バイオロギング支援基金

海洋動物を使って情報空白地帯をカバーする Internet of Animals (IoA)

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プロジェクト設置責任者

大気海洋研究所 行動生態計測分野 教授
佐藤 克文

今年度寄付総額
10,000円
今年度寄付件数
1件
現在の継続寄付会員人数
6人

このプロジェクトに寄付をする

東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

 バイオロギング研究について、随時「活動報告」タブにて研究者が奮闘する様子やその成果を発信しています。ぜひご覧ください。
第1回:ウミガメは年齢不詳?
第2回:暗視カメラは捉えた!オオミズナギドリ浮気の瞬間!
第3回:データを求めてどこまでも? 怒涛のカジキ調査
第4回:カメはのろまではない
 東日本大震災から10年。岩手県大槌町にある東京大学大気海洋研究所沿岸センターの当時の様子とそこからの再出発について佐藤克文教授の記事が公開されています。ぜひご覧ください。
「津波にあった大槌の研究所、海洋動物研究の3.11とそれから」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/360768/022600044/

動物の生態調査の新手法、バイオロギングとは?


何かを背負ったウミガメが海に向かっていきます・・・

 水平方向にも鉛直方向にも広範囲を動き回る海洋大型動物の暮らしぶりを調べるのに、観察や飼育といった従来の手法だけでは限界がありました。そこで、動物への負荷を配慮した小型の計測器を動物に搭載し、海洋大型動物の行動や生理を調べる手段が考案され、「バイオロギング」という名称が日本で生み出されました。
※バイオロギングは動物の行動や生態に十分配慮し実施されています。


マッコウクジラに計測器を取り付ける様子
クジラは捕獲して取り付けることができないので
泳いでいるクジラに狙いを定めて背中に吸盤で装置を貼り付けます。
装置は数時間から1日後に自然と体から離れて海面に浮かびます。
その後、電波を頼りに装置を探して回収するのですが、これが大変です・・・。

 動物に装着する小型の計測機器の開発には特別な技術が必要となりますが、日本には物づくりの伝統があるので小型で精密な機器を作成することが得意なのです。このことにより、動物や環境への負荷へ最大限配慮した研究を進めることができています。高性能な小型装置を開発し、地道に動物と向き合うことで、この研究分野では日本が世界を先導してきました。予想を覆す数々の発見がもたらされた一方で、動物たちが生息する海洋環境の測定にもバイオロギングが有効であることが次第に明らかになってきました。

バイオロギングでなにができるのか?


ウミガメに付けたカメラの映像

 これまでは動物が海に潜ってしまうと何をしているのか分かりませんでしたが、バイオロギングによって海洋動物の神秘的な生活が次々と明らかになってきました。ペンギンは海の中でどうやって生活しているのでしょうか。また、深海でマッコウクジラは数メートルもあるダイオウイカをどうやって捕まえているのでしょうか。バイオロギングによって、こういった謎が明らかになりつつあります。さらに、動物から大量の情報が得られるようになってきたことを受けて、これらの情報を野生動物の保護や地球環境の保全にも役立てることが出来るのではないかと私たちは考えるようになりました。

オオミズナギドリ1.jpg
背中にロガーを付けたオオミズナギドリ

 陸上では全てのモノがインターネットにつながるInternet of Things により、多種多様なビッグデータが生み出され、利活用されるようになりつつあります。Internet of Thingsとは、インターネットに接続されたセンサーを様々なものに搭載することで、大量の情報を収集し、世の中を良くしていこうという考え方です。ただし、現状では海洋に情報収集端末を設置することは出来ていません。しかし、我々が海洋動物に装着している装置をインターネットに接続できるようにすれば、情報空白地帯であった海洋からも大量の情報を収集することが可能になります。動物は日々餌を求めて自律的に動き回るので、少数の端末からでも生物生産性の高い海域に関する有用な情報を効率的に集めることが可能です。これらの動物たちが、海洋の温度や波浪、風などの情報をリアルタイムで集めるInternet of Animalsが実現すれば、より的確に海洋環境を把握できるようになり、台風や干ばつなど海を起点とした自然災害による被害を低減させることが出来ると考えています。

サムネイルイラスト.png
様々な海洋生物からリアルタイムにデータを送ってもらうInternet of Animalsが実現した世界では
海洋の貴重で有用な多くの情報を効率的に収集することができるように!

