東京大学フォーミュラファクトリー(The University of Tokyo Formula Factory=UTFF)は、ひとり乗りフォーミュラレーシングカーを自作している東大生のものづくりサークルで、学生フォーミュラ日本大会で優勝することを目標のひとつとして活動しています。
そして、UTFFの活動は教養学部の全学自由研究ゼミナールや工学部の創造的ものづくりプロジェクトの一環でもあります。近年では、学生が機械要素的なものづくりだけではなく、EV参戦(電気駆動フォーミュラカーの製作)を通じて電気分野に関する知識も深めています。
エンジン車両時代のPV動画
2023年度車両設計図
UTFFでは学生が主体となり、自ら機械工学や電気工学の知識を学習し設計を実施するとともに、鉄鋼やアルミ合金などの金属加工、近年発達している3Dプリントなどの付加加工、溶接などの接合、電子回路や配線などの作成を実施してマシン製作を進めております。抵抗からICチップなどの電子部品、ボルト/ナットからベアリング・オイルシールなどの機械部品の選定も自らの手で実施しています。
必要に応じて学外の技術指導を受けるなど、活動が学内に留まることのない実践的な教育・研究の場です。さらに、プロジェクト運営に必要な費用類の確保、ご支援くださる企業様等への説明、日程や工数の管理といった社会性なども身に付けられる場となっています。
2023年大会 全種目完走
大会への参加や日々の活動を通じて、工学的な知識・技術の獲得だけではなく、製作・試験といった実際の経験や、チームとしての広報、協力会社様との渉外などのマネジメントも含めた総合的な学びを得られます。UTFFの経験者は卒業後、自動車産業だけではなく、様々な業種で活躍しています。
マシン製作に必要な材料や部品の価格、大会参加中の滞在費等が年々高騰しているとともに、EV化に付随して様々なICチップや高電圧対応の特殊な部品を用意する必要があることから、現状の財源だけではチームとしての活動が制限されている状態です。また、大学構内や近郊にテスト走行が実施できる場所がないため、テストの度に移動時間と交通費がかかってしまい、マシンの評価についてはマシンの性能を評価するためのデータも、すべてをチェックすることができず、事前にかなりのチェック項目の取捨選択を迫られる状態となっています。
コストを抑えるために、解体した車体のパーツの再利用やテスト走行の実施項目を絞ることや、テスト走行にあたってマシンや道具を運搬する乗用車は自分たちで整備し、陸運局にて車検を通すなど様々な工夫に努めていますが、これらの取り組みも貴重な経験である一方、限られた活動時間の多くを占めることとなり、結果的に技術レベルを向上させるための時間が失われてしまっています。
また、大会は静岡県にて6日間開催され、準備や滞在も含めると学生の個人負担が非常に大きくなってしまうことから、大会への参加や活動自体を制限せざるを得ない学生も出てきます。
学生フォーミュラ大会優勝を目指すだけのパーツや活動環境を整えるためには皆様からのご支援が必要です。
どうか温かいご寄付を賜りますようお願い申し上げます。
2009年大会 総合優勝時 マシン名:UTFF10
いただいたご寄付は
マシン製作費 / 試験走行費 / 大会参加費 / 遠征の宿泊費
などに活用させていただきます。
● UTFFの主な取り組み
-マシン設計・製作
・ CAD・CAEによるデジタルを活用した設計・事前評価
・溶接・金属切削といった本格的な機械加工
・ツインモータ、リジッドアクスルなど独自性に富んだ設計の試み
・授業では実施されない、NC機械を用いたコンピュータ制御の機械加工
・ CAN通信プロトコルを用いてのモータ・インバータ・バッテリ制御
・低電圧(~48V)回路設計、製作(安全装置から測定道具まで)
・高電圧(~400V)のバッテリの作成、モータ・インバータの制御
・高電圧/低電圧混在の安全装置用の回路設計・製作
-プロジェクト運営
・テスト走行による車両の運動性能の評価
・プロジェクト管理ソフトウェアを使った課題管理・リスク予測
・学生によるチームメンバーの教育・人材育成
-その他チームとしての取り組み
・アマチュアサンデーレーサー市場を対象とした製品戦略の構築 (大会審査項目の一環)
・五月祭・駒場祭でのマシン展示と、ものづくり体験イベントとしてもモックカー作成イベント実施
・支援企業様を対象とした説明および活動報告
UTFFでできることの可能性は無限大です。 応援をお願いします!
2024年12月26日(木)
1. 概要
本プロジェクトは, モータ・インバータの最大出力に耐え得る車両を開発するという思いを込めた「Power」という全体コンセプト, そして, 学生フォーミュラ日本大会2024において総合10位という大会目標を掲げ, 活動を続けてまいりました. 前回大会の車両の基本構成は残しつつ, 駆動系統の刷新・制御系統の成熟を目指し, 車両開発に臨んでまいりました. 成果を発揮する舞台である学生フォーミュラ日本大会2024は2024年9月9日から14日にかけてAichi Sky Expoで開催され, 総合で78チーム中14位, EV部門で21チーム中3位という成績を収めました. 大会後は学生フォーミュラ日本大会2025へ向け, 設計・製作を進めております.
