国際水産研究教育基金

—水産学×経済学で持続可能な水産業の実現へ—

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プロジェクト設置責任者

大学院農学生命科学研究科 農学国際専攻 准教授
阪井 裕太郎

今年度寄付総額
616,000円
今年度寄付件数
24件
現在の継続寄付会員人数
2人
累計寄付総額
616,000円

このプロジェクトに寄付をする

今年度目標金額
1,000,000円

東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

English

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画像をクリックして動画をご覧いただけます。

プロジェクトについて

当研究室では、経済学やデータサイエンスを用いて、漁業管理から消費者行動に至るまで広範な領域を包括的に研究対象とし、持続可能な水産業の実現に向けた具体的な解決策を模索しています。

世界的に水産資源の過剰漁獲が深刻な問題となっています。一見すると、この問題は漁獲量を制限すれば解決できるように思われるかもしれません。しかし、不用意に漁獲量を制限すると、漁業者間での先取り競争が激化してしまいます。競争が激化すると漁獲量の監視が困難となり、結果的に資源を守れない事態が生じる可能性もあります。持続可能な漁業を実現するためには、人々の行動を深く理解し、それに基づいた制度設計が求められます。当研究室では、フィールドワーク、経済理論、ビッグデータ解析を組み合わせて、有効な漁業管理システムの構築に取り組んでいます。

水産物消費に目を向けると、世界では水産物に対する需要が増大しているのに対し、我が国では長期にわたって魚離れが進んでいます。また、欧米では持続可能な漁業に由来する水産物に対するエコラベルに価格プレミアムがついているのに対し、我が国ではエコラベルの認知度も低く、価格プレミアムが付いているという報告もありません。これらの違いが何に起因するかはまだ解明されていません。当研究室では、インタビュー調査、アンケート調査、経済実験などを通して、消費者行動の解明に取り組んでいます。

当研究室の消費者研究において近年大きなテーマとなっているのは、水産物の鮮度の価値の解明や鮮度表示の効果測定です。我が国における魚離れの原因が「情報の非対称性(消費者が十分な情報を得られていない状況)」の悪化であるとのオリジナルの仮説に基づき、鮮度表示がこの問題を緩和できるのではないかと考えています。2024年には民間企業と提携して店舗での実証実験を行いました。

漁業の環境負荷を減らすことも重要な研究課題です。当研究室では、様々な漁業や漁網リサイクルの取り組みに関して※LCA分析を行い、環境負荷を低減する具体的な方法を探っています。また、スマート水産業の導入とその効果検証(船団間での情報共有、過去の操業データの記録と利用、定置網への魚探の設置等)にも取り組んでいます。これらの技術は、操業の効率化だけではなく漁業の環境負荷の低減につながり、持続可能な水産業の実現に寄与すると考えています。

※LCA(ライフサイクルアセスメント)分析とは、ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法である。

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まき網船団の航跡
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渋谷ヒカリエにおける刺身試食実験
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民間企業と提携した実店舗での鮮度表示販売実験

寄付の必要性

2018年の漁業法改正を契機に、日本政府は水産業を再び成長産業として位置づけ、その発展を目指しています。この重要な変革期において、日本の水産業が持続可能な形で発展し、国際的な競争力を持つためには、今こそ最先端の研究と教育体制を整える必要があります。私たちの研究室では、経済学やデータサイエンスを駆使し、漁業管理や消費者行動に関する革新的な解決策を提案し、日本の水産業が直面する課題に取り組んでいます。しかし、これを達成するには十分な研究資金と人的リソースが必要です。

■日本の水産業の未来を支える若手研究者の育成
特に、若手研究者の育成は急務です。日本国内で水産経済学を専門とする若手は数少なく、彼ら・彼女らの育成を通じて日本の水産業の未来を支える人材を確保することが求められます。優秀なポスドクを雇用するためには、少なくとも年間600万円以上の予算が必要ですが、その規模の資金を確保するためには大型の科研費を獲得しなければなりません。しかし、科研費の競争は非常に厳しく、安定した資金を確保することは容易ではありません。そのため、安定的かつ持続的に研究を進めるための寄付が重要な役割を果たします。