 コロナ禍に見舞われた2020年、日本や世界の社会はその対応に追われ、大学においても教育や研究のやり方を変更せざるを得ない状況に追い込まれました。完全な収束までに2〜3年を要するといわれているwith コロナの時代に対応した、新しい研究や教育のやり方を至急立ち上げなければなりません。例えば、普段都会で暮らす東京大学の研究者は、僻地や国外にある調査地を頻繁に訪れるやり方で研究を進めるのが難しくなりました。動物に装置を搭載して遠隔地のデータを得るバイオロギングは、その窮地を打開する1 つの有望な手段になります。

ご支援のお願い


バイオロギングの活動を身近に感じていただくことができる
様々な特典をご用意いたしました

 大気海洋研究所行動生態計測分野では、バイオロギングを主な手段とする3人の教員が、大学院生らと共に僻地に出かけていき、哺乳類・鳥類・爬虫類・魚類を対象とした行動生態学や環境学を進めています。
 いただいたご支援は下記のような目的に使わせていただきます。

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バイオロギングを支える新たな機器の開発
研究者2.png
野外調査の担い手である若手研究者支援
発信機付きウミガメ特典2.png
得られるデータを必要とする人々に提供するためのプラットフォーム作成
環境教育1.png
学童を含む一般市民へ成果還元をするアウトリーチ活動

 皆様からのご支援がバイオロギングの活動を進める原動力となります。ぜひ、皆様の応援をよろしくお願いいたします。

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効率を重視して泳ぐウミガメ

2021年04月12日(月)

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 「もしもし亀よ、亀さんよ ♪」と唄われ、3歳児でも知っている亀に対して、のろまな動物という印象を皆さんお持ちではないでしょうか。駆け競べでウサギに勝ったのも、ウサギが油断していたからで、所詮ノロノロとしか動けない哀れな動物だなんて思っていませんか。
 バイオロギングで調べたところ、ウミガメが大海原を泳いでいる時の速度は秒速50cm程度で、秒速1〜2mで泳ぐ海鳥類や海棲哺乳類に比べて遅いのは確かです。しかし、その速さ(遅さ)にはきちんとした理由があることを博士研究員である木下千尋さんが明らかにしてくれました。
 以下の写真は、釣りをしている風景ではなく、2020年のウミガメ調査風景です。海に浮かぶ船上という3密からほど遠い状況においてもマスクをするのは非科学的かもしれません(立っているのが木下千尋)。しかし、感染者がまだ一人も出ていない大槌町民に対して、万が一どころか、億が一にもウイルスをうつしてはならないという我々の心構えの表れです。

船.jpg

 ところで、これは調査と書きましたが、間違いではありません。ウミガメの背中に取り付ける速度記録計を深度50mにまで沈め、電動リールを使って何通りかの速さで水面まで巻き上げています。巻き上げに要した時間から曳航速度を得て、記録計で測定されるプロペラ回転数との換算式を得るという観測風景なのです。
 以下の写真は一転して室内実験の様子です。水槽の中にはアカウミガメが1頭入っており、板で覆われていない1箇所の水面から時々頭を上げて呼吸をします。その呼気の中に含まれる酸素濃度を分析機で測定することにより、ウミガメの酸素消費速度を調べている所です。

船2.jpg

測定内容を理解してもらうため、木下さんが描いたポンチ絵を示します。まあ、こんな感じに実験しているのです。

イラスト1.jpg

 水生動物が泳いで移動する場合、水の抵抗に逆らって泳いだ仕事が移動に要するエネルギーコストとなります。理論的な考察の結果、この移動に要するコストを最小とする最適な遊泳速度というものがあり、それは以下の式で表されます。

