動物たちの言葉がわかる世界。誰もが一度は夢みたことがあるのではないでしょうか?
本プロジェクトでは、野生動物やペットたちが鳴き声やしぐさを使ってどのような会話をしているのか科学的に解き明かし、動物たちの言葉がわかる未来の実現をめざします。
動物たちの会話を描いた物語は世界中にたくさんあります。しかし、現実世界の動物たちが鳴き声やしぐさによって何を伝えているのかは、今でも大きな謎に包まれています。「言葉を持つのは人間だけ」という先入観が、動物の言葉の研究を大きく遅らせてきたのです。
この状況を踏まえ、2023年4月、「動物言語学(Animal Linguistics)」という新しい学問分野を東京大学に立ち上げました。動物行動学や認知科学、言語学の知を融合し、動物たちの言葉の力を探究する世界初の学問です。本プロジェクトでは、哺乳類や鳥類、両生類など、さまざまな動物たちを対象に言葉の力を解き明かし、動物言語学を世界に向けて発信します。
多くのメディアに取り上げていただいたおかげもあり、現在、動物言語学への社会の関心は高まりつつあります。しかし、生まれたばかりの新しい学問分野を、長期的な視野のもと支援する研究費はほとんどありません。動物言語学を世界的に確立し、新たな歴史を創り上げていくためには、みなさまのご支援が必要です。
動物たちの言葉のわかる未来の実現に向けて、皆様のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
言葉を持つ鳥、シジュウカラ。動物言語学創設のきっかけとなった野鳥。研究内容は中学校の国語の教科書にも掲載されています。
古代ギリシア時代から「言葉を持つのは人間だけだ」と信じられてきました。動物たちの鳴き声やしぐさは、単なる感情の表れであり、具体的な意味は持たないと考えられてきたのです。しかし、この常識を打ち破る革新的な発見がありました。15年以上におよぶ野外研究の結果、野鳥のシジュウカラが単語や文を操って会話していることが明らかになったのです。
例えば、シジュウカラには天敵の種類を伝える単語があります。ヘビをみつけると「ジャージャー」と聞こえる特別な声をだし、この声を聞いた周りのシジュウカラたちはあたかもヘビを探すかのように地面を見下ろします。一方、空にタカをみつけると「ヒヒヒ!」と鳴きます。この声を聞くと、タカに襲われないように藪に逃げたり、空を見上げたりします。
それだけではありません。シジュウカラは、鳴き声を組み合わせて文章を作ることもできるのです。例えば、「ピーツピ・ヂヂヂ」は「警戒して・集まれ」という2語文です。組み合わせにはルールがあり、それに反すると正しく意味が伝わらないこともわかってきました。つまり、文法まであるのです。
ヘビを示す「ジャージャー」という声に地面を探すシジュウカラ(左)。タカを示す「ヒヒヒ」には上空を警戒する(右)。
シジュウカラにみつかった人間の言葉との共通点。この発見は、言葉を持つのは人間だけではなく、動物たちにもかれらなりの言語がある可能性を示しています。動物たちは私たちが想像するよりもずっと豊かな思考のなかでこの地球に生きているのかもしれません。
動物たちが何を考え、何を話しているのかを解き明かす本プロジェクトが、人間と動物が真の意味で共生できる未来への架け橋となれば幸いです。
身近な野鳥が奏でる美しく多様な鳴き声。一体どんな意味を伝えているのでしょうか?