■国際的な研究活動への取り組み、研究連携の強化
国際的な研究活動にも積極的に取り組む必要があります。欧米での国際学会に参加するためには、学会参加費・渡航費・宿泊費で1回につき1人当たり40-50万円程度が必要になります。世界レベルの研究を行うためには、海外での学会に継続的に参加し、最先端の研究に触れるとともに、最先端の研究者とのネットワークを築くことが不可欠です。しかし、限られた資金ではこれらの費用を捻出することが難しく、十分な対応ができていないのが現状です。寄付により、これらの活動を積極的に推進し、国際的な研究連携を強化することが可能になります。

■幅広い産業を視野に入れた総合的な海の利用を目指して
さらに、今後は研究対象の幅を広げていく必要があります。例えば、沿岸漁業の生産性を高めるためには、川の上流で行われる農業や林業との連携が実は重要だと言われていますが、この点は未だに十分に解明されていません。また、海を利用するのは漁業だけではありません。観光業、海運業、洋上風力発電、さらには海底資源の開発など、海には様々な産業が関わっています。海洋国家としては、漁業を中心にしつつ、これらの産業も視野に入れた総合的な海の利用を考えていくことが求められます。こうした包括的な視点から研究を展開していくためには、それを支えるための資金が必要です。

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長崎県における旋網漁業者へのヒアリング

いただいたご支援の使途

ご寄付により、当研究室では日本の水産業の未来を切り拓くためのさまざまな取り組みを進めています。具体的には、以下の活動を展開し、持続可能な水産業の実現に向けた具体的な解決策を模索しています。

・若手研究者の育成
ポスドクや大学院生の支援を通じて、次世代の研究者を育てる取り組みを行っています。

・グローバルな研究活動の推進
海外での学会参加や国際共同研究を推進し、グローバルな視点での研究を強化しています。

・フィールドワークを通じた現場調査の強化
現場での調査を通じて、実践的なデータ収集と分析を行い、研究の信頼性を高めています。

・研究対象の幅を広げる新たな取り組み
農業や林業との連携、他の海洋産業との協働など、総合的な視点からの研究を展開しています。

これらの取り組みを通じて、日本の水産業が再び成長産業として世界に誇れる存在となるための基盤を築いています。

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世界のトップ漁業経済学者が集う北米漁業経済学会(NAAFE)

ご支援のお願い

ご寄付により、当研究室の活動が充実・加速することで、長期的にいくつかの重要な成果が期待されます。

まず、日本の水産業が成長産業として再び確立されることが期待されます。当研究室では、漁業管理と消費者行動の両分野を総合的に研究し、持続可能で高収益な水産業の実現を目指しています。この包括的なアプローチにより、業界全体の成長が促進され、企業にとっても安定的かつ持続的な供給基盤が強化されることが期待されます。日本の水産業が国際的な競争力を持つ基盤が築かれ、関連企業にとっても新たなビジネスチャンスが広がることが期待されます。

次に、当研究室が世界における研究教育の拠点として確立されることが期待されます。水産経済学や社会科学の最高峰の講義・指導を提供する場として発展し、業界にとっても重要な人材供給源となります。若手研究員の雇用が確保され、博士課程に進学する学生が増加することで、企業が求める高度な専門知識を持つ人材が育成され、業界全体の競争力が向上することが期待されます。

さらに、持続可能で豊かな海産物が次世代に引き継がれる未来が期待されます。サンマやスルメイカなど、現在不漁となっている魚種が再び豊富に供給され、地域ごとの豊かな食文化が守られるとともに、多くの人々が美味しい魚を適正な価格で楽しめる社会を目指します。これにより、地域の基幹産業として漁業が維持され、地域コミュニティの活力が保たれます。地域経済の安定とともに、消費者にとっても豊かな食生活が保証されることが期待されます。

皆様のご支援が未来の水産業と地域社会に持続可能な発展をもたらす力となります。温かいご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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石川県における定置網漁業のフィールド調査

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2024年活動報告
-躍進の一年-

2025年02月21日(金)

はじめに

2024年も、多くの皆様のご支援に支えられ、研究活動を大きく前進させることができました。特に、消費者研究、漁業管理研究、LCA研究の各分野で目覚ましい進展がありました。本報告では、この1年間の主要な活動と成果についてご紹介します。

消費者研究
2024年にはカーボンフットプリント(CFP)ラベルに関する大きな実験を2つと、鮮度表示に関する実証実験を1つ行うことができました。いずれも当研究始まって以来の規模や試みであり、大きな躍進であったと言えます。