4月活動報告カメはのろまではない_3 - コピー.jpg

 ウミガメの酸素消費速度は鳥類や哺乳類に比べて12分の1程度と低く、抵抗係数はペンギンに比べて8.6倍ほどもありました。その結果予想されるウミガメの最適遊泳速度は,まさしく測定された遊泳速度と同じ秒速50cm前後であったのです。より詳しくは、以下にある木下さんが描いたイラストを見て下さい。
 実は、私自身ウミガメの研究で学位を取得したという経緯から、ウミガメにはヒト一倍強い思い入れがあります。今回、私の元で学位を取得した木下さんがウミガメの優秀性を証明する研究成果を上げてくれたことを、内心誰よりも喜んでいるのです。

イラスト2.jpg

より詳しく知りたい人は、以下のサイトをご覧下さい。
https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/topics/2021/20210222.html

 

データを求めてどこまでも? 怒涛のカジキ調査

2021年03月11日(木)

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<文章:大気海洋研究所 行動生態計測分野 修士1年 松田康佑>

 「カジキ」と聞くとどんな生き物を想像しますか?大型で、沖合の海を移動し、長いツノ(口吻)を持つ魚といったところですね。それでは、水族館でカジキを見たことがありますか?高速で泳ぐといわれているカジキは特殊な形態をしているために飼育するのが難しく、この記事が書かれている時点ではこれまでに水族館でカジキが展示された例は2回しかなく、なかなか見られない魚と言えるでしょう。私たちの研究室では、カジキ類を対象としたバイオロギング調査を行ない、この魚の生態を明らかにしようと日々奮闘しています。今回は、昨年行なった高知での活動をご報告します。

マカジキ.png
筆者とマカジキ

 調査の話に入る前に、この調査が行われるに至った経緯を少し記述します。世界中のカジキ釣り師の間で、釣ったカジキをリリースする際、衛星発信器(カジキの行動を記録して衛星経由で送信する装置)を装着して放流する「IGFA Great Marlin Race」が行なわれています。このレースは日本でも行なわれています。このレースでカジキに装着された装置は一定期間経過後に自動的に切り離されて海面に浮上してきます。海面に浮上すると、得られたデータを衛星に発信し、衛星経由で私たちはデータを確認することができます。衛星経由で得られるのは、蓄積されたデータの一部のみです。もしこの装置を回収できれば、カジキ類の詳細な生態を知ることができるのです。

 2020年8月に静岡県沖で衛星発信器を装着して放流されたシロカジキが、12月に高知県沖の定置網で漁獲され、装置が水揚げされた漁港にあるとの連絡が入りました。提示されたのは見知らぬ土地の地図。「この漁港のどこかに発信器がある。電池が切れると回収できなくなる。電池切れまで残り時間が少ないから急いで高知へ飛べ」と教授からの指令を受けました。

地図.png
実際に提示された地図。このどこかに発信機があるはず?

 急いで支度して、連絡のあった日のうちに夜行バスに飛び乗って高知に向かいました。コロナの影響で、夜行バスの乗客はほとんどおらず、貸切に近い状態でした。目的の漁港についたのは次の日の昼過ぎ頃。発信器からの特殊な電波を受信するために、専用の受信機で発信器の探索をしました。その様子はまるで金属探知機を使った宝探し。30分ほど探索してゴミの山からようやく発信器を発見することができました。研究室に戻ってすぐに装置をパソコンに接続し、取れたデータを確認しました。

発信機.png
無事に回収された発信機。この装置の中には宝の山が!

 得られたデータを解析してみると、発信器を装着したシロカジキが黒潮に逆らって泳いでいる様子が伺えました。しかし今回明らかになったのはカジキ類の生態のごく一部です。彼らの生態をより詳しく知るにはさらに多くのデータが必要です。皆様からのご支援によって研究を継続することが可能となりますので、どうかご助力のほど、よろしくお願いいたします。

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発信機からわかったシロカジキの移動経路。
カジキの生態が少しずつ明らかになってきている。

暗視カメラは捉えた!オオミズナギドリ浮気の瞬間!

