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フランス国CNRSビルフランシュ臨海実験所で実験を行ってきました! (マリン・フロンティア・サイエンス・プロジェクト)

海産生物であるホヤを用いて精子と卵の種認識機構の解明を目的とした研究に取り組んでいます。

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この度私は、皆様よりご寄付いただきました東京大学基金を活用し、2012年12月2日から14日にかけてフランス国CNRSビルフランシュ臨海実験所で実験を行いました。東京大学基金で渡航費と宿泊費をご支援いただき、研究を遂行する上で重要な試料とデータを得ることができましたので、感謝の意を込めてここに報告させていただきます。

私は海産生物であるホヤを用いて精子と卵の種認識機構の解明を目的とした研究に取り組んでいます。精子と卵が受精するためには、精子鞭毛運動の活性化や卵に対する走化性、受精能獲得など複雑なプロセスが必要であることが知られています。ホヤを含むいくつかの動物において精子は卵に誘引されることがわかっており、また異なる種の卵には誘引されないという種特異性があることが報告されています。そこで私は海水成分など異なる環境で生息している近縁の3種、日本産のカタユウレイボヤおよびスジキレボヤ、そして今回用いた地中海産ホヤファルーシアを用いて実験を行なっています。このうち、カタユウレイボヤは海産無脊椎動物で最初に全遺伝子情報が解読された実験動物であり、卵由来精子活性化・誘引物質の分子構造も明らかにしております。また、近縁種のスジキレボヤについては遺伝子情報の蓄積は少ないですが、最近になって精子活性化・誘引物質を明らかにしました。ちなみに主に東北地方で食用とされるホヤであるマボヤは、これら3種とは遠縁の種類のために用いておりません。ファルーシアはカタユウレイボヤに次いで全遺伝子情報が解読されており、カタユウレイボヤと分子メカニズムを比較する対象として最適の動物です。そこで、今回の渡航ではファルーシアの精子活性化・誘引物質を精製・同定することを目標にしました。そして、精子誘引・活性化能を確認することがでた地中海ホヤの卵抽出液、及び遺伝子サンプルを十分量集めることに成功いたしました。今後、卵由来精子誘引・活性化物質を精製後、分子構造を決定し、それぞれの卵が精子を誘引する分子メカニズムの比較検討を行いたいと考えています。本研究が進めば、受精機構の分子メカニズムの普遍性と多様性が明らかとなり、理学、農学、さらには不妊治療に貢献できることが期待できる新しい知見となります。

今回の渡航では、実験を行っただけではなく、日本と異なる生活スタイルに溶け込みながら初めて海外の研究室で研究をさせていただいたこと、欧州で研究に携わる方々のお話を聞けたこと、また、ビルフランシュの町で家族のように親切にしてくださる方々に出会えたことなど、人生の財産となる大変貴重な経験をすることができました。この度の経験を糧に社会に貢献できる研究成果を出せるよう日々邁進いたします。貴重な機会をくださいました東京大学基金にご寄付くださった皆様に厚く御礼申し上げます。

理学系研究科生物科学専攻附属臨海実験所 博士1年(当時) 小野千紘

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