子どもの育ちを支えるより良い環境とは何か。
養育・保育の質向上を実現するために、総合的な研究を推進します。
発達保育実践政策学センター(Cedep, セデップ)は、乳幼児の発達や保育・幼児教育の実践、そのための政策に係る研究を推進する「発達保育実践政策学」という新たな統合学術分野の確立をめざして、2015年7月1日に設立されました。子ども子育てに関わる課題は、多岐に渡っています。東京大学内の研究者はもとより国内外の研究者や研究機関、子育てや保育・教育を実践している方々やその団体、実践のための制度に関わる国や自治体と連携し、子ども子育ての課題を協創探究し、解決の道筋を国際的に発信することを目的とした研究拠点です。
多様性を活力とする協創
保育実践政策学
知の協創の世界拠点
少子高齢化は先進諸国が直面するグローバルな課題です。2019年10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、子育て支援の推進を後押ししています。 他方で、2020年からの新型コロナウィルスの感染拡大は日本と世界の子育てをめぐる環境にも大きな影響を与え、子どもの保育・教育をめぐる社会的環境や格差の問題への積極的なアプローチが強く求められています。この時期にこそ、私たちは、ヒトの発達メカニズムの解明をさらに進め、これからの社会を担う子どもたちの育ちにとってどのような生活環境や養育、保育、幼児教育が求められるのか、そのための専門家人材の育成や社会システムの構築、制度政策デザインを、4領域からなる当センターの学際的研究により明らかにしていきたいと考えています。
最新の学術的知見を保育界、教育界の 人びとと共有し、すべての子ども、保護者、保育者、市民の幸せを願い、社会を創造していく活動 の一端を担う所存です。
「あらゆる学問は、保育につながる」
総合大学である東京大学の知の多様性を生かし、皆様と共に、子どもと子どもにかかわる誰もが集い、語らう知の広場=アゴラになることを目指して参ります。これからも、当センターをどうぞ引き続きご支援くださいますよう、お願い申し上げます。
発達保育実践政策学センター(Cedep)が設立されてから4年が経ちました。当センターは「あらゆるすべての学問は保育につながる」をスローガンとし、子育て・保育、発達基礎、政策、人材育成の4つの領域で、先端的な研究に取り組んでおります。また、データ活用によるスマート化「子育て・保育現場におけるSociety5.0」を目指し、現場に応用するための研究も進めています。
私たちは、日本の次世代を担うだけでなく、「いま」「ここ」に生きる一市民である子どもたちの育ちの場に重きを置き、子育て・保育の質の保障と向上に関わる様々な課題の解決に向けて、中核的な役割を果たしていきたいと考えております。
2024年03月11日(月)
2018年5月、教育学研究科と渋谷区の間で「保育・教育・研究交流連携事業に関する協定」が締結されました。協定に基づく研究プロジェクトとして、レッジョ・インスパイアードの実践とその研究を行う「渋谷プロジェクト」が2021年度より開始されました。イタリアのレッジョ・エミリア市の乳幼児教育の哲学と実践は、子どもたちの質の高い学びを保障する教育として世界的に注目されています。その哲学においては子どもたちを「研究者」「探究者」として捉え、幼児学校や保育所で子どもたちが存分に研究・探究できるように環境を整えています。その哲学と実践に学びながら、2023年度も引き続き渋谷保育園で探究のプロジェクトを進めてきました。
https://www.cedep.p.u-tokyo.ac.jp/research/shibuya-project/
2023年度には、渋谷プロジェクトでの取り組みを基盤として、教育学研究科と東京都の「幼児教育・保育に関する協定」に基づく共同プロジェクトを開始しました。東京都内の4つの自治体とその自治体内の14の保育園・幼稚園に協力いただき、芸術や教育の専門家と協働して探究プロジェクトを行っています。
2022年08月22日(月)
東京大学教育学研究科発達保育実践政策学センター(Cedep)とSHIBUYA QWS Innovation 協議会、渋谷区、JIREAが主催する下記イベントを開催します。
本イベントには、大学院教育学研究科、Cedepから多くの先生方が登壇されます。また、場内で「光の探究」のプロジェクトの展示を行なっています。