CFPトラベルの価値

水産業の強みの一つとして、一般的に畜産業に比べてCO2排出量が少ないことが挙げられます。従って、CO2排出量・削減量の見える化は、水産物に対する消費者の需要を高められる可能性を秘めています。

このような背景から、2024年1月、約8,000人の参加者を対象にオンライン選択実験を実施しました。本実験では、CFPラベルのデザイン、位置、表示形式が消費者の支払意思額に与える影響を検証しました。この規模の実験は当研究室としては初であり、また先行研究でも多くはありません。この成果は2024年3月の日本水産学会で報告済みであり、本年中に出版予定です。

さらに2024年3月には約240人の参加者を募って対面でのリアル選択実験を行いました(写真1)。リアル選択実験は、参加者に実際に選んだものを購入してもらうという実験デザインであり、信頼性の高い結果が得られるものです。この実験ノウハウを有している研究室は日本全体でも数えるほどしかなく、水産分野では当研究室が日本で唯一となっています。この手法を用いて、CFPラベルに対する支払い意思額がどうすれば高まるのかについて、様々な介入の効果を検証しました。この結果は、本年3月の北米漁業経済学会にて報告予定です。

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写真1 リアル選択実験の様子

鮮度表示と魚食の拡大

鮮度表示によって水産物消費が拡大するのではないかというのは、当研究室で掲げているオリジナルの仮説の1つです。鮮度を表示することで、品質に関する当たりハズレを減らすことが重要ではないかという予測です。この仮説を検証するために、2024年3-6月にマックスバリュ東海株式会社との店頭販売実験が実現しました(写真2)。民間企業との実証実験は当研究室初の試みです。当研究室の学術的な知見が現実世界からも注目され始めています。

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写真2 鮮度販売実証実験の様子

漁業管理研究

水産資源を持続的に利用するためには、適切な管理が必要です。魚種数や漁業者数が非常に多い我が国において、どのような管理が最も有効なのかは未解明の課題です。2024年は、これまでの調査地域に加えて、新たに福岡県、石川県、福井県などでフィールド調査を行いました。当研究室の強みはデータ分析ですが、適切な分析を行うためには綿密な現地調査が必要不可欠です。

2024年6月には、研究室メンバー7名が石川県を訪問し、実際に船に乗って定置網漁の様子を視察しました(写真3)。調査では、クロマグロが大量に漁獲される様子を確認しました。定置網は我が国の主要な漁業種類の1つです。海に固定した網に入った多種多様な魚を獲る受動的な漁法であるため、魚種ごとの漁獲量制限(これが政府の推進している管理)との相性が極めて悪いです。当研究室では定置網の適切な管理を世界に先駆けて研究しています。

2024年9月には福岡県と長崎県の中型まき網漁業のフィールド調査を行いました(写真4)。まき網は我が国の中核的な漁法です。この漁法は複数の船で協力して漁獲を行う船団方式です。船団内での情報共有を円滑にすることが操業の効率化の鍵であると考えられ、それを可能にするのがライトハウス株式会社のISANAです。同社との共同研究により、この機器の効果検証を進めています。

2024年12月には福井県の底曳網漁業のフィールド調査に行きました(写真5)。日本海の底曳網漁業管理は我が国の漁業管理の成功事例とされています。ここをフィールドとすることで、我が国の地理的文化的背景を踏まえた有効な漁業管理のあり方が見えると考えています。福井県立大学や福井県水産試験場と連携し、2025年度から本格的な研究を始める計画です。

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写真3 定置網漁業
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写真4 まき網漁業
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写真5 底曳網漁業

LCA研究

人間の経済活動に伴う環境負荷の大きさを測定するのがライフサイクルアセスメント(LCA)です。LCAにより、環境負荷を見える化したり、環境負荷が特に大きい活動を特定して対策を検討したりすることができます。2024年に当研究室は、業界団体との共同研究で新たに真珠養殖漁具のリサイクルに関するLCAを開始しました(写真6)。環境負荷を減らしていくことはあらゆる業界で求められており、水産業界も例外ではありません。当研究室では、学術的な研究だけではなく、業界のニーズに直接答えられるプロジェクトを積極的に展開しています。

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写真6 真珠養殖の視察

国際展開

国際学会に参加することには3つのメリットがあります。自身の研究にフィードバックを得られること、最先端の研究に触れられること、一流研究者とのネットワークを作れること、です。2024年は皆様のご支援に支えられ、多くの学生が国際学会に参加することができました。

