サンマやイカの減少、見たことのないゲリラ豪雨、毎年更新される最高気温…。我々の住む地球は、これまでの人間活動によって急激に変化しています。これらの問題に科学的に立ち向かうため、世界中の研究者が知恵をあわせて、大気と海洋、その相互作用を研究しています。
地球と人類の持続可能性に向けて、現在海や生物がどうなっているのか、今後どうなってしまうのか、これから私たちは何をすべきなのか、を明らかにするのが、大気海洋科学の使命です。この使命をはたすためには、科学イノベーションを生み出し、問題解決を担う若い世代が育つような、世界レベルの研究環境を維持しなければなりません。
地球上のすべての生き物にとって大切な、かけがえのない「うみ」と「そら」を守り継ぐため、このたび「うみそら基金」を立ち上げました。私たちの研究教育活動の仲間になっていただけませんか?
大気海洋研究所
所長 兵藤 晋
大気海洋研究所の大きな特色はまず第一に全世界にまたがる研究航海です。
学術研究船「白鳳丸」「新青丸」および深海潜水調査船支援母船「よこすか」に多くの学生や研究者が乗船し、船上生活を通じた教育・訓練・研究を行っています。そして、陸上では、加速器質量分析装置、顕微鏡施設、海洋生物飼育実験施設、大型計算機など、世界でも最先端の機器を活用し、内外の研究者とも連携して研究しています。
第二に、地域との密接なつながりです。2011年の東日本大震災で壊滅的な被害を被った三陸沿岸地域では、地域振興研究教育プロジェクト「海と希望の学校 in 三陸」を実施し、大きな成果を上げています。その成果を亜熱帯域にも発展させるため、奄美大島に研究拠点準備室を設立し教員を配置しています。
第三に、大気海洋研究所の創造性の原点である多様性と包摂性(D&I)です。教員の採用はすべて公募により行い、8割以上の教員は東京大学以外の組織から採用されています。また、女性教員比率向上のための職場の環境整備や海外の卓越した研究者を招聘、雇用する制度を推進しています。
2030年までの研究指針として、3つのグランドチャレンジ(GC)を掲げています。各研究領域の基盤となる学問分野の理解深化を図りながら、研究領域の融合に重点を置いた先端的研究を展開します。
GC1 地球システムの成り立ちと変動
変化し続ける地球環境システムを理解し予測するために、そのサブシステムである大気、海洋、生態系における水、物質、エネルギーの循環を定量的に把握し、その幅広い時空間スケールにわたる変動メカニズムを理解します。このために、船舶、地上、衛星から各種観測を実施、解析するとともに、その観測的知見を地球システムの各種数値モデルに統合します。
GC2 生命と環境の相互作用
地球環境への海洋生物の適応進化、環境変動が生態系や生物多様性に与える影響、海洋生物および生態系が環境にもたらすフィードバックを明らかにするために、沿岸、外洋、その移行帯域を対象として、海洋ゲノム解析や、生物に関するさまざまな情報、生態系モデリングなどを活用し、海洋生態系を包括的に理解します。
GC3 人類と自然の共生
最新の観測・分析とモデルとの双方向アプローチにより、人新世における大気海洋生態システムの変化を解明し、人類と生命圏の存続に関わるグローバルな諸問題の将来予測に資するとともに、様々なジオハザードをもたらす大気海洋の諸現象のプロセスを統合的に解明します。沿岸地域社会と連携した先進的研究を展開し、防災や持続的資源利用に貢献します。
大気海洋研究所が取り組む地球規模の複雑な問題の理解と解決は、単一の学問分野の知見だけでは不可能であり、物理学・化学・地学・生物学・社会科学等による学際的かつ国際的な取り組みが必要です。これらの知見を身に付けた人材を育成し、研究・イノベーションを推進し、国際貢献を通じて日本の海洋立国・環境立国としての地位と信頼を確立します。
1.学生支援
2.研究推進とイノベーション創出
3.研究所環境の維持・整備
*画像はNASAおよび大気海洋研究所のホームページとインスタグラムのコンテンツから適宜転載許可を得た上で二次利用しているものを含みます。
<大気海洋研究所うみそら基金>
<大気海洋研究所うみそら基金>
健康診断のような様々な項目別の状態がダッシュボードで見られるようになればいいですね。
<大気海洋研究所うみそら基金>