障害のある学生や研究者の活躍応援基金

― 障害を抱える人々が独自の視点を活かして活躍できる社会実現を目指して ―

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プロジェクト設置責任者

先端科学技術研究センター  教授
熊谷 晋一郎

今年度寄付総額
10,000円
今年度寄付件数
1件
現在の継続寄付会員人数
6人
累計寄付総額
29,126,651円

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東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

ご支援のお願い

科学技術は障害のある人々の生活を豊かにする大きな可能性を秘めています。その一方で、専門家が目指すものと、障害のある人々が望むものが時にすれ違うことがあります。たとえば以前の専門家は身体障害者の体を健常者の体に近づけることを目指していましたが、身体障害者たちは建物や道具、制度などの社会環境をアクセス可能にすることを望みました。

車椅子の人が街で階段に行く手を遮られたとします。以前は動かない脚に問題があると考えられていましたが、最近ではそこにエレベーターがない社会に問題があるという考え方が出てきました。もちろん、世の中のすべての階段にエレベーターを設置するのは現実的ではありません。しかし、ちょっと視点を変えると今まで気が付かなかった解決策が見えてくることがあります。

私自身、脳性麻痺による肢体障害がある車椅子の小児科医ですが、障害を抱える人々がもっと高等教育を受け、もっと社会で活躍できる環境を実現するために、「当事者研究」や「インクルーシブ・アカデミア・プロジェクト」「共同創造」など様々な研究や活動をしています。たとえば、「当事者研究」とは、従来は研究の対象であったり、サービスを受ける側だった障害者が、障害を抱える【当事者】だからこそわかる課題を発見し、当事者だからこその視点で、同じような困り事を抱える仲間たちと一緒に解決策を研究する日本初の研究実践です。

障害を抱えるもっと多くの人々が、実験等の実技を伴うSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)の分野を含め、高等教育に進めるようになる、社会で活躍できる、研究を続けられる、そんな社会になるにはどのような課題と解決策があるのか。これらの試みは国連のSDGsが掲げる「誰ひとり置き去りにしない社会」の実現にも大きく貢献することが期待されます。

このような新しい試みには従来の予算だけではなく、柔軟に対応できる皆様のご寄付による財源の多様化が必要です。ぜひ皆様の応援をよろしくお願い申し上げます。
 

先端科学技術研究センター
教授 熊谷 晋一郎
 
熊谷先生.jpg
 

 

熊谷研究室キーワード

〔当事者研究〕
当事者研究は2001年に北海道の浦河町にある「浦河べてるの家」で行われていた精神障害をもつ人々の「自分助け」の技法に由来します。自閉スペクトラム症や依存症、身体障害等なんらかの「困り事」をもつ人々が、他者(医者や研究者)から研究される対象やサービスを提供される対象ではなく、当事者ならではの視点で自らの困りごとを研究し課題を解決するユニークな研究実践です。当事者ならではの視点で課題を見つけ、従来の専門家のサポートも得つつ解決策を見つけていきます。

〔インクルーシブ・アカデミア・プロジェクト〕(IAP)
障害等の困りごとを抱える学生や研究者が活躍するには「構造的環境」と「文化的環境」を整える必要があります。とくにSTEMと総称される理工系では実験や実習が伴い、たとえば車椅子からは試薬が入った棚に手が届かない、緊急シャワーの把手に手が届かない、など構造的環境の改善が重要です。具体的には、モデルとなるラボを当事者視点でデザインしたり、国内外の文献調査と視察、インタビュー調査を踏まえ、ガイドラインや事例集を作成し体系化していきます。さらに、多様性を受け容れ創造性につなげられる研究室のリーダーを育成するために、当事者研究のノウハウを応用したプログラムを開発し、キャンパスの文化を変えていきます。