2. 活動内容
2.1. 年間スケジュール (2024年1月1日-2024年12月31日)
3/30-31: フォーミュラEイベント車両展示
7/3: シェイクダウン@クイック羽生
7/6: 試走会@モビリティリゾートもてぎ
7/13: EV模擬車検会@神奈川工科大学
7/23: ESF合格
7/27-30: 試走会@日本先端工科大学(仮称)
8/5: 試走会@小笠山運動公園
8/6: 試走会@日本先端工科大学(仮称)
8/13-14: 試走会@JARI
8/25: 試走会@日本大学理工学部
8/29-9/1: 試走会@日本先端工科大学(仮称)
9/4: コスト審査@オンライン
9/5: デザイン審査@オンライン
9/9-14: 学生フォーミュラ日本大会@Aichi Sky Expo
10/1: 活動報告会
10/6: キックオフミーティング
10/27: 概念設計審査会
11/17: 詳細設計審査会
2.2. 大会結果
総合成績: 14位(EV部門内3位)
コスト: 18位
プレゼンテーション: 5位
デザイン: 28位
アクセラレーション: 19位(同4位)
スキッドパッド: 28位(同5位)
オートクロス: 21位(同2位)
エンデュランス: 25位(同4位)
効率: 2位(同2位)
ペナルティ: なし
表彰: PR賞1位, 省エネ賞2位, ベスト車検賞2位, 日本自動車工業会会長賞受賞
3. 成果
前年大会では駆動系統のトラブルによりモータ・インバータの最大出力を出すことができませんでしたが, 2024年大会では駆動系統の改善により, 当初掲げた「Power」という全体コンセプトを実現させることができました.
また, 前年大会ではレギュレーションを満たすだけで精一杯だった制御系統もかなり改善し, トルクベクタリングやスリップ制御など, 速く走らせるための制御を実現させることができました.
上記の改善により総合成績は向上しましたが, チーム目標であった総合10位は達成することはできませんでした.
4. 課題
前回大会から制御系統の改善をすることはできましたが, 更なる改善が必要です. 具体的には, トルクベクタリングやスリップ制御などの速く走らせるための制御が本当に走行タイムの短縮に繋がっているかの検討が必要です.
また, 弱電バッテリの逆接続により自作基板が故障する, 大会での走行中にリアサスペンションのパイプが破断するなど, 信頼性・冗長性の改善も必要です.
5. 次年度の展望
学生フォーミュラ日本大会2025に向けて, 下記を目標に活動に取り組んでまいります.
5.a. バッテリシステムを一新し, 大容量化する.
5.b. 制御システムを更新する.
5.b.1. シミュレーションをおこない, プログラムの妥当性を評価する.
5.b.2. 試走を重ね, ゲインの調整をおこなう.
5.c. 早期シェイクダウン.
5.c.1. フレーム, サスペンション, バッテリシステムの更新に適応できるよう, 適切なスケジュール管理をおこなう.
また, 長期的にはモータ・インバータの独自設計を目標に, 開発を進めています
2024年03月01日(金)
この度、UTFF がEV フォーミュラ・カーを製作する過程が「学生にMac」の広告で取り上げられました。Apple のMacBook 広告への出演は、UTFF の技術力とイノベーションが広く認知されるきっかけになると同時に、未来の技術革新に向けた大きな一歩へ繋がりました。たくさんの学生がこの「学生にMac」広告で夢の実現の為に努力する勇気をもらえるのではないでしょうか。
動画は以下からご覧いただけます。
今後もUTFF は、新しい技術や持続可能なソリューションに挑戦し続けます。
皆様のご支援が、未来のエンジニアたちによるイノベーションを後押ししてくれます。
これからもUTFF は、技術と情熱を結集し、未来を切り開いていく所存ですので、ぜひ、ご応援をよろしくお願いいたします。
2024年03月01日(金)
東京大学フォーミュラファクトリー(UTFF)は「学生がクルマをつくる」をテーマに自らの手でフォーミュラカーを設計・製作・走行し、毎年9月に行われる学生フォーミュラ日本大会の上位成績を目指しています。過去20年間はエンジン車を製作しICV部門への出場をしていましたが、今年度より新たなチャレンジとしてEVを製作・EV部門として大会に参加いたしました。
【学生フォーミュラ日本大会とは】
学生フォーミュラ日本大会は全国の学生が設計・製作したフォーミュラカーを用いて様々な競技を競う大会です。競技にはプレゼンなどを行う静的審査と、実際にマシンを走らせる動的審査の二種類あります。
今年度は静的審査が8月中旬に、動的審査が8/28~9/2にかけて開催されました。
【静的審査】