2021年01月28日(木)

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 オシドリ夫婦という言葉が仲の良い夫婦を表すように、人々は鳥に対して「浮気なんかしない」という幻想ともいえる美しいイメージを抱いているようです。ところが、私達が海鳥の一種であるオオミズナギドリに対して最新のDNA分析技術を導入して調べたところ、期待を裏切る恐ろしい現実が見えてきました。

 東京大学大気海洋研究所の臨海実験施設である国際沿岸海洋研究センターは、岩手県大槌町にあります。大槌湾の隣にある船越湾に船越大島という無人島があります。私達はここでオオミズナギドリの生態調査を行っています。オオミズナギドリは林床に巣穴を掘って、オスとメスが毎年1羽のヒナを育てます。3月頃、越冬地の東南アジアから戻ってきたオスとメスは、去年まで使っていた巣穴で再会します。その後、巣穴を補修しつつ時々海に行って餌を捕るのを繰り返し、5月から6月頃に交尾をします。メスが卵を産み落とすのが7月頃、オスとメスが交代で抱卵し、8月中旬から下旬に卵は孵化します。

巣の中で待つオオミズナギドリの雛.jpg
巣の中で待つオオミズナギドリのヒナ

 その後、オスもメスも毎日海に餌とりに行き、夜に巣に戻ってきてはヒナに餌を与えます。ヒナはすくすくと育ち、10月になると親と同じくらいの体重500gにまで成長します。そうなってくると親鳥は餌捕りに大忙しになります。自らの体重が落ちてくると時々北海道東部海域にまで出かけていき、そこでしっかりと餌を食べて自らのコンディションを回復します。哺乳類ではメスだけが子どもに授乳しますが、オオミズナギドリはオスもメスも同等に餌やりをします。メスにとって、子どもを巣立つまで育て上げるにはペアを組むオスの協力が必要不可欠なのです。オスは我が子を育て上げるために、文字通り身を削って餌捕りに奔走します。そんな繁殖形態を持つ海鳥では、オスとメスは生涯ペアを保ち、浮気なんか絶対にしないと思われていました。それなのに、DNAで分析したところ、年によっていくらか異なりますが10から20%のペアで、ヒナとオスの遺伝子が一致しないという真実が判明してしまいました。さらにバイオロギング研究を通じてオオミズナギドリの実際の浮気現場を捉えることに成功し、このDNA分析の結果が正しいことが証明されてしまったのです。


陸上では、オスが次々と複数のメスと交尾する様子を観察出来ます。
果たして浮気はオスの習性なのか、それともメスの意図にもとづくものなのか、謎はまだ解明されていません。
なお、この調査を担当した女子大学院生は、調査機材である暗視カメラを買うために秋葉原に行きました。
熱心に暗視カメラを物色していると、ニヤニヤと笑いながら店員が、「浮気調査ですか?」と尋ねてきたそうです。
彼女は何の迷いもなく「ハイ、そうです」と答えつつ、
「何でこの店員は私が海鳥の浮気調査をしていることを知っているのだろう」と不思議に思ったとか。
そんな一途で純粋な若者たちが、青春時代の数年間を費やして調査に勤しんでいます。

 毎シーズン複数の雛を産み育てるスズメ目鳥類などの陸鳥では90%といった婚外受精の割合が報告されていますが、毎年1ないし2羽のヒナを協力して育てる海鳥としては驚くほど高い割合でした。さらに、浮気をされてしまったオスは、されなかったオスに比べて体サイズが小さいという傾向があることも分かりました。この発見をして学位を取得した女子大学院生曰く、「働き者の夫に子育てさせるのは重要だけれども、生まれてくる子どもが小さな体になってしまっては困る。だから、メスは意図的に婚外受精(浮気)をしているのだ」とのことでした。何とも冷静かつ恐るべき繁殖戦略です。

巣の入り口で見つめあうオオミズナギドリのペア.jpg
巣の入り口で見つめ合うペア
修羅場なのかもしれません・・・

 オオミズナギドリは非常に長寿です。私達は同じ岩手県の三貫島(釜石市)でも調査を行っていますが、2006年にすり切れそうになった古いアルミ製足輪を付けたオオミズナギドリを発見しました。問い合わせたところ1974年8月24日に、山階鳥類研究所によって三貫島で捕獲された若鳥に装着されたリングであることが判明しました。オオミズナギドリは3歳以降に繁殖場に飛来するといわれているので、おそらく35歳以上の個体であろうと推察されます。何割の個体が自分が生まれた島に戻ってくるのか?何歳まで繁殖に参加するのか?浮気をした相手は誰なのか?まだまだ興味深い謎が残されていますが、それを明らかにするには数十年間にわたって調査を継続していく必要があります。

鳥調査に没頭する大学院生.jpg
行き倒れているわけではありません
文字通り地べたに這いつくばって鳥調査に勤しむ大学院生の姿です

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ウミガメは年齢不詳?