“ 東京大学大学院教育学研究科と渋谷区は2018年5月に協定を結び、保育・教育の発展およびその研究の充実のために相互連携・協力を行なってきました。このイベントでは、その試みについてお知らせします。第Ⅰ部「アトリエからはじまる:子どもと探究する保育」では、協定園の区立渋谷保育園におけるレッジョ・インスパイアの探究活動の取り組みについて報告します。第Ⅱ部「保育の新時代:渋谷のまちと子どもたち」では、コミュニティ・自治体と子どもたち・保育の関係をテーマにクロストークを行います。
※新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては、オンライン配信のみとなる場合がございます。”
SHIBUYA QWSより引用
連携プロジェクト:渋谷プロジェクト
[日 時] 2022年8月28日(日)11:00~14:00
[会 場] スクランブルホール(SHIBUYA QWS内) /ZOOMウェビナーによるオンライン
[参加費] 無料
2019年12月20日(金)
子育て・保育研究領域
概要:
子どもの養育・保育環境の実態等を調査し、保育者・保護者支援に繋げるとともに、子育て・保育に関する政策形成に必要なエビデンスや専門的知識の提供を行なっています。主要な事業として、保育者や保護者対象の大規模質問紙調査を行いました。また、保育の質に関する理解を深めるため、海外で開発された保育の質評価スケールを翻訳出版するとともに、わが国ならではの保育の特徴を考慮し、日々の保育を振り返り対話するための研修ツールを開発しています。さらに、食・睡眠等の子どもの健康に関する記録と支援を目的としたアプリ開発、並びに、海外で開発された子どもの発達測定アプリの日本語版を作成しました。子どもの養育・保育環境の質向上を目指し、様々なアプローチから調査・交流・支援を行なっています。
発達基礎研究領域
概要:
ヒトがどのように発達するのかについての認識は、その時代の科学、哲学、社会の有様によって変わってきました。特に、急速に進んでいる現代の科学的な研究は、広い意味での生命現象の理解に大きな影響を及ぼしてきました。胚や胎児の段階から、身体や脳の形態はどのような原理で形成され、行動や意識や心の発現へと至るのでしょうか。発生や発達に見られるマクロな現象は、分子や細胞のミクロなレベルとどのように関連しているのでしょうか。乳幼児の身体や脳は、複雑な物理的・化学的・社会的環境のもとで、どのように発達するのでしょうか。言語の獲得や学習にはどのような機構があるのでしょうか。このように、ヒトの発達の原理については、まだ多くの未解明な点が残されています。ヒトの発達の研究は知の総力戦であり、あらゆる学問領域を巻き込むことで、発展すると期待されます。
政策研究領域
概要:
各分野の最新の成果に基づく政策研究の発展を図るとともに、政策形成・実施に資する実践的な知見の提示や政策提言、さらにはこれら政策の研究と実践を担う人材の育成を目指して活動を進めています。就学前教育の効果について諸外国では社会科学的な研究が進んでいますが、日本では保育・幼児教育政策を専門とする社会科学の研究者自体が非常に少ないのが現状です。政策領域では国内外の比較を含めた事例研究、自治体や保育所・幼稚園等へのパネル調査と分析、海外の政策研究者や研究機関との連携・交流などを進め、政策研究の国際拠点の形成と日本の保育・幼児教育政策へ貢献します。
人材育成領域
概要:
エビデンスに基づく子育て・保育の質向上を支える人材の育成、政策提言のできる若手研究者の育成を中心に、本テーマに関わる様々な人々が科学的知見を実践の場で活かすための支援を目的としています。
21世紀の現代にあって、あらゆる社会問題は複合的要因の下で存在し、その現実に対応できる人材が求められています。保育・教育の問題も多岐にわたり、自然科学、社会科学、人文科学の効果的な連携が不可欠です。人の能力向上を総合的に支える人材育成は、とくに学際的アプローチが必要とされます。当センターでは、「多様性・卓越性のある人材輩出」を掲げ、ヒトの発達・保育の質・保育政策に高度な専門性を持つ人材、子どもの立場に立って現場の問題を解決へ導くことのできる人材、さらに、異なる学問領域、保育現場、行政といった様々な層の活動を大局的に理解し、総合的判断ができる人材など、多彩な育成を図ります。現場の実情から国際的動向まで、幅広く視野を設定し、教材・教育プログラムの開発を進めてまいります。
研究成果を書籍化しました!
<子育て保育研究支援基金>
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