静的審査はコスト・プレゼン・デザインの3つの部門に分かれ、それぞれの題に対して資料を提出したりプレゼンを行ったりします。
今年は全種目がオンラインでの開催となりました。
・コスト:マシンパーツの図面とFCAを提出し、その正確さを競います。
・プレゼン:「実際にマシンを売るなら」というテーマの元、ビジネスプランをプレゼンします。
・デザイン:マシン設計・製作の意図や工夫を説明します。
【動的審査】
動的審査はアクセラレーション・スキッドパッド・オートクロス・エンデュランスの4競技に分かれ、それぞれの記録が点数になります。今年は静岡県のエコパスタジアム9,10駐車場で開催されました。
・アクセラレーション:直線75メートルを停止時から走り抜け、加速性能を競います。
・スキッドパッド:8の字のコースを走り、旋回性能を競います。
・オートクロス:作成されたコースを1周走ります。
・エンデュランス:作成されたコースを20周走ります。10週ごとにドライバーが交代します。
【UTFF01 Faraday】
今年度はUTFF史上初のEVを設計・製作し、学生フォーミュラ日本大会に臨みました。
命名番号を一度リセットし、電磁気学の父の一人「マイケル・ファラデー」の名前を愛称として命名しました。
このマシンの特徴としては
・ツインモータ
・トルクベクタリング
・リジッドアクスル
が挙げられます。
まず、ツインモータですが、これはモータを2つ積み、それぞれを各駆動輪に直接接続する手法です。それぞれの駆動輪を独立に制御できるのが特徴です。そして、この特性を活かしたのがトルクベクタリングです。左右の駆動輪に異なる駆動力を与えることで、旋回性能の向上や運転の快適化を果たしました。
また、UTFFの伝統の一つであるリジッドアクスルを搭載しています。これは大会開催地であるエコパスタジアムが非常に平であることから、両輪が車軸でつながっているこの手法を取り、より安定感を発揮しました。
【大会結果】
各部門における結果は以下の通りです。
コスト:39位(リアルケースシナリオ:2位)
プレゼンテーション:15位
デザイン:38位
アクセラレーション:30位
スキッドパッド:21位
オートクロス:28位
エンデュランス:21位
効率:1位
大会出場時に駆動系統に信頼性の問題を抱えていたため、十分な出力が出せないまま臨んだ大会となりましたが、数々のトラブルを乗り越え、EV参戦初年度にして全種目完走を成し遂げました。特にエンデュランスを完走したEVチームは2チームしかおらず、その中で時間・電費効率共にトップの成績を獲得しました。
大会の総合結果ならびに獲得した賞は以下の通りです。
総合順位:25位
EV部門内順位:3位
省エネ賞:1位
ベスト車検賞:2位
日本自動車工業会長賞:受賞
【来年度大会に向けて】
UTFFは今年得た教訓を元に来年度の大会ではより良い成績を取れるよう既に新車両の設計・製作を始めております。
具体的には、駆動に信頼性の問題があったことやまだマシンの限界性能を試せなかったことから出力を控え目にせざる負えなかったことを反省し、来年度車両のコンセプトを「Power」として信頼性と出力の向上を目指します。
来年度は力強い走行を皆様にお見せできるようメンバー一同一生懸命取り組んでいきます。
今後ともご支援・ご声援のほどをよろしくお願いいたします。
2023年12月26日(火)
UTFF(The University of Tokyo Formula Factory)は日々ご支援いただいているスポンサーの皆様に対し、2023年度の活動報告会を実施しました。
2023年10月26日(木)
UTFF(The University of Tokyo Formula Factory)は、「2023年度 学生フォーミュラ日本大会」で素晴らしい成績を収めました。この大会には総計77チームが参加し、UTFFは総合ランキングで25位に位置し、EVクラスでは堂々の3位を獲得しました。
成果の中で特筆すべきは、UTFFがEVクラスの「エンデュランス」競技で1位に輝き、また「効率」競技では全クラスを通じて1位となったことです。加えて、省エネ賞1位、ベスト車検賞2位、および日本自動車工業会会長賞を受賞いたしました。
初めてEVクラスに挑戦したUTFFは、多くの試練に立ち向かいましたが、これらの素晴らしい成績を達成すると同時に、最も大切な目標であった「全種目完走」も成し遂げました。
今後、UTFFは制御プログラムの改善やマシンのレイアウト変更を通じて、さらなる成長を目指し、将来の大会での成功に向けて取り組んでいきます。
UTFFはこれからも努力し続け、成長を続けていきますので、これからも応援お願いいたします。
<東京大学フォーミュラファクトリー支援基金>
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