空間、超大電力、大量の希少物質であるヘリウム3を必要とし、とても現実的とは言えません。
これが低温問題で、量子情報処理において極めて深刻になっています。これにブレイクスルーをもたらすのが、間違いなく物質科学です。より高い温度で、将来的には室温でも量子状態が壊れない物質が開発されれば、低温問題は解消され、量子コンピュータが身近なものとなるでしょう。
1999年、NEC(当時)の中村氏(現東大-理研)がNature誌に量子ビットを作成し動作確認したことを発表しました。これが世界で初めて量子コンピュータの原理の実証です。2量子ビットの量子絡み合いまではNECが先行していましたが、その後は米国IBM、スウェーデン、フィンランドなどの北欧勢の独壇場となりました。
これが更に加速したのが2011年、東工大の西森氏が提唱した量子コンピュータモデルを中村氏の技術を応用して実現したものを、カナダのD-Wave社の発売した量子コンピュータです。これをGoogleとNASAが購入し、巨額の資金を投入して研究を開始しました。先行していたIBMも負けじと投資し、量子ビット数の競争が激化しました。近年では中国が急速に伸び始め、2019年にはGoogleに追いついたとされています。
量子コンピュータの提唱から原理の実証まではトップを走っていたはずの日本ですが、海外の巨額の投資に押され、今や大きく遅れをとっている状態です。その結果、出願された特許数にも反映されています。
日本でも、Q-Leapやムーンショットなどの資金が付き、追いかけ始めています。周回遅れの状態から起死回生するには、物質科学からおこすパラダイムシフトが必須です。
2024年02月09日(金)
2023年は実質的に量子物質ナノ構造ラボの活動1年目であり、実験室の整備を進めながら物性研究所内外からの利用を支援しました。スタッフによる30回以上の装置利用講習、所内4部門9研究室から300回以上の利用、所外ユーザーによる8件の共同利用申請があり、装置の総利用時間は1,500時間以上に達しました。活動初年度にもかかわらずこのように大きな実績が得られたことは、本ラボに対する関係各所からのニーズが極めて高いことを示しています。支援内容としては、ナノ加工の要である電子線リソグラフィー装置の利用が150回と最多であり、イオンビームスパッタ装置の利用も多くありました。2024年以降も、全国の研究者に高度な物質加工・測定技術をさらに利便性よく提供できるよう、一層努力してまいります。
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
宗教的領域とされている超能力分野も判りだすかも知れませんね。
稲盛和夫や大谷翔平の精神的バックボーンと言われる中村天風も。
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
7G、8G、9G、10G以降も、日本が世界一、世界No.1へ。
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>
<量子物質ナノ構造ラボ(Qナノラボ)>