〔共同創造〕
人類に幸せをもたらすはずの科学技術は、専門家のみが探求するのではなく、当事者参画のもとで推進されるべきとの問題意識が「研究の共同創造」(co-production of research)というキーワードで世界中で共有されつつあります。科学技術の恩恵を享受するであろう当事者を含む市民が、研究費の配分、仮説の提示、実験、分析、結果の解釈など、様々な段階で専門家とともに研究を進めます。2018年10月に科学誌「Nature」で特集が組まれるなど、国際的にも注目されている手法です。

〔ハンブルリーダーシップ〕
昔から「リーダーシップ」といえば「黙って私についてこい」的な強い指揮官をイメージしがちです。しかし、多様なバックグラウンドや個性からなる複雑な社会では、それだけでは十分ではありません。むしろ謙虚(humble)な気持ちで自分の困り事や失敗を認めつつ、チームメンバーの強みを引き出し、チーム全員が当事者として取り組む、そんなハンブルリーダーが必要とされています。障害者や健常者がお互い尊重し合い支え合う社会を目指す当事者研究から生まれたハンブルリーダーシップは企業の職場だけではなくトップアスリートのチームビルディングにも有効です。

熊谷准教授(左)と研究パートナーの並木准教授(IAP担当)(右)
熊谷教授(左)と研究パートナーの並木准教授(IAP担当)(右)

 
 

応援メッセージ

吉田知那美
ロコ・ソラーレ所属
カーリング日本代表(2014年ソチ冬季五輪・2018年平昌冬季五輪・2022年北京冬季五輪)

私は、当事者研究に出会い、東京大学での研究室での様々な出会いを通じ、競技者としての人生が豊かにそして味わい深いものになっていくのを感じています。小さな気づきや工夫、少しのサポートの積み重ねで可能性が広がっていくことも知りました。構造的環境、文化的環境の制限がなく、誰にとっても心地よく学ぶ環境であること、「誰ひとり置き去りにしない社会」であることを、微力ではありますが私も応援しています。

 

ご寄付の主な活用方法

なんらかの困り事をもつ人々が社会で活躍する構造的・文化的環境を整えようとするこれらの新しい研究活動は、従来の予算で不足する部分、使途の制約があり従来の予算では執行できな部分がどうしても出てきます。皆様のご寄付で支えていただければ幸いです。


構造的環境づくり
・重たいドアの自動ドア化あるいは開閉しやすい折り戸化
・昇降機の設置とその維持費
・感覚過敏に配慮した照明器具
・身体に障害があっても座りやすい椅子
・点字プリンターや立体コピー機等の支援機器
・手話通訳者やノートテイカー等の人的支援
・当事者研究者(ユーザーリサーチャー)の研究補助

文化的環境づくり
・共同創造が進む英国等海外との連携
・教員や学生にダイバーシティ&インクルージョンを学んでもらう教材作成
・当事者研究者、障害学生、一般学生の交流会(障害学生メンター制度)
・当事者研究ワークショップやシンポジウムの開催
・寄付者限定イベント「熊谷先生とお話しする会」

※これらは例であり、ご寄付の集まり具合に応じて適宜必要な使途に活用させていただきます。
※ご無理のない範囲で継続的なご支援をお願いします。〔寄付方法と寄付金額〕⇒「毎月支援する」

緊急シャワーの写真
洗眼器の写真
洗眼器の写真

薬品を浴びたときの緊急シャワーに手が届かない、洗眼器の角度が変えられない

 

基金web修正_20230921_20.png

 
 

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障害のある高校生を対象に科学実習を行いました

2025年04月07日(月)

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 東京大学の「東大の研究室をのぞいてみよう!~多様な学生を東大に~」プログラムのインクルーシブ特別企画として、障害のある高校生を対象として、科学実習「インクルーシブラボで生物実験タイム!」を開催いたしました。
 初等中等教育の理科においても、障害の有無にかかわらず、同じ場所で学ぶインクルーシブ教育に向けて、すべての生徒が実験に参加できる環境の整備が望まれています。今回東京大学先端科学技術研究センターのアクセシブル実験室において生物学の実習を開催し、実験作業を通じて生徒が直面する可能性のある困難を具体的に想定し、実験での合理的配慮の考え方や、配慮を実現するための具体的なアドボカシーの手法を学びました。