2024年6月3-7日には横浜で、PICES/ICESが主催する海洋社会生態システム(Marine Socio-Ecological Systems; MSEAS)シンポジウムが開催されました。当研究室からは私を含めて5名が参加しました(写真7)。

2024年7月15-19日にはマレーシアのペナン島において世界水産経済学会(The International Institute of Fisheries Economics & Trade; IIFET)が開催されました。当研究室とその共同研究者総勢6名のメンバーが発表しました(写真8)。

2024年9月9-12日にはイギリスのゲーツヘッドにおいてICESの2024年大会が開かれました。当研究室からは学生2名が参加しました(写真9)。

この他にも、日本水産学会や環境経済・政策学会などの国内学会にも精力的に参加した1年でした。世界と戦える研究を続けていくためには、このように積極的に学会に参加していくことが必要不可欠と考えています。

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写真7 MSEAS
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写真8 IIFET
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写真9 ICES

まとめ

2024年は、オンライン・リアル選択実験を含む大規模な調査、企業との共同研究、新たなフィールドワーク、国際学会での発表など、多方面にわたる活動を展開した躍進の年でした。これもひとえに、皆様の温かいご支援のおかげです。

2025年も、さらなる研究の発展と社会実装を目指し、引き続き尽力してまいります。今後ともご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

石川県に定置網の調査に行ってきました

2024年11月25日(月)

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定置網乗船見学にて

初めまして、修士1年の魚谷和史です。学部では水産物における消費者行動の研究、修士では定置網漁業の研究に取り組んでいます。

このプロジェクトにおける初めての活動報告ということで、ある種の緊張感を持ちながら活動報告を書いています。第一回の活動報告として、今回は先日石川県での現地調査に行った話についてご紹介させていただこうと思います。私たちの研究室では、この事例のほかにも漁業に関する研究を行っていますが、どの研究でも今回のように現地でのヒアリング調査を行っています。私たちの研究は手法としては統計学をベースにすることが多く、魚種ごとの漁獲量や金額などのデータをパソコン上で分析しさえすれば、数字を分析した結果自体は出すことができます。それなのに、今回のような現地調査を毎回行っているのはなぜなのでしょうか。この研究室の特徴でもある現地調査が私たちの研究にどのように役立っているかについて、先日の石川県での現地調査を取り上げてお話させてもらおうと思います。

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今回乗船した漁船(撮影:魚谷)

まず今回の研究について説明します。今回の研究では、クロマグロの小型魚の漁獲枠(=1年間でクロマグロの小型魚を取ってもいい量)が増えると、定置網漁業を行う漁業者はクロマグロをわざわざ逃す必要がなくなり、負担が減るのではないか?ということの検証を行おうとしています。この背景には、近年クロマグロは資源回復を目指して、国際合意に基づき漁獲枠の管理を厳しく行っているという現状があります。

日本では日本全体として割り振られた漁獲枠を、水産庁が各漁業者に割り振っています。そのため、漁業者は1年間で自分に割り振られた漁獲枠を超えないようにクロマグロを獲る量をコントロールしています。しかし、その中でも定置網漁業は「獲らないようにする」ことが難しい漁業です。なぜなら、定置網漁業は魚を狙って追いかけるのではなく、固定された網に自然に入ってきた魚を獲る漁業だからです。そのため、定置網漁業ではクロマグロの小型魚が網に入っていた場合、他の魚を獲る前にクロマグロの小型魚を逃がすということをしています。漁獲枠があることで定置網漁業者はクロマグロを逃がすという作業が必要になるため、この漁獲枠が多くなれば定置網漁業者の負担が少なくなるのではないか、というのが今回の研究のポイントです。

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定置網漁業の概略図(引用:ホクモウ株式会社)

この研究に際して現地調査が必要になる理由は、データや分析の結果を正しく理解するためです。例えば今回の事例では、クロマグロの放流をいつ、どのように行ったという記録をデータとして扱います。一見するとこのデータさえ見れば、分析ができるようにも思われますが、実際はそうではありません。例えば、クロマグロの小型魚は獲ることを禁止されているわけではないので、獲るか放流するかはどう判断しているのでしょうか。また放流する場合にも、具体的にはどのような作業をして、どれほどの負担になるのでしょうか。また、放流することで他の魚が逃げたりすることはあるのでしょうか。このように、データを見ているだけではわからないことはいくつもあり、それらを「多分こうだろう」という憶測で決めつけて分析を行うと、現実から離れた結果が出てきてしまいます。そのため、現地調査が必要になってくるのです。今回は11月14日から15日の1泊2日で能登島の漁師さんにヒアリング調査を行い、定置網漁業の船にも実際に乗船して漁獲の様子を見学させていただきました。石川県の定置網漁業は出船が早く、1:30に出船しました。現地調査の内容は現在進行形で取りまとめているところなので、調査の内容については次の報告で詳しく紹介させていただこうと思います。