2020年12月22日(火)

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ウミガメの生態にはまだまだわかっていないことも多くあります。

 私達が主に扱っている海洋動物は、いずれも長寿で人と同程度もしくはそれ以上の期間におよぶ生活史を持っています。そんな動物たちの調査を継続していくのに、皆様からの長期にわたるご支援が必要不可欠なのです。
 「亀は万年」などといわれるウミガメ類ですが、実際何歳まで生きるのか、誰にも分かりません。寿命はおろか、卵から孵化した後、何年かけて性成熟に達するのかもよく分かっていない状況です。私達は、2005年から岩手県大槌町周辺の定置網に混獲されるウミガメ類の調査を進めてきました。アカウミガメとアオウミガメが主に捕獲されますが、甲羅の長さが60cm(アカウミガメ)もしくは40cm(アオウミガメ)前後の大きさで、いずれも産卵のために砂浜に上陸してくる成体雌に比べると小さいために、まだ性成熟に達する前の少年から青年期のウミガメであることが推察できます。

 「このカメは何歳ですか?」と地元大槌町の人々にしばしば尋ねられるのですが、「分からないんです」と答えざるをえませんでした。しかし、2018年の夏、ずっと待ち望んでいたアカウミガメが大槌町近辺の定置網で捕獲されました。甲羅の長さが61センチ、体重35kgのカメの体内に、ピットタグという個体識別用のチップが入っていたのです。ウミガメで学位を取得して、大槌町で地道に調査を継続してきた博士研究員の福岡拓也さんが発見しました。

活動報告202012.jpg
背中に人工衛星発信器を装着したアオウミガメを放流する福岡拓也さん

 これまで、岩手で混獲されたウミガメを放流する際に、四肢の付け根に取り付けるプラスチック製および金属製の標識以外に、ピットタグの体内挿入も行っていました。四肢の付け根に付ける標識は数年で脱落してしまいますが、ピットタグは一生体内に残ります。岩手県で混獲されたウミガメにピットタグを挿入する前に、念のため既に挿入されたピットタグが無いかを確認する作業を福岡さんは実直に続けていました。2018年8月27日に捕獲された個体に対し、いつものように専用読み取り機で確認作業を行ったところ、思いがけず反応がありました。番号を確認すると、私達が岩手県で取り付けたものとは異なるタグでした。そこで、ウミガメ関係者に問い合わせを行ったところ、2008年に屋久島で孵化した幼体に挿入されたものであることが判明したのです。我々が知る限り、卵から孵化した幼体が甲羅の長さ60cmになるまで10年を要したことを示す世界初の記録です。水族館で栄養が豊富な餌を与えて育てると4〜5年でその程度にまで育つことはわかっていました。野生では水族館で与えられているよりも栄養価が低い餌を食べているようです。その後も調査は継続していますが、ピットタグが挿入されていた個体はまだ発見されていません。

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 私達は毎年数十個体の亜成体にピットタグを挿入して放流し続けています。ミトコンドリアDNAを分析した結果からは、岩手に来遊してくるアカウミガメは鹿児島県の屋久島産、アオウミガメは東京都の小笠原産であることが判明しています。2005年以降岩手からウミガメを放流し続けてきましたが、まだどこの産卵場からも連絡はありません。岩手から放流したウミガメが何年後にどこの砂浜に産卵上陸するのか、いつかくるだろうその日を心待ちにしながら、今後数十年にわたってウミガメ調査を継続していきます。
 このように気が遠くなるような継続調査は長くても5年で打ち切られてしまう競争的資金では難しく、より長期的かつ安定的な資金が必要となります。そのため、皆様からの継続的なご支援がバイオロギングの大きな支えとなるのです。

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寄付目的・支援先を指定できます
お名前 日付 金額 コメント
******** 2021年03月12日 1,000円 震災から10年経ちました。新しい知見が幾つも積み重なったと思います。更に10年、2031年にはどの様な事が明らかになるでしょう。楽しみにしております。
皆さんが安全に気持ち良い研究を出来る様応援致します。
<バイオロギング支援基金>
佐々木 明彦 2020年12月29日 30,000円 家族が皆ウミガメ好きで、海洋動物の生態や保全にも興味があります。新たな発見につながることを楽しみにしています。
<バイオロギング支援基金>
******** 2020年12月28日 100,000円 子どもがカメが大好きです。研究によって海の世界の新しい知見が得られますよう、そして子供たちの世代にも命あふれる豊かな環境を残してあげられるよう期待しています。
<バイオロギング支援基金>
******** 2020年12月17日 10,000円 とても夢のある研究だと思います。ウミガメが天気予報の手助けをしてくれる日が来るのを楽しみにしています。
<バイオロギング支援基金>
******** 2020年12月11日 30,000円 海の生き物の不思議がさらに解明されていく、とてもわくわくするプロジェクトだと思います。生き物が大好きな娘たちも一緒に、家族で応援しております。
<バイオロギング支援基金>
******** 2020年12月07日 10,000円 ささやかですがお役に立てれば幸いです。
<バイオロギング支援基金>
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プロジェクト設置責任者

大気海洋研究所 行動生態計測分野
教授
佐藤 克文

今年度寄付総額
10,000円
今年度寄付件数
1件
現在の継続寄付会員人数
6人

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ご寄付の特典

「東京大学基金」の特典が適用されます。

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継続的なご支援への特典(年1回で1万円以上のご寄付の方)

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昨年のカレンダー(毎年内容が変わります)

 東大基金のアニュアルギフト(https://utf.u-tokyo.ac.jp/htd/annual)をご利用いただき、「毎年支援する」を選択し、年間1万円以上のご支援をいただいた方に特製カレンダーをお送りいたします。これは、野外調査に臨んだ研究者たちが撮影した動物写真を使って作られたものです。
 毎年10月末までにお申し込みいただいた方にその翌年のカレンダーをお送りいたします。また、 アニュアルギフトを継続していただいている間は毎年お送りいたします。毎年カレンダーの中身も変わりますので、継続的なご支援をよろしくお願いいたします。

一括3万円以上のご寄付への特典

20201125170008.png※クリックで拡大できます。

 バイオロギング特製カレンダーに加え、バイオロギングクリアファイルと、バイオロギングを担う若手研究者が作成したウミガメ研究記(シール付き)クジラ研究ワークブック(シール付き)の絵本からなるバイオロギンググッズセットをお送りいたします。

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※クリックで拡大できます。

一括10万円以上のご寄付への特典

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タグを装着したウミガメ。タグの装着がウミガメに悪い影響を与えることはありません。

 岩手県で我々が行っているウミガメモニタリングでは年間数十から百頭ほどのウミガメ亜成体を捕獲し、標識を付けて放流しています。このウミガメがどこかで再び捕まったときにその行き先が分かります。このモニタリング用のウミガメに名前を付けていただくことができます。また、名付けていただいたウミガメの行き先が判明した場合にはメールなどでお知らせいたします。  ご希望の方は申込の際のご意見欄にウミガメに付けたいお名前をご記入ください。なお、ウミガメは大人になるまで性別が分からないので、男の子の名前を付けてしまったカメが、産卵のために砂浜に上陸した(雌だった!)という事も起こりうることはご了承下さい。 20201125173248.png※クリックで拡大できます。

一括100万円以上のご寄付への特典

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人工衛星発信機を装着したウミガメ

 人工衛星発信器を装着し、様々なデータを収集してくれるウミガメに名前を付けていただくことができます。あなたが名付けたウミガメが大海原を回遊します。回遊経路はHPで随時公開いたします。ご希望の方は申込の際のご意見欄にウミガメに付けたいお名前をご記入ください。その際にはモニタリング用のウミガメと発信機付きウミガメのどちらのお名前かがわかるようにご記入いただければ幸いです。20201125173332.png※クリックで拡大できます。

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