動物言語学プロジェクトで最も大切にしていることは、動物たちの暮らしに密着し、かれらの言葉(鳴き声やしぐさ)の意味を解き明かす姿勢です。動物たちの言葉の本来の意味や役割を調べるには、できるだけ自然な状況で、かれらの会話の実態を調べるのが最良だと考えます。
自然のなかで野生動物に密着し、かれらの会話を調べることは簡単なことではありません。長期的なフィールドワークや動物種に応じたさまざまな工夫が必要です。森の中に100個以上の野鳥用の巣箱を仕掛けたり、赤外線カメラやサーモカメラを用いて夜行性哺乳類の行動を追跡したり。時には、超音波(私たちの耳には聞こえない高周波の音)を録音するため、特殊なマイクやレコーダーを使用したり、しぐさ(ジェスチャー)の意味を調べるためにロボットを開発したりする必要もあるでしょう。
私たちと共に暮らすペットについても同様です。イヌやネコ、インコなど、ペットたちの多くは人間の暮らしの中で生きるように進化してきた動物です。かれらがどのようにコミュニケーションをとっているのかを明らかにするためには、飼い主さんの長期的なご協力のもと、できるかぎり普段の生活の中で調べることが必要です。
動物たちの生活に沿った観察と実験の積み重ね。地味ではありますが、動物の言葉を真に理解するためには地道に進めるほかありません。動物言語学プロジェクトでは、一歩一歩丁寧に、学生や研究員らと協力しながら、さまざまな動物たちの言葉の解明に全力を注ぎます。
野生動物からペットまで、さまざまな動物たちの暮らしに密着し、言葉の意味を探究します
動物の言葉がわかる。それだけでも、私たちの暮らしはもっとわくわくするものへと大きく変わることでしょう。しかし、動物言語学の叶える未来はそれだけにとどまりません。言葉を理解するということは、種という壁を越え、動物たちの本来の姿を知らなければできないこと。動物言語学はヒトと動物たちを隔てる壁を越えるための階段となり、私たちの自然に対する価値観を大きく変えて、より平和で豊かな未来への扉をひらくことでしょう。そんな輝かしい未来の可能性を一緒に探ってみませんか?
動物言語学が創造する未来
(1)人間と動物の関わり方の改善
動物たちの言葉の意味を正しく理解することは、かれらの思考を理解することに直結します。動物言語学の成果は、野生動物やペットとのかかわり方、動物園における動物福祉(環境エンリッチメント)などを大きく改善すると期待できます。
(2)豊かな自然観をはぐくむ
スズメやメジロ、シジュウカラといった身近な動物の言葉の意味を解明できれば、社会の自然環境への関心を高めることができるでしょう。このことは、SDGsの達成や自然環境の保全に寄与するだけでなく、次世代の子どもたちが自然のしくみや大切さを学ぶ上でとりわけ重要な意味を持ちます。動物言語学を通して、社会全般に豊かな自然観をはぐくみたいと考えています。
(3)人間と動物が会話する未来をめざして
動物たちの言葉の力を解き明かすことで、将来的に、人間と動物との会話を実現できるかもしれません。コミュニケーションの取り方は動物の種類によってさまざまですが、人間が思っている以上に動物たちは私たちのことをよく観察しています。本プロジェクトでは、動物たちの言葉を一方的に理解するだけではなく、人間から動物へ種の壁を越えて語りかける未来に向けた応用研究も進めていきます。
これまでの研究内容をまとめた論説文が中学の国語の教科書に掲載されています。学校教育と連携し、次世代の子どもたちに豊かな自然観をはぐくみます。
シジュウカラ一種の言葉を調べるためにも15年以上の歳月が必要でした。今後、学生や研究員と協力し、他の動物たち(野生動物やペット)の言葉の世界を解き明かすには、研究を長期的に続けるための資金(調査地での滞在費や移動費、研究機材の購入費など)が欠かせません。また、次世代の動物言語学者の育成や研究成果を環境教育に還元するためにも多くの資金が必要です。この可能性に満ちた新しい学問分野を世界に発信するため、皆様のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
皆様からのご寄付は、主に以下の目的に大切に活用させていただきます。
・野生動物の言葉を研究するための長期的フィールドワークの実施
・ペットと飼い主のコミュニケーションに関する研究の実施
・録音・録画、データ解析、DNA分析などに必要な機材の整備
・東京大学 動物言語学分野 鈴木研究室の研究環境の向上
・学校教育と連携した研究活動の推進と子どもたちへの豊かな自然観の育成
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応援してます!
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先生の研究がますます発展しますように!応援しています!
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