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ヒアリング先にて

このような現地調査により、私たちは漁業の現場を正しく理解でき、研究の信頼性を上げることができています。私たちの研究室では石川県の他にも多くの地域の漁業についての研究を行っており、今後も質の高い研究を継続的に行っていくには皆様のお力添えが必要です。何卒よろしくお願いします。

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寄付目的・支援先を指定できます
お名前 日付 金額 コメント
******** 2024年12月21日 100,000円 食料問題は、これから世界的な大問題になると思います。本研究がその問題に資する研究の一助となることを期待しています。
<国際水産研究教育基金>
OGAWA Takeshi 2024年10月29日 1,000円 非常に大事な取り組みとは存じます。些少ですみませんが。
<国際水産研究教育基金>
千田 良仁 2024年10月28日 50,000円 国際水産経済学分野での若手の育成は急務です。この取り組みを応援します。
<国際水産研究教育基金>
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プロジェクト設置責任者

大学院農学生命科学研究科 農学国際専攻
准教授
阪井 裕太郎

今年度寄付総額
616,000円
今年度寄付件数
24件
現在の継続寄付会員人数
2人
累計寄付総額
616,000円

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今年度目標金額
1,000,000円

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ご寄付の謝意・記念品

「東京大学基金」の謝意・記念品が適用されます。

このプロジェクトの謝意・記念品

ご寄付くださった全ての皆様

年1回(3月配信予定)のメールマガジンにて、研究室の活動報告や講演会等の告知を致します。

※一括10万円以上のご寄付の場合はフォームにて、「支援プロジェクト」を選択した後に、「ご支援先の内容を記入する。」チェックボックスにチェックをしていただきますと表示される「その他」欄にご希望の記念品をご入力お願いします。
【お申込み画面】.png

一括5万円以上のご寄付

上記に加え、寄付者様限定のオンライン交流会(3月に開催予定)にご招待いたします。最先端の研究成果から、普段は見えない研究の舞台裏まで、皆様の疑問にお答えしていきます。

一括10万円以上のご寄付

上記に加え、研究で関わった地域や漁業者さんの持続可能(※)な下記水産物・水産加工品の中から、当研究室おすすめのものをお一つお選びいただけます。持続可能な水産業を実現するための研究教育の応援をしながら、持続可能な水産物を作っている漁業者さんを応援できます。在庫があれば、寄付をいただいてから1か月以内に発送致します。

※持続可能かどうかは第三者認証もしくは当研究室の判断によるものとします。

①アジフライの聖地 松浦のアジフライセット(8枚入×2パック)※冷凍品
研究室コメント:「水産資源の持続性と環境に配慮している事業者を認証」するMarine Ecolabel Japan認証を取得したアジを主に使用しています。2024年東京大学五月祭において当研究室が販売し、初登場で食品部門3位に輝いた味を是非お試しください。

②第1昭福丸が漁獲した天然本まぐろ赤身(180グラム前後)※冷凍品
研究室コメント:「水産資源や環境に配慮し、適切に管理された持続可能な漁業に関する認証」であるMarine Stewardship Council認証を取得しています。2023年にエコラベルに関する経済実験で利用させていただきました。

③第1昭福丸が漁獲した天然本まぐろ中トロ(180グラム前後)※冷凍品
研究室コメント:「水産資源や環境に配慮し、適切に管理された持続可能な漁業に関する認証」であるMarine Stewardship Council認証を取得しています。2023年にエコラベルに関する経済実験で利用させていただきました。

寄付をする

一括100万円以上のご寄付

上記に加え、当研究室メンバーの解説付きで、静岡県で定置網乗船ツアー(1泊2日)にご案内します(希望者のみ)。

・夕方: 現地集合、夕食
・夜: 軽く睡眠
・早朝: 3時頃出港
・午前: 5時頃帰港、8時解散予定
詳細については、お問い合わせください。

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