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「福島県双葉郡楢葉町復興支援プロジェクト」活動報告
(東日本大震災救援・復興支援プロジェクト)

「お米の放射線測定器の研究開発 -これからの大学としての復興支援のかたち-」

 アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授を中心とした「福島県双葉郡楢葉町復興支援プロジェクト」のチームは、東日本大震災に伴う原発事故が発生した約2ヵ月後の2011年5月から福島県の放射線災害地域に対する支援を行ってきました。現在は、楢葉町にて「復興推進アドバイザー」として、様々な除染の支援に取り組んでおります。活動の詳細は、東京大学先端科学技術研究センター システム生物医学ラボラトリー(以下、LSBM)ウェブページ内の「放射線災害地域に対する支援」ページでご覧いただけます。

児玉先生 楢葉町小学校
写真左:児玉龍彦教授。写真右:2012年1月、楢葉町の小学校での線量調査の様子。

 児玉教授「私たちが被災地に最初に入るときにまず苦労をしたことは、現地の住民の方から東京大学という組織に対して不信感を持たれていたことです。そこで、私たちの活動を理解していただくために次の4つの原則に基づいて活動を行うことが一番大切なことでした。1つ目は、「事実を事実としてきちんと言う」こと。2つ目は、「実際の当事者にわかるように伝える」こと。3つ目は、「結果を押し付けない、強制しない」こと。4つ目は、「最終的には当事者の判断を尊重して、それを応援する」こと。このようにして活動をしていくうちに、だんだんと私たちが「住民の味方である」と理解されてきて、色々な市町村から正式に支援の要請をいただくようになりました。」

 児玉教授のチームが現在行っている活動の一つとして、汚染米の出た農地の農地改良、土壌改良が挙げられます。この活動の成果の一例として、2012年に民間企業と本学との協力のもと開発された米の放射線量検査機があります。このとき開発された検査機は、従来の400倍早く放射線量の測定ができ、かつ米袋に詰めたままベルトコンベア式に測定が可能というものです。

児玉教授「開発当初は、国の審議会では「400倍も早い検査機の開発は不可能」といった意見が主流で、また、「流れ作業での測定は無理では?」といった懐疑的な意見も多い状況でした。しかし2012年3月に、福島県下の汚染が強い環境の中でもこの検査機が正常に稼動することが実証されると、ようやく国から補助金が出て、インターネットでもその実績が認められてきたりしており、今では約100台の検査機が実際に福島で使用されています。
 東京で見ていて議論を行っているだけでは、わからないことがたくさんあります。つまり、現地に真実があると私は思います。だから現地に入ってみないと真実はわからない。」

二本松水田 
写真左:二本松市内の水田の線量調査の様子。写真右:「東京大学が、現地が持っている力を最大限に引き出すことが大切」と児玉教授。

 また、児玉教授が委員長を務める楢葉町除染検証委員会は、『子どもが胸を張れる楢葉町の復興のために』という、除染活動や環境回復に対する取組方針の提言を行いました。現地が抱えている問題が震災直後と3年経った今では変わってきているため、直接現地に入って支援活動を行うことから、このように長期的な復興の方針を打ち立てる支援へと徐々に移行しているということです。

児玉教授「私たちが東京大学の支援として行っているのは、コーディネーター役、つまり国と企業とが両方できないところを結び付けていく役割なのです。国は「ジャッジ」で企業が「プレーヤー」だとすると、間に大学という「コーディネーター」がいて、住民と国をつなぐ、住民と企業をつなぐ。行政活動や経済活動が、住民や被害者などにプラスになるようにコーディネートすることに大学の知恵が必要となるのです。そして、これは21世紀の大学の在り方でもあります。」

 児玉教授のチームは現在、魚の検査機の開発、農地の除染、廃棄物のリサイクル化、バイオマス発電・森林除染などの活動の支援に取り組んでいます。このような大学の活動を推進する上で、大学独自の財源である東大基金へのご支援が大きな力となります。ご支援いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

※肩書きはすべて活動報告当時のものです。

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