平素より本学の教育・研究活動につきましてご理解ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
2020年から続く新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため、世界では600万を超える人命が奪われ、また、社会・経済活動に多くの制限を余儀なくされてきました。東京大学は様々な新型コロナ対策を行いながら、本学のミッションである教育・研究・社会活動を行ってまいりました。私ども医科学研究所もその一員として、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の医療に向けて、皆様の健康を守り持続可能な社会を協創するための教育・研究・社会活動の推進に取り組んでおります。
弊所の前身は私立伝染病研究所であり、感染症に対する治療法・予防法開発のために創設された日本最初の研究所です。初代所長である北里柴三郎は、破傷風菌の純粋培養に成功しただけでなく、治療法としての血清療法を確立した研究者であり、その理念、特に実学の精神は歳月を超え、全所員に脈々と受け継がれています。さらに、当研究所は1967(昭和42)年に東京大学医科学研究所に改組され、研究対象は感染症にとどまらず、時代の要請に応じてがんや難病へと広がりました。現在、世界の感染症研究拠点の一つとして、新型コロナウイルス感染症の治療法・予防法の開発を推進するとともに、がんや難病に対する基礎研究を独自の基盤とした上で、新たな治療法・予防法の開発が進められています。新型コロナの時代にあってもこれらの活動を遅らせるわけにはまいりません。
医科学研究所では、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬開発、ワクチンなどの予防薬開発だけでなく、AIを用いた基礎研究やがん医療、再生医療による難病克服など、未来医療を目指した研究開発を進めてまいります。また附属病院を通じた新たな医療の提供も推進してゆく所存です。皆様には、是非ともウィズコロナ、ポストコロナ時代に向けた当研究所の未来医療開発研究の取り組みに一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
皆様のご理解とご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
上記の通り医科学研究所は時代の要請に応じてその研究対象の範囲を広げ、それぞれの疾患に対する新たな治療法・予防法の開発を推進してきました。しかしながら、萌芽期の研究には国や民間財団からは十分な支援が得にくいこと、また実装のための研究には継続的かつ多大な費用が必要となることから、それぞれの開発研究・実装に十分な研究資金が獲得できていない状態にあります。
皆様から賜りましたご支援は、未来の医療を支える可能性を持つ多くのプロジェクトができるだけその可能性を絶やさないように、それらに対する研究支援として活用させていただきます。ただし、これらの支援プロジェクトについては、設置期間を通して研究成果を分析、評価し、順調に進捗しているテーマへは可能な限りで追加の支援をするなど、徹底したプロジェクト管理のもとで進めてまいります。
2024年02月29日(木)
1:癌細胞の細胞死を阻害し、腫瘍を増大・進展に導く新たな物質を同定しました。
腫瘍内のストレス環境下にある癌細胞では液-液相分離体「ストレス顆粒」が形成され、細胞死を抑制して癌の増殖・進展を促していることを突き止めました。癌に対する新たな治療法の開発が期待される成果です。
(分子シグナル制御分野・教授 武川 睦寛博士らのグループ)
2:人工知能を駆使し、新しいたんぱく質品質管理の仕組みを解明しました。
異常を起こすことにより遺伝性の発達・てんかん性脳症を引き起こすUFM1連結酵素複合体の詳細な立体構造を人工知能によって世界で初めて明らかにすることに成功しました。細胞内のたんぱく質品質管理機構に新たな知見を与え、遺伝性の発達・てんかん性脳症発症の発症機構の解明にも繋がる成果です。(RNA制御学分野・教授 稲田 利文博士らの研究グループ)
2023年03月30日(木)
1: 新型コロナウイルス感染症のオミクロン株に対する抗体薬の効果に関して新たな発見がありました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の4種類の抗体薬の中で、ベブテロビマブが武漢株だけでなく、オミクロン株のBA.2やBA.5 、BA.4.6にも高い感染阻害効果を有することを見出しました。
(ウイルス感染部門・特任教授 河岡 義裕博士らのグループ)
2: 悪性脳腫瘍の一種であるグリオーマに対する世界初のウイルス治療薬、G47Δの臨床試験における有効性と安全性が報告されました。
当所の藤堂教授らによって開発された第3世代のがん治療用ヘルペスウイルス G47Δ(一般名 テセルパツレブ)が、膠芽腫(悪性脳腫瘍)に対する医師主導の治験で、生存期間中央値(いわゆる平均余命)が診断から28.8カ月と延長し、有効性が証明されました。
(先端がん治療分野・教授 藤堂 具紀博士らのグループ)
3: 老化細胞増加の原因の一部が明らかになり、既存の薬剤の投与によって老化細胞を除去できることが発見されました。
老化細胞の一部がPD-L1を発現しており、現在抗がん剤として用いられている抗PD1抗体に対応するマウス抗PD1抗体を加齢マウスや生活習慣病マウスに投与すると、生体内から老化細胞が除去され、老年病、生活習慣病が改善できることが示されました。
(がん防御シグナル分野・教授 中西 真博士らのグループ)
4 : ラットの ES 細胞から精子を作る細胞へ分化させることに成功し、さらにその細胞で作られた精子を受精させ、正常なラットが生まれることが確認できました。
ラットの ES 細胞から、試験管内で精子・卵子の元となる始原生殖細胞を作ることに成功しました。作製した始原生殖細胞を精子のできないラットの精巣に移植すると機能的な精子ができ、卵子に受精させることで正常なラットに成長することが確認できました。本研究成果は稀な疾患・難病のモデル動物の作製にも役立ちます。
(再生発生学分野・特任准教授 小林 俊寛博士らのグループ)
2021年11月12日(金)
東京大学基金活動報告会2021 第2部オンライン交流会グループBの冒頭にて行いました、プロジェクト活動報告の動画です。
2021年01月26日(火)
2020年12月15日(火)、医科学研究所 特別セミナー『「未来医療開発」 ウイズコロナ・ポストコロナ時代の医療に向けて』をZOOM ウェビナーおよびYouTubeライブにて開催いたしました。詳細はこちらよりご覧いただけます。
<未来医療開発基金(医科学研究所)>
<未来医療開発基金(医科学研究所)>
<未来医療開発基金(医科学研究所)>