 普通校に通う障害のある生徒さんや、特別支援学校の生徒さんの参加がありました。さらに教育に関心のある方、このテーマに関心のある企業の方などの参加もありました。好評につき、来年度以降も開催していきたいと思います。

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曾 嘉慧

2025年04月03日

10,000円

当事者としての視点からの研究はとても大切だと感じておりますので、微力ながら寄付させていただきました。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2024年12月17日

10,000円

障害があってもなくても生きやすい社会にしたいです。研究を応援しています! <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2024年03月18日

10,000円

障害を抱える人々の独自の視点は、誰もが過ごしやすい社会となるために必要不可欠なものであり、障害を抱える人の視点も含め、さまざまな視点が社会の中に広がることはとても重要なことと思います。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年12月31日

100,000円

医療的ケアが必要な障害児を育てています。出産では産科に、誕生後はNICUを皮切りに東大病院でお世話になっており、しばしば小児科に入院しています。その関係で東大病院に寄付をしたことがあります。 今回初めて大学への寄付を検討しこのプロジェクトを知り賛同しました。微力ながら寄付します。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年12月22日

50,000円

『自立とは依存先を増やすこと』の考えがより広がれば社会はもっとやさしくなれると思います <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

雨宮 由紀枝

2023年12月13日

50,000円

当事者研究者(ユーザーリサーチャー)による研究を応援しています。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年12月01日

1,000円

希望のある社会になるように、研究がんばってください。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

門田 英

2023年11月10日

1,000円

To realize a society where people can pursue a better way of life regardless of whether they have a disability or not. KADOTA AKIRA <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年11月04日

1,000円

障害の有無に関わらず、より良い生き方を追求できる社会を実現するため。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年08月25日

10,000円

がんばってきてください! <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年08月16日

10,000円

応援しています! <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年08月11日

5,000円

これからの教員が力を発揮でき、子どもにとってよりよい学校になるようにお願いします。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年08月09日

3,000円

気持ちばかりでもうしわけありませんが、奈良博士の研究に少しでも役に立ちますよう、支援させていただきます。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

木村 昭

2023年08月02日

100,000円

障害のある学生や研究者への対応は欧米の方がはるかに進んでいるので、奈良博士の海外調査研究に期待しています。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

岡田 幸村

2023年08月02日

10,000円

寄付致します。 (東京銀杏会・岡田幸村) <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年07月28日

10,000円

当事者研究者の活躍は極めて重要だと思っています。些少ではありますが、充実した研究ができることを応援します。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年07月27日

50,000円

知的障害者グループホームの運営に携わっている者として、 熊谷先生の研究プロジェクトを応援しています。 英国での奈良里紗博士の特別支援教育における教師の効果的な人事等についての研究が実りあるものになることを期待しています。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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2023年07月27日

20,000円

気持ちだけお届けします。資料類購入の一部にでもご活用ください。 <障害のある学生や研究者の活躍応援基金>

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プロジェクト設置責任者

先端科学技術研究センター 
教授
熊谷 晋一郎

今年度寄付総額
10,000円
今年度寄付件数
1件
現在の継続寄付会員人数
6人
累計寄付総額
29,126,651円

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ご寄付の謝意・記念品

「東京大学基金」の謝意・記念品が適用されます。

このプロジェクトの謝意・記念品

ご寄付くださった方

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・サポーターズカードをお贈りします(裏面には4種類のメッセージがあります)
・寄付者限定イベント「熊谷先生とお話する会」をご案内します
・報告会やシンポジウムのご案内をお送りします

東京大学へのご寄付には税法上の優遇措置が適用されます。

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