アカデミアにおいて女性研究者の活躍の機会が失われていることはよく指摘される事実ですが、とりわけ理工系女性研究者にその傾向が顕著です。ダイバーシティを実現するにはまずはマイノリティーから脱却する必要があります。いわゆる〝黄金の3割〟という数字です。とりわけ少ない数学・物理学・天文学等の領域(理学)における女性研究者の活躍の幅を広げていくために、皆様のご支援をよろしくお願いします。
現在に至るまで、世界トップレベル研究拠点(WPI)のKavli IPMUでは、学生・院生を含む女性研究者が安心して研究に取り組めるよう、女性研究者のビジタープログラム、学部学生のインターンシップ支援、意識改革関連研修、さらには子どものケア支援など女性研究者活躍の推進を包括的に行うなど、日本では先駆的な女性研究者への支援を行ってきました。
そして新たにその推進の中心となる活動として、女性研究者の採用と十分な研究資金をサポートすることを目的とした、呉健雄栄誉ポスドク・フェローシップ(通称:ウー・フェローシップ)を設立しました。
ウー・フェローシップは、日本では極めて少ない物理や数学の女性研究者を雇用する奨学金制度です。名称にもなっている呉健雄博士は、世界的にも先駆的な女性の物理学者であり、物理分野で活躍する女性研究者のロールモデルになると考え名称に入れました。
世界の潮流である女性研究者活躍推進を、その機会損失の傾向がもっとも顕著である数学・物理分野から強力に後押しし、世界へ発信していきます。
皆さまから寄せられた温かいご支援は、ウー栄誉ポスドク・フェローシップとして女性研究者を雇用し、研究活動を支援するために大切に遣わせていただきます。
●ウー・フェローシップポスドクの採用と研究支援
国際公募により、世界中からKavli IPMUが目指す宇宙の謎を解明する研究に携わる女性研究者を募り、本研究機構で雇用します。3年間、研究に専念し十分な成果が得られるよう、研究費の支援もいたします。
ハーバード大・ベンジャミンピアースフェローからKavli IPMUへ初代ウーポスドクとして採用。
専門は数学。表現論とミラー対称性に関する研究を行なっている。
このプログラムが大きく躍進することで、世界中の女性研究者にその存在が知れ渡り、Kavli IPMU発の小さな、しかし強靭な光が世界を駆け巡ります。ともすれば、世界のあちこちで、諦めかけていた女性研究者への夢が実現するきっかけになると信じています。このウー栄誉ポスドクフェローシップへの皆様のご寄付は、そうした可能性を持つ若い女性研究者を力強く支えます。
日本における女性研究者が非常に限られた数であることは、想像に難くないでしょう。その背景には、研究者として男性と対等な環境が整っていないという社会的な要因があります。ここでいう社会的要因とは、女性に対する性役割を無意識のうちに期待してしまうことや、その性役割が当たり前であるという認識そのものをさします。
本フェローシップは、女性研究者のよりよい研究活動の環境をフェローシップ制度をもって生み出したいという願いのもと設置されています。
先に述べられているように、これほどに充実した制度を持つフェローシップは先駆的な制度であり、この制度をもって数理物理研究における女性研究者が輝ける場を東京大学で育んで行けると信じています。
みなさまのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
(20代女性スタッフ)
2024年02月08日(木)
初代の呉健雄ポスドクMan Wai Cheungさんの数学者としての活躍を、Kavli IPMUにおける女性研究者パネル展示で紹介しました。来訪する多くの研究者の目に留まっています。同氏はシンポジウムなどで研究成果発表を行いました。今年もこのポスドクポジションを目指し、多くの若手女性研究者が世界中から応募しています。
<KAVLI IPMUが放つ国際的ダイバーシティ